2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2025 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
麻布中学校・2025年度 入試 社会
2025年度の麻布中学校・社会は、文字・書物・読書の歴史から、現代のデジタル化や情報へのアクセスまでを扱う総合問題です。問1〜15を、知識・資料・記述の根拠とともに解説します。地図やグラフは問題冊子で確認してください。
第1問|文字・書物・読書と社会の変化
この大問で学ぶこと
記録する技術が、生活や政治をどう変えたかを考える
解くときの着眼点:技術や制度の名前だけでなく、情報を記録・複製・共有する方法の変化と、人々の行動の変化をつなぎます。
問1|文字の刻まれた金印・鉄剣・鉄刀
①=え、②=あ、③=お
- 志賀島の金印は福岡県、稲荷山古墳の鉄剣は埼玉県、江田船山古墳の鉄刀は熊本県です。
- 遺物の名前と出土地を組にして覚え、選択肢では順にえ・あ・おへ対応させます。
問2|隼人・蝦夷の暮らした地域
隼人=う、蝦夷=い
- 隼人は南九州、選択肢では鹿児島県のうです。蝦夷は東北地方などで、ここでは青森県のいを選びます。
- 当時の集団の暮らす広い地域を問うので、現代の県境と完全に一致する範囲だと考えないようにします。
問3|地方でも製紙ができるようになった理由
解答例:都で技術を学んだ人々が地方へ戻り、作り方を伝えたため。
- 各地から都に人を集め、指導を受けさせたという資料の流れを使います。
- 出来上がった紙を地方へ送ったことではなく、技術を身に付けた人が戻ることで、地方に生産能力が広がったと説明します。
問4|大宰府で税の大部分を使えた理由
解答例:中国・朝鮮半島との交渉や北九州の防備を担い、現地で多くの費用が必要だったため。
- 大宰府は都から離れた地方機関であるだけでなく、対外交渉や防衛の拠点でした。
- 九州に集めた税をその場で使う必要性を、外交・防衛という具体的な仕事と結び付けます。
問5|日本語の音が重要なもの
和歌(歌)
- 和歌では音数や響きなどが表現の大切な要素です。
- 漢文の意味だけで表すと日本語としての音が伝わりにくいため、日本語の発音を記す必要のあるものの例として適切です。
問6|花押の人物
足利義満
- 設問の「観阿弥・世阿弥を保護した」「中国との貿易を始めた」という2つの手掛かりを合わせます。
- 能を保護し、明との勘合貿易を行った室町幕府3代将軍の足利義満です。花押の形だけで人名を推測する必要はありません。
問7|版元がある場所で本を印刷した理由
解答例:増刷にも同じ版木を繰り返し使うので、版木を持つ版元のもとで印刷したため。
- 当時は木版印刷が中心で、文章や絵を彫った版木が印刷に不可欠でした。
- 同じ内容でも別の地域の版元は、その場所で版木を用意して印刷します。完成した本だけでなく、繰り返し使う版木の所在に注目します。
問8|版元が貸本屋と結び付く利点
解答例:本を広い層へ届けられることと、客の好みを知って次の出版に生かせること。
- 貸本屋は客の家を回るので、店に来ない人や本を買わない人へも読書の機会を広げられます。
- 同時に、どんな本が借りられるかという情報を版元へ返せます。販路の拡大と需要の把握という、異なる2つの利点を書きます。
| 貸本屋から広がるもの | 版元が得る利点 |
|---|---|
| 各家庭への本 | 買わない層も含む読者への広がり |
| 客の好み・流行の情報 | 次の企画や出版の判断材料 |
問9|議会が印章を使い続けたかった理由
解答例:議員は多くの記録や書類を扱うので、その都度署名すると時間がかかるため。
- 設問は議員の役割に着目するよう指定しています。公的な書類へ何度も確認をする仕事と、印章の手軽さを対応させます。
- 単に文字を書けない人が多かったからという江戸時代の説明を、明治の議員にそのまま当てはめないようにします。
問10|黙読と鉄道が出版を広げた理由
解答例:長距離移動の時間に、周囲に声を出さず本を読めるようになり、読む機会や需要が増えたため。
- 長い移動で使える時間が増え、音読でなければほかの乗客に聞かせず個人で読めます。
- 黙読と鉄道を別々に並べるだけでなく、車内の時間を読書に使えるという接点を示します。
問11|議事録が民主政治に大切な理由
解答例:議員の発言や決定の過程が正式な記録として残り、国民が確認・検証できるため。
- 最終的な決定だけでは、誰が何を主張し、なぜ決まったかが分かりません。
- 発言と経過を残すことで、政治を担う人の説明責任や、国民が判断する材料につながります。
問12|誤りを含む出版物と科学の発展
解答例:公開された内容を他の人が検証し、誤りの理由を明らかにすることで、より確かな成果につなげられるため。
- 誤りそのものを正しいものとして広めることが科学を進めるのではありません。
- 公表された主張や根拠を批判・検証し、訂正する機会が得られることに意味があります。誤り→検証→改善という流れを説明します。
問13|技術が新たな障壁を生む例
解答例:紙の点字を読めた人でも、音声や点字表示などの補助がないタブレット画面では、表示情報を指で触れて読めない。
- 具体的な機器と、情報を得る際にどの操作ができないかを対応させます。
- タブレットを一律に使えないと断定せず、触覚で読める紙の点字と、補助機能のない平面の画面の違いを示します。
問14|地図とグラフから読む書店の変化
解答例:小規模な書店が減り、駅周辺などに大型店が残る傾向がある。
- 2枚の地図では、地域に点在した書店が減り、交通の拠点付近に集中していることを読みます。
- グラフでは店舗数が大きく減る一方、総面積の減少はそれほど大きくありません。1店舗当たりが大きくなる傾向を読み、地図と合わせて説明します。
問15|文字を読む量が増えても読書離れが問題になる理由
解答例(105字):ネットでは断片的な情報を次々に読むことができるが、本は著者や編集者が情報を選び、筋道を立ててまとめている。本を読まなくなると、事柄の背景や相互の関係をまとめて理解し、得た情報を体系的な知識にする機会が減るから。
- 設問は文字の総量ではなく、本を通して読む意味を問います。ネットの断片的な情報と、本の体系的な構成を対比して考えます。
- 本をすべて正しい、ネットをすべて誤りと分ける必要はありません。背景や関連を含めてまとまった内容を理解する機会が減るという観点を示します。
- 100〜120字に収め、単に「知識が増えないから」で終えず、情報をどう知識に変えるかまで説明します。
解き直しの進め方
記述問題は、設問にある「2つ」「議員の役割」「地図とグラフの両方」などの指定に印を付けてから書きましょう。最終問は、情報の量と知識の質を区別し、まとまった文章を読む意義を100〜120字で説明する練習をします。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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