2026年10月29日
SUSUMU JUKU / 学校を横断して身につける
知識を思い出す前に、資料を見る。数字と地図を「理由」に変えよう。
基本の整理 → 自作例題 → 学校別の出題例 → 解き直し。知識を「使える力」に変える学習ガイドです。
資料問題は「知っている地名」から答えない
地名や特産品を覚えていても、表・グラフ・地形図の問題で失点することがあります。原因の一つは、知っている内容へすぐ当てはめ、資料が示す対象や単位を読み飛ばしてしまうことです。
- 対象:いつ・どこ・何を比べる資料か。
- 単位:人数・金額・割合・面積など、何の数値か。
- 特徴:最大・最小・増減・季節差など、資料で確認できる違い。
- 理由:その違いを説明できる地形・気候・産業の知識。
「資料の特徴」と「理由となる知識」を分けると、選択肢を選ぶだけでなく、短い記述へつなげやすくなります。まず資料から言える事実を一つ取り出し、その後で地域の知識と照合します。
この記事の練習用の数値・図は進塾が作成した架空の例です。実在する都市・地域の統計や気候観測値ではありません。学校別の問題では、各年度の原資料の年・単位・条件を確認してください。
統計・雨温図・地形図で、最初に見る場所を変える
| 資料 | 最初に確認 | 結論に使う手掛かり |
|---|---|---|
| 統計・構成比 | 対象年、単位、総数、何の割合か | 大きい項目、数量と割合の違い、複数の項目の組合せ |
| 雨温図 | 気温と降水量の軸、月の並び、目盛り | 冬の降水、夏冬の気温差、年間降水量 |
| 地形図 | 方位、縮尺、等高線の間隔、地図記号 | 同じ地点の高さ、斜面、土地利用、施設の位置関係 |
統計の自作例題:割合が大きい地域ほど、数量も大きい?
架空のX地域・Y地域について、工業出荷額を比較します。図の横幅はどちらも100%で、実際の出荷額の大きさを表す幅ではありません。
X地域:総額1,000億円
Y地域:総額3,000億円
機械の出荷額は、Xが1,000×0.60=600億円、Yが3,000×0.40=1,200億円です。機械の割合が小さいYの方が、機械の出荷額は大きくなります。
割合だけでは、元の総数が分かりません。「割合が高いので、生産量も最大」と結論づける前に、総額や総生産量を確認します。
工業地域を選ぶときも、「機械の割合が大きい」だけで決めず、総額、他の工業の割合、位置など複数の手掛かりを合わせます。1つ目の資料で候補を絞り、2つ目で矛盾がないか確かめましょう。
雨温図は「冬の降水→気温差→降水量」の順に比べる
最初に、折れ線と棒がどちらの量か、左右の軸の単位は何かを確認します。折れ線の山の高さを、降水量と取り違えないようにしましょう。
| 地点 | 最寒月/最暖月 | 冬と夏の降水 | 年間降水量 |
|---|---|---|---|
| A | 5℃/27℃ | 冬は少なく、夏から秋に多い | 1,600mm |
| B | 2℃/26℃ | 冬にも多い | 2,400mm |
| C | −1℃/25℃ | 冬は少なく、年間を通じて比較的少ない | 900mm |
日本の地点を比べる練習なら、Bの冬の降水は日本海側を考える手掛かり、Cの気温差と少なめの降水は内陸を考える手掛かりになります。Aは太平洋側の傾向と照合できます。
ただし、これだけで都市名を一つに決めることはできません。緯度、標高、山地の位置、本文や地図で示された候補地も合わせて判断します。「冬に雪が多い」という知識を使う際は、雪も降水量として表されることを押さえましょう。
グラフどうしの目盛りが違えば、棒の見た目の高さだけで年間降水量を比較できません。軸の数値を読んで、同じ単位で比べます。
地形図は、場所を固定してから比較する
新旧の地形図を比べるときは、同じ川・交差点・建物などを目印に、同じ地点を見つけます。縮尺や方位が異なるまま、線の位置だけを比較しないことが大切です。
| 見つけた特徴 | 読み取れること | 追加で確かめること |
|---|---|---|
| 等高線が密 | 同じ縮尺・等高線間隔なら、傾斜が急 | どちらの方向へ高くなるか |
| 等高線が広い間隔 | 同じ条件なら、傾斜が緩い | 標高そのものが低いとは限らない |
| 川沿いに少し高い土地 | 周囲より浸水しにくい理由の候補になる | 本文や断面図が示す地形の成り立ち |
