麻布中学校 2026年度 入試 社会入試解説|大問別の考え方と解き直し

2026年11月1日

SUSUMU JUKU / 2026 EXAM REVIEW

答えの先に、解ける理由を。

麻布中学校・2026年度 入試 社会

2026年度の麻布中学校・社会は、森林の利用と保護を軸に、歴史・地理・産業・公共的な価値を横断する総合問題です。問1〜13を15項目に分け、資料の読み取りと記述の組み立て方を解説します。問題冊子の図表と照らし合わせてお読みください。

このページは問題冊子と一緒に読む解説です。問題文・原図の転載はせず、進塾独自の解説を掲載しています。

第1問|森林の利用と保護をめぐる総合問題

この大問で学ぶこと

時代・地域・立場を変え、森林の価値を読み直す

解き直しの到達点使った条件と結論のつながりを、解説を閉じて説明できること。

解くときの着眼点:森林の価値を、木材・農業・税収・防災・産業・生活という複数の観点から考えます。

問1|歴史の基本語句

あ=埴輪、い=藤原京、う=地租改正、え=札幌

  1. 古墳に並べられた土製の人・動物などは埴輪。694年に持統天皇が定めた都は藤原京です。
  2. 明治政府が土地の価格に応じて所有者へ課税した政策は地租改正。1972年の冬季オリンピックの都市は札幌です。時代・年号・説明を一組で確認します。

問2|国土の土地利用

①=あ、②=え

  1. 図2では森林が66.2%と最も大きく、①の11.6%は農業用地、②の3.2%は住宅用地です。
  2. 本文の「約3分の2が森林」という説明と円グラフを対応させ、残りの用途を面積規模で整理します。

問3|弥生時代の農作業図として不適切なもの

お

  1. おは後世の脱穀用の道具を描いたもので、弥生時代の道具としては不適切です。
  2. 竪穴住居、高床倉庫、水田などが描かれる中で、稲を扱う道具の時代の違いを見分けます。稲作があるから、すべての脱穀道具が同じ時代にあるとは考えません。

問4(1)|都の家を瓦屋根にした目的

解答例:瓦屋根の建物が並ぶ立派な都をつくり、朝廷の権威を示すため。

  1. 設問は「都の風景にどのような意味があるか」と指定しています。防火性だけで答えず、都の見た目が持つ政治的な意味を考えます。
  2. 外国から伝わった瓦を使う建物が並ぶ景観は、朝廷の力や格式を示すことにつながります。

問4(2)|茅ぶき屋根を保ちにくくなった理由

解答例:ふき替えに多くの人手と手間が必要で、それを確保しにくくなったため。

  1. 図4では大勢の人が屋根と地上で協力し、材料を運んでふき替えています。まず図から読み取れる労力の大きさを根拠にします。
  2. 瓦やトタンへの変化を、材料の値段だけでなく、共同作業や人手を確保する難しさと結び付けます。

問5(1)|石見と熊野の場所・説明

石見=い・A、熊野=う・C

  1. 石見は現在の島根県西部で、銀山の説明Aに対応します。地図では日本海側のいです。
  2. 熊野は紀伊半島南部で、寺社や参詣道の説明C。地図のうに対応します。金山と銀山、紀伊半島と九州を混同しないようにします。

問5(2)|一部の木材だけに地名を書く理由

解答例:質のよい木材の産地として知られた地名を書き、品質や価値を示すため。

  1. 表では寸法で示された材と、石見産・熊野産とだけ示された材があります。この違いが設問の手掛かりです。
  2. 産地名そのものが木材の評価に結び付くため、地名を付けることに意味があると考えます。単に運んだ距離を示すためという説明ではありません。

問6|土砂災害防止の命令を出しにくい理由

解答例:木草の根を肥料に使えず、川沿いの田も減ることで収穫が落ち、年貢収入が減るおそれがあるため。

  1. 1つ目の命令は肥料となる根の採取を禁じ、2つ目は新しい田畑を廃棄させます。いずれも災害を減らす一方、農業生産を抑える面があります。
  2. 幕府・藩の立場から答えるので、生産減少が年貢の減少に結び付くところまで説明します。

