2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2025 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
麻布中学校・2025年度 入試 国語
2025年度の麻布中学校・国語は、ウミガメを見守る少女が、故郷とのつながりと自分の生き方を考える物語です。問一〜十三を14項目に分け、回想と現在、人物どうしの考えの違い、結末の表現を読み解きます。記述は根拠を整理した解答例であり、表現が唯一の正解という意味ではありません。
第1問|ウミガメ・故郷・受け継がれる記憶
この大問で学ぶこと
カメに重ねた自己像が、結末でどう変わるかを追う
解くときの着眼点:置いていかれた自分の分身だったカメが、自由に生きる存在へ変わって見える流れが中心です。
問一|4年前に海を渡ったもの
浜に取り残されていた子ガメ
- 冒頭で示された、4年前に沙月と佐和が育てて放したカメを特定します。後の回想で、浜に残され弱っていたことが明らかになります。
- 抜き出しは、何のカメかまで分かる本文の表現をそのまま使います。
問二|役場へ連絡しなかったときの事情
解答例:浜に残され死にかけた子ガメを沙月が持ち帰り、助けたいと泣いて佐和に訴えていたこと。
- 4年前の回想で、沙月は自分が持ち帰ったのに飼い方が分からず、子ガメを弱らせてしまっています。
- 子ガメの危機と沙月の必死の願いを合わせます。佐和が本来の手続を後回しにした心情の背景を、当時の出来事で説明します。
問三|子ガメを沙月自身だと言える理由
解答例:姉が都会へ出ていき元気を失った沙月と、仲間が海へ出た後の浜に残って弱った子ガメが、置いていかれた者として重なるため。
- 佐和は子ガメの様子だけでなく、姉が去ってからの沙月の様子も見ています。
- 姉とほかの子ガメ、残された沙月と残されたカメ、という対応を両方書きます。沙月がカメを好きだからという理由ではありません。
問四|自分のカメを海へ放したい理由
解答例:自分はまだ外へ出られないので、カメに自分の代わりに広く遠い世界を見てほしいと願ったため。
- 沙月は地域の保護活動全体や個体数の増加を目的に育てたわけではないと考えています。
- 育てたカメを自分の分身と感じ、海の向こうへ送り出すという個人的な願いを説明します。
問五|卵を戻したことがもう叱られない理由
解答例:自分たちの育てたカメが無事に海を渡ったと知り、元気にするために育てたことの意味を確かめられたため。
- 佐和は、沙月が卵を持ち出して巣穴へ戻したことを知っています。一方で、昔放したカメが遠くへ渡った知らせも得ています。
- 助けたカメが元気に生きたことが、沙月の励みになったと佐和は理解します。卵を取る行為自体を正当化した、という読み方にはしません。
問六|ティムにとって故郷とは何かと疑問を持つ理由
解答例:自分は生まれた土地を離れることに不安があるのに、ティムは故郷から遠く離れて世界を巡って暮らしており、その生き方が不思議だったため。
- 沙月はティムが日本にずっと住むつもりではなく、世界を放浪するように生きていると感じます。
- 故郷へのこだわりが強い自分と、移動して生きるティムとの差を使います。単に彼が外国人だからという説明ではありません。
問七|古いトーテムポールをどう考えるか
イ
- 沙月は古く貴重なものが残されているなら、人が適切に守ったほうがよいのではと考えます。
- ティムは作られた後を自然へ任せ、朽ちてサケや森の養分へ戻る循環を語ります。保護の考えと自然へ委ねる考えを対比するイです。
問八|黙って水平線を見るときの沙月
ア
- 沙月はカメが産卵のために生まれた浜へ戻る習性を知っていました。一方、ティムの祖先の記憶をめぐる話から、人も遠くから生まれた土地へ戻るように導かれることに心を動かされます。
- カメの海の旅と人間の移動を重ねる場面です。カメが海流を間違えたと知ったり、人間がカメを保護する傲慢さだけを反省したりする場面ではありません。
問九|子ガメに勇気があると思う理由
解答例:先に何があるか分からない厳しい海へためらわず進む姿に、故郷を出るのを恐れる自分にはない強さを感じたため。
- 子ガメは小さな波にも押し戻されますが、再び海へ進みます。直後、沙月は姫ヶ浦から出ることも、出ないことも怖いと話します。
- カメの具体的な動きと、沙月の将来への迷いを関連付けます。単に小さいのに泳げるからではありません。
問十|手帳を預けようとする佐和の思い
解答例:沙月が将来どこへ行っても、故郷の姫ヶ浦とのつながりはなくならないと伝えたい。
- 佐和は手帳を、自分と沙月の育てたカメの標識番号が書かれたお守りとして渡そうとします。
- カメが戻るかどうかの実用的な記録だけでなく、沙月が土地を離れても持ち続けられるつながりを形にしています。
問十一|熱い思いがこみ上げる理由
解答例:故郷を出ることも残ることも怖がる自分に、生まれた土地に縛られず好きな所で生きてよいと佐和が伝え、勇気付けてくれたことがうれしかったため。
- 佐和はカメの帰る浜を人が決められないことから、人間にも生まれた土地への責任が必ずあるわけではないと話します。
- 沙月の悩みと、その悩みに対する佐和の言葉の意味を両方入れます。土地を捨てろと命じられたのではなく、選んでよいと認められた喜びです。
問十二(1)|ティムのような人
解答例:祖先の記憶をたどり、遠く離れた土地から姫ヶ浦へやって来る人。
- ティムは姫ヶ浦生まれではありませんが、母から聞いた祖先の物語や日本とのつながりを持ち、カメを見守っています。
- 国籍や出身地だけで説明せず、何に導かれてここへ来たのかを述べます。
問十二(2)|自分の記憶も潮に乗って帰るという思い
解答例:自分が姫ヶ浦を離れても、ここで育ちカメを見守った記憶は消えず、ティムのような別の人に受け継がれて、いつかこの土地へ戻ると感じていること。
- ティムは遠い祖先の物語に導かれて日本へ来ています。沙月はその姿から、土地の記憶をつなぐのは自分1人でなくてもよいと考えられるようになります。
- 海を渡るカメ、自然へ還るトーテムポール、遠くから来たティムの話を、沙月自身の将来へまとめる結末です。「帰る」は自分が必ず戻る義務ではなく、記憶が人を介して続くというイメージです。
| 題材 | 本文で語られること | 沙月の理解につながる点 |
|---|---|---|
| 子ガメ | 海を渡り帰る場所は人が決められない | 故郷に縛られなくてよい |
| トーテムポール | 自然へ還り循環する | 消えることと失われることは同じでない |
| ティム | 祖先の記憶をたどって来る | 別の人が土地の記憶をつなぐ |
問十三|漢字
a=巻、b=絶好、c=墓地、d=伝承
- 波を表す「白く巻いた」、最もよい機会を示す「絶好」、墓のある場所「墓地」、伝え受け継ぐ物語の「伝承」です。
- 字だけを孤立して覚えず、本文中の意味と組にして確認します。
解き直しの進め方
沙月がカメに何を重ねているかを、4年前・現在・結末に分けて書きましょう。佐和の言葉やティムの話を独立した話として覚えず、沙月の悩みを変える役割に着目して最終記述へつなぎます。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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