| 市役所などの地図記号 | 施設の種類と位置を特定できる | 方角を答える基準点がどこか |
縮尺2万5千分の1の地図で2.4cmなら、実際の距離は2.4×25,000=60,000cm=600mです。「25,000を掛けた後の単位はcm」と書き添えると、mやkmへの換算の誤りを防げます。
等高線の間隔が広いことは、地面の標高が低いことと同じではありません。高原の緩い斜面もあり得ます。「高さ」と「傾斜」を分けて説明しましょう。
3校の実例で、資料と知識を結ぶ
学校別記事で、問題の条件と考え方を確認できます。まず使う知識を自分の言葉で説明してから読んでみましょう。
学校別記事で、問題の条件と考え方を確認できます。まず使う知識を自分の言葉で説明してから読んでみましょう。
学校別記事で、問題の条件と考え方を確認できます。まず使う知識を自分の言葉で説明してから読んでみましょう。
| 学校別の実例 | 根拠として確かめる資料 | 知識の使い方 |
|---|---|---|
| 大宮開成2024・第1問 | 工業の構成比、雨温図、地域の写真や地図 | 中部地方の地形・気候・産業を対応させる |
| 巣鴨2025・第1問 | 工業統計、農産物の生産国、風向と生産のグラフ | 浜松の自然条件と、産業・技術のつながりを説明する |
| 共立女子2025・第2問 | 雨温図、地形図、会話と地域の資料 | 山梨・静岡の位置や気候、流通の関係を読む |
例えば「機械の割合が大きい」という資料の特徴と、「輸送用機械などの生産」という知識を対応させます。知っている工業地域名を先に選ぶのでなく、候補の地域が他の資料にも合うかを点検します。
過去問の統計や事業の見通しは、問題作成時点の資料に沿って読みます。最新の順位や進捗と違うからという理由で、当時の資料の読み取りを置き換えないようにしましょう。
根拠を一言添えて答える、3つの自作問題
① X地域は機械60%・総額1,000億円、Y地域は40%・総額3,000億円。機械の出荷額が多いのは?
Y地域。Xは600億円、Yは1,200億円。構成比でなく、総額に割合を掛けた金額で比較します。
② 冬にも降水が多いBは、日本海側を考える材料になりますか?
なります。ただし都市名の特定には他の条件も必要です。冬の季節風と山地の位置による降雪・降水を考えます。候補地の緯度や標高、気温も確認します。
③ 同じ縮尺・等高線間隔で、等高線が混み合う斜面は?
傾斜が急です。短い水平距離で同じ高さだけ変化するためです。「必ず標高が高い」とは答えません。
間違えた資料は、「事実」と「理由」の2列へ戻す
| 資料で確認した事実 | 結びつける知識・説明 |
|---|---|
| 冬にも降水量が多い | 冬の季節風と山地の位置を確認し、日本海側の候補地と照合する |
| 割合は高いが、総額は小さい | 総額×割合で実際の量を計算して比較する |
| 同じ地点の等高線間隔が広がった | 同じ縮尺・等高線間隔なら傾斜が緩くなったと読める |
記述では「どの事実から、何を説明するか」を先に決めます。例えば、新旧の地形図と本文に造成の根拠があれば、「山を削って斜面を緩め、宅地を造成した」のように、変化と目的をつなげます。資料にない地盤の強さまで広げて書かないことも大切です。
解き直しでは、資料の年・単位・対象地域を囲み、正解の根拠を一つ書きます。その後に、選ばなかった選択肢が合わない理由を一つ確認すると、似た資料でも判断の手順を使いやすくなります。
予習シリーズの関連単元を確認する →社会の資料読解でよくある質問
統計の順位を全部暗記する必要がありますか?
代表的な地域の特色は学習しますが、順位の暗記だけで資料問題へ対応するのは難しくなります。対象年、何の順位か、数量か割合かを確認し、本文で与えられた資料を使えるようにしましょう。
雨温図が似ていると区別できません。
冬の降水、夏冬の気温差、年間降水量の順に違いを取り出します。候補地の位置・標高も使い、一つの特徴だけで決めないようにします。目盛りが異なる図では数値へ直して比べます。
記述が、知っていることの羅列になります。
まず設問が求める理由を一言で決めます。使う事実を資料から選び、その事実と結果をつなげます。字数を埋めるために知識を増やすより、設問へ直接答える文になっているかを確認しましょう。
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