問7|藩と幕府の立場の違い

①=自分の藩の村の利益、②=争いを裁く者

  1. 藩は自分の側の村の利益を守る当事者として交渉します。両方が同じ立場なら、主張が対立したままになりやすくなります。
  2. 幕府は藩より大きな権力を持つだけでなく、争いを裁く立場から関わります。当事者と裁定者の役割を区別する問題です。
対立を読むための立場の整理
立場求めるもの答案でつなぐ先
村・藩生活資源や自分の側の利益対立が残る理由
幕府紛争の裁定・年貢の確保裁定者と当事者の違い
所有者・林業者土地や木材からの収益利用の目的
下流住民など防災・水・環境の維持保護を求める理由

問8|川で木材を流せなくなった理由

解答例:都市の電力需要に対応する水力発電が進み、川にダムが造られて木材の流れを遮るようになったため。

  1. 川や水の利用の仕方の変化を問われています。鉄道やトラックの発達だけでは指定された理由を説明できません。
  2. 人口・生活の変化で電力需要が増え、水力発電のダムが木材の運搬経路を分断したというつながりを示します。

問9|日本で立木価格と丸太価格の差が大きい理由

解答例:森林の多くが山地にあり、伐採と丸太の搬出に人手や費用がかかるため。

  1. 立木価格から丸太価格への差には、伐採・加工・運び出す費用が含まれます。
  2. 日本の地形という指定に合わせて、山地や傾斜地の作業の難しさを挙げます。製材した後の住宅価格の違いとは分けて考えます。

問10|高度経済成長期に住宅建設が増えた理由

解答例:地方から都市へ人が移って住宅が不足したことと、親と別に暮らす世帯が増えたこと。

  1. 人口移動では、工業化などによって都市へ働き手が集まり、新しい住居が必要になります。
  2. 家族の住み方では核家族化により、同じ人口でも必要な住居の数が増えます。「理由を2つ」という指定に対し、人口移動と世帯の変化という異なる観点を用います。

問11|インドネシアが輸出品を切り替えた目的

解答例:森林を保護しつつ、国内で木を加工する産業を育て、付加価値の高い製品を輸出するため。

  1. 丸太の輸出は禁止しても、合板・パルプなどへの加工や原料生産は認めています。森林利用そのものを全面的に止める政策ではありません。
  2. そのままの木を売るのではなく、国内の製造業を育てて製品として輸出するという経済的な目的も説明します。

問12|木材チップの燃料利用が森林に与える影響

解答例:使われにくかった間伐材にも売る価値が生まれ、手入れや間伐が行われやすくなるため。

  1. 燃料という新しい使い道ができると、これまで収入に結び付きにくかった木材も活用できます。
  2. 収入の見込みが生まれることで森林整備が進むという因果関係を示します。「木を燃やすから森林が増える」と途中を省略しないようにします。

問13|森林の利用と保護が対立する具体例

解答例(91字):山の森林を伐採して太陽光発電所を造る計画がある。所有者は発電収入を得たいが、下流の住民は、雨水を蓄え土砂流出を防ぐ森林の働きが失われ、洪水の危険が増すことを心配して保護を求めている。

  1. 本文以外の具体例、土地を利用したい側の目的、森林を守りたい側の心配の3点を入れます。ここでは太陽光発電所への転用を例にしています。
  2. 発電収入を得たい所有者と、防災面を心配する下流住民を対比し、同じ森林が立場によって違う価値を持つことを説明します。
  3. 80〜120字の指定なので、句読点を含む字数を確認します。この解答例に限らず、両者の理由が具体的につながっているかが大切です。

解き直しの進め方

記述は、誰の立場かを先に決め、資料の事実から理由をつなぎましょう。最終問では利用する側・保護する側の両方の目的を具体化し、字数内で対立の構図を示す練習をします。

段階取り組むこと確認すること
1|原因を分ける間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分けるどこで手が止まったかを言葉にする
2|解説を閉じる自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか
3|時間を空ける日を改め、類題と合わせて再挑戦する条件が変わっても使える考え方になったか

志望校の過去問を、次の学習計画へ

点数だけでは、次に何を直すべきかは決まりません。進塾では、解き方・答案の根拠・つまずいた箇所を確かめ、授業と家庭で取り組む内容を整理します。集団コース・個別指導のご相談を承ります。

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