2026年10月27日
SUSUMU JUKU / 2026 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
海城中学校・2026年度 第1回 国語
2026年度第1回の国語2大問を、本文の根拠・選択肢の違い・記述答案の作り方で解説します。作品本文は転載せず、問題冊子と併せて読む構成です。記述例は進塾独自の例です。
第1問|物語文|被災地で人と向き合う
この大問で学ぶこと
分かったつもりを離れ、相手の固有の暮らしを見る
上村裕香『ほくほくおいも党』を題材に、康太郎の戸惑いと、武井が語る町の記憶を追います。被災者一般という捉え方から、一人ひとりの生活へ視点が移ることが中心です。
解くときの着眼点:自分の思い込みと、相手の言葉から知ったことを分ける。
問一|疲労が嫌ではない理由
ア
- 家主に感謝されたことで、自分の働きが役立った実感があります。
- 以前から活動を望んでいた、という説明は本文の出発点と合いません。
間違えやすい点:疲労がなくなったのではなく、感じ方が変わった。
問二|大きな声になった様子
ウ
- 活動の意義を感じたことと、真由美から感謝された高ぶりが重なっています。
- どちらか一方だけでは声が思わず大きくなる心の動きを捉えきれません。
間違えやすい点:自覚的な宣言だったと決めつけない。
問三|腰痛くならない人
イ
- 感謝や注目を受けることには喜ぶ一方、裏方の地道な仕事には向かない人を指します。
- 表面的な応援と、実際に手を動かす行動の対比です。
間違えやすい点:体質や健康の話として読まない。
問四|真由美の乱暴な動作
ウ
- 被災者が苦しむ中で、根拠のない悪評や傷つける書き込みがあることへの憤りです。
- スマホを伏せる動作に、抑えた強い感情が表れています。
間違えやすい点:康太郎個人に腹を立てた、と主語をずらさない。
問五|投稿する人への理解
ウ
- 現地の事情を知らない人は、錯綜する情報の中で何が正しいか、自分に何ができるか分からなくなることがあります。
- 真由美の怒りを理解しながら、自分も外側の人間だという康太郎の視点を読みます。
間違えやすい点:デマや加害を正当化した発言としない。
問六|海について謝った理由
エ
- 自分にはなじみの薄い海でも、相手には被害を思い出させる可能性があると気づいたためです。
- 話しかけた口調がくだけていたことが中心ではありません。
間違えやすい点:相手が実際に不快だと言った、と付け足さない。
問七|更地を見つめる武井
ウ
- 康太郎には町があったかという疑問でも、武井には失われた故郷の現実です。
- 他人には簡単に共有できない喪失の思いに焦点を当てます。
間違えやすい点:相手へのいらだちや感謝の不足だけで説明しない。
問八|方言に戻る理由
エ
- 康太郎が弱さや本音を見せたことで、武井も気負わず普段の自分で語り始めています。
- 意識的に明るい話で励ますだけの場面ではありません。
間違えやすい点:方言を演出の道具だけと解釈しない。
問九|祖母の素顔
イ
- 人前で化粧を崩さなかった祖母のこだわりと、偶然見た素顔の記憶が重なります。
- 見栄えの良し悪しではなく、その人らしさへの親しみです。
間違えやすい点:素顔の方が美しいという美醜の比較にしない。
問十|町はあったという思い
エ
- 一人ひとりに誇りやこだわりがあり、その固有の生活が確かにあったと伝えようとしています。
- 楽しい話だけをして町の魅力を宣伝したいのではありません。
間違えやすい点:町を抽象的な被災地のまま扱わない。
問十一|二つの発言に込める願い
記述例:よそ者の自分には相手への接し方が分からず、傷つけることも怖い。それでも現地の暮らしを知った今、何もせずにはいられず、役立ちたいという真剣な思いを、迷いや緊張を抑えながら必死に伝えようとしている。
- 怖さと、関わり続けたい願いの両方を入れます。
- 腰の話は身体的な丈夫さだけでなく、自分をまた呼んでほしいという申し出です。
- 90~110字の指定語「よそ者」を用い、二つの発言を一つの心情としてつなぎます。
間違えやすい点:勇気がある・優しいという人物評価だけにしない。
第2問|論説文|効率・偶然・利他
この大問で学ぶこと
情報を得ることと、自分が変わる経験を分ける
北村匡平『遊びと利他』を題材に、読書・旅・映像視聴の例をつなぎます。速いか遅いかだけではなく、対象を自分の都合で消費するか、未知との出会いで自分が開かれるかが論点です。
