2026年10月27日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
海城中学校・2024年度 第1回 国語
2024年度の海城中学校第1回国語は、書道教室を描く物語と、熟達・孤独を論じる文章の二大問です。選択肢の細部を本文へ照合し、記述では指示語や抽象語を具体化して説明します。
第1問|書道教室と、指導を見る目の変化
この大問で学ぶこと
最初の評価を、その後の出来事で更新する
三浦しをん『墨のゆらめき』の文章では、にぎやかな書道教室に戸惑う「俺」が、生徒の作品と遠田の指導を見て評価を変えていきます。語り手の最初の見方を、作品全体の結論と同一視しないことが重要です。
解くときの着眼点:出来事の前後で、語り手が何を知り、どう見方を変えたかを書く。
問1・問2|教室に入ったときの戸惑い
問1 イ/問2 ウ。
- 女の子たちの笑いは、突然の来訪者への興味から読みます。反感や嘲笑だと決め付けるには根拠が足りません。
- 「俺」は子どもとの接し方に慣れず、何の用事で来たかも十分伝わっていないため、堂々と振る舞えない状態です。
間違えやすい点:語り手が居心地悪く感じることと、生徒が敵意を持つことは別です。
問3~問5|遠田への疑問
問3 エ/問4 イ/問5 ウ。
- 問3は生徒が集中していないように見え、指導者も正さないという、語り手から見た様子を答えます。
- 問4の違和感は、品のない言葉で道具や心構えをたとえる点にあります。
- 問5では、生徒がまだ「風」にさまざまな具体像があると気付いていないことを押さえます。
間違えやすい点:後に良い指導者だと分かるからといって、最初から語り手が信頼していたことにしないこと。
問6|文字の奥にあるものを想像する
答案例(指定の書き出しを含む77字):文字を書くときに、その奥にある情景や感覚を想像する習慣をつければ、目の前にないものも思い浮かべ、自分が伝えたいことを自由に表現できるようになるということ。
- 「そういう習慣」を、文字の形をまねる習慣ではなく、文字の表すものを想像する習慣と具体化します。
- 夏の風を体験することと、真夏でも冬の風を表現できることを、想像を働かせる力でつなぎます。
- 解答欄の書き出しを確認し、60~80字の制約に合うよう必要な要素を圧縮します。
| 要素 | 具体化する内容 |
|---|---|
| 習慣 | 文字の奥の情景・感覚を想像する |
| 変化 | 目の前の体験だけに頼らなくなる |
| 到達点 | 伝えたいものを表現できる |
間違えやすい点:指定の書き出しに続ける部分は69字です。文字の形をまねるだけの習慣として説明しないこと。
問7~問9|生徒の変化が、語り手を変える
問7 エ/問8 ア/問9 エ。
- 生徒は実際の風を感じ、自分の体験に根差して文字を書こうとします。
- 「俺」が作品を夢中で見るのは、疑問を感じていた指導によって、生徒の書がよくなったことを目にしたからです。
- 遠田の力は整った手本だけでなく、書く楽しさと自分なりの表現へ生徒を導く点にあります。
間違えやすい点:語り手が遠田を見直す根拠を、容姿やうわさに置き換えないこと。
問10~問12|いたずらと敬意
問10 ア/問11 ウ/問12 イ。
- 遠田は風邪の震えを表した字にも、実感を表現したよさを認めます。
- 男の子は、遊び心が伝わり、受け止められた喜びを感じています。
- 最後の礼儀正しい振る舞いから、生徒は親しみだけでなく敬意も抱いていると読みます。
間違えやすい点:生徒の自由な態度を、先生を軽んじている証拠として一括りにしないこと。
第2問|熟達と孤独
この大問で学ぶこと
技術の上達と、自分の内側を知ることをつなぐ
為末大『熟達論』の文章は、機械と人間、外からの評価と主観的体験、集団への同調と独創性を対比します。抽象語は、本文中の具体例と対になる語を使って整理します。
解くときの着眼点:筆者が何を対比し、どちらの価値を説明しているかを明確にする。
問1~問3|漢字と、領域を越える学び
問1 a検討・b発揮・c一層・d願・e傷/問2 ウ/問3 エ。
- 他分野にそのまま移せるのは具体的な技術ではなく、上達の過程で得た学び方です。
- 「振れ幅」は将来の成果がどう変わり得るかという可能性の広がりを表します。
間違えやすい点:ある技能が、どの分野でも直接通用するという意味にはしないこと。
問4~問6|人間の主観と、群れへの適応
問4 ア/問5 イ/問6 ウ。
- 役割をうまく果たすために最適化することと、自分の身体で感じながら上達する体験を分けます。
- 筆者は、夢中になる主観的体験に人間の生の実感を見ています。
- 人が孤独を恐れる背景には、集団で協力して生きてきた性質があります。
間違えやすい点:「機械に勝つこと」が文章全体の目的だと単純化しないこと。
問7~問10|他者の評価と、自分への注意
問7 エ/問8 イ/問9 ア/問10 エ。
- 評価基準が一つに定まらず、時代によって変わるなら、他者の評価だけでは自分のやり方を決められません。
- 他者に向く注意と、自分の内側に向く注意を対比します。
- 夢中になると孤独を数える意識そのものが薄れるという、逆説の仕組みを読みます。
間違えやすい点:孤独に耐えれば必ず他者から評価される、という因果関係にはしないこと。
問11|なぜ熟達に孤独が伴うか
答案例(指定の書き出しを含む74字):集団の中で人間は他者に同調しやすいが、オリジナルな存在になるには、集団から距離を取り、自分の内側を見つめて独自の方法や発想を追求する必要があるから。
- まず集団の中で何が起こるかを「同調」を使って示します。
- 次に熟達の道で必要になる独自の探求を「オリジナル」と結び付けます。
- 指定語「同調」「オリジナル」を使い、孤独が必要になる理由を説明します。例文は指定の書き出しに続く部分が66字です。
間違えやすい点:孤独の利点だけを並べ、なぜ避けられないかという問いから離れないこと。
解き直しの進め方
第1問は語り手の評価の変化、第2問は対比される概念を整理します。記述は必要な要素を先に書き出し、その後で指定字数へ整える順序で取り組みましょう。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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