解くときの着眼点:各具体例を、効率・対話・変容という共通の軸へ戻す。
問一|漢字
a必然・b事態・c間奏・d拡張・e節約・f優先
- 避けられず起こる必然、状況を表す事態、音楽の間奏を意味で区別します。
- 広げる拡張、無駄を省く節約、先に扱う優先も文中で確認します。
間違えやすい点:同音語を読みだけで選ばない。
問二|読書の本質
ア
- 読み終える数ではなく、言葉を通して筆者と対話しようとする過程が中心です。
- 文字を読むこと自体を否定したり、ゆっくりならよいと単純化したりしません。
間違えやすい点:読書量の多さを主張の中心に戻さない。
問三|旅のたとえ
エ
- 効率よい情報収集ではなく、途中で出会う未知の世界や他者を受け止め、自分が開かれていく読書です。
- 無計画な旅行をそのまま勧める話ではありません。
間違えやすい点:たとえの具体的な行動より、共通する関係を選ぶ。
問四|作品を味わいにくい理由
イ
- 他者との比較の中で、より多くを所有・消費し、情報を早く取り入れようとする欲求が強まります。
- 一作品と向き合うことより、量や速さが目的化するという筋道です。
間違えやすい点:SNSで違いを示すことだけに原因を狭めない。
問五|欲望の三角形
エ
- 自分が欲しいと思う気持ちも、周囲の人がよいとする評価の影響を受けています。
- 自分と物だけの閉じた関係ではなく、第三者を含む関係で考えます。
間違えやすい点:本人が影響を自覚しているとは限らない。
問六|利己的な視聴
ア
- 作り手の表現を受け止めるより、自分の都合に合う形へ操作して消費する姿勢を指します。
- 実際に作品の内容を書き換えるという意味ではありません。
間違えやすい点:技術的な編集と、鑑賞姿勢としての支配を混同しない。
問七|利他的な関係
イ
- 作り手と受け手が互いに尊重し、対話を通して可能性を引き出し、変わっていく関係です。
- 受け手だけが得をする、作り手だけが変わるという説明では足りません。
間違えやすい点:一方通行の親切という意味に狭めない。
問八|以前の倍速視聴との違い
ウ
- かつては速さが未知の感覚をもたらし、身体や世界の見方が変わる経験にもなっていました。
- 今の効率だけを求める視聴と、同じ速度という一点で同一視しません。
間違えやすい点:技術の新しさを実感しただけ、と狭めない。
問九|新聞の役割
ウ
- 個人の履歴や好みで選ばれる情報と違い、普段は目にしない話題に触れる機会があります。
- 予想外の情報との接触を、他者を想像する回路へつなげます。
間違えやすい点:紙だから常に正しく、ネットだから常に誤りとしない。
問十|偶然性が重要な理由
記述例:効率を求め、好みに合う情報だけが届く社会では、他者を想像し共に関わる機会が失われやすい。偶然性を取り込めば、未知の人や価値に出会い、対話を通して互いの可能性を引き出し、自分も変わっていく道が開かれるから。
- まず現代社会の問題を示し、次に偶然の出会いの働き、最後に他者との変化をつなぎます。
- 100~120字で指定語「偶然性」「未知」を用います。
- 読書・旅・映像の個別例を列挙するより、共通の主張にまとめます。
| 題材 | 自分の都合で消費する側 | 未知との出会いを味わう側 |
|---|---|---|
| 読書 | 冊数や読み終えることが目標 | 筆者の言葉との対話 |
| 旅 | 既知の観光地を効率よく巡る | 途中の出会いで自分が開かれる |
| 映像 | 内容を情報として取得する | 表現を味わい直し自分が変わる |
間違えやすい点:便利な技術をすべて捨てることが結論ではない。
解き直しの進め方
物語は康太郎の視点がどう変わるか、論説は具体例がどの共通軸へ戻るかを整理します。記述は指定語を入れただけで満足せず、原因と結論の間がつながっているかを確認しましょう。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
志望校の過去問を、次の学習計画へ
点数だけでは、次に何を直すべきかは決まりません。進塾では、解き方・答案の根拠・つまずいた箇所を確かめ、授業と家庭で取り組む内容を整理します。集団コース・個別指導のご相談を承ります。
赤羽で学習塾をお探しなら
- 会社名
- 進塾
- 住所
- 〒115-0055 東京都北区赤羽西1‐39‐1伊藤ビル3階
- 電話番号
- 03-5924-7747
