2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2025 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
開成中学校・2025年度 2月1日入試 国語
2025年度の開成中学校・国語を、全2大問・全7問の8項目に分けて解説します。古内一絵『百年の子』による文章では児童文学と子ども観を、永井玲衣『世界の適切な保存』による文章では伝わらなさと他者への配慮を読みます。記述は進塾独自の解答例を示し、本文の根拠をどう答案へ結ぶかを整理しています。
第1問|子どもを信じる児童文学の仕事
この大問で学ぶこと
大人が求める安心と、子どもの現実に向き合う誠実さを区別する
問一|三津彦が重視する児童文学の仕事
解答例:子どもを一人の人間として尊重し、能力や個性を発揮できるよう、型にはめずに子どもとは何かを大人が考え続けること。
- 三津彦は、売れている学年誌でも、一人ひとりの要求に応えられているかを問い直しています。売上や流行が目的なのではありません。
- 子どもを大人の都合のよい型に当てはめると、能力や個性を十分に発揮できなくなるという話から、子どもを一人の人間として認める必要を拾います。
- 何をする仕事かを問われているので、子ども観を考え続けるという行為まで書きます。「楽しく読める本を作る」だけでは、本文の議論を捉えられません。
問二|「二重に捨てられた」のもう一つの意味
解答例:現実から遠い物語の孤児と比べ、本当の浮浪児である自分は救われる対象にも含まれず、みじめだと思い知らされて絶望したこと。
- 一つ目は戦争で保護者を失ったことです。設問はそれを繰り返すのでなく、映画や物語を見た後に感じた別の見捨てられ方を尋ねています。
- 物語では孤児に救いが与えられますが、地下道で暮らす三津彦の現実は、描かれた世界からあまりに離れていました。物語の救済の外に自分がいるという感覚が中心です。
- 物語が単につまらなかった、という感想へ置き換えず、自分の現実と作品の世界の隔たり、そこから生じた絶望をつなぎます。
問三|君嶋の「ああいう誠実さ」
解答例:子どもを信じ、甘い結末で安心させようとせず、苦しみや厳しい現実を都合よく変えずに描く姿勢。
- 君嶋の作品は、安心できる終わり方を優先せず、侵略や差別などの現実にも目を向けています。三津彦は、その姿勢を子どもへの信頼と結び付けています。
- 残酷な話を好む、という意味ではありません。子どもに現実を受け止める力があると信じるから、書き手の都合で簡単に解決しない点を説明します。
- 理由である子どもへの信頼と、表現上の態度である現実への忠実さを一つの文にまとめます。
第2問|伝わらなさと、人が持つまぶた
この大問で学ぶこと
二つの具体例と魚の比喩を、他者への配慮へ結び付ける
問一|文脈に合う漢字
1=規模、2=無機質、3=裏側、4=明示
- 大学の大きさを表す語は規模、教室の冷たく無機的な感じを表す語は無機質です。建物の反対側は裏側、はっきり示すことは明示です。
- 同じ読みの別の語を当てはめず、直前直後の名詞や動作とのつながりを確認します。無機質の機、裏側の裏など、字形も最後に点検します。
問二①|シンポジウムの話の喜劇的な点
解答例:日本語の分からない人へ配慮するための質問を、その相手に伝わらない日本語でしている点。
- 先生は英語での説明が必要な人を確かめようとしています。しかし質問自体が日本語なので、必要としている相手が答えられません。
- 相手への配慮という目的と、その目的を果たせない方法が食い違っています。単に誰も手を挙げなかった、という結果だけでなく、その矛盾を説明します。
| 場面 | 本来の目的 | 目的とずれた方法 |
|---|---|---|
| シンポジウム | 日本語の分からない人へ配慮する | 確認の質問そのものが日本語 |
| 検収センター | まだ来ていない人を案内する | 案内地図が建物の中にある |
問二②|検収センターの話の喜劇的な点
解答例:建物へたどり着くための案内地図が、すでに着いた人しか見られない建物の中にある点。
- 筆者は場所を探して建物の外を歩き回っています。見つけた後に、建物の内部に位置を示す地図が掲示されていると気付きます。
- これから探す人を導く案内なのに、その案内を見るには先に到着していなければなりません。何のための地図かと、どこにあるかの逆転を捉えます。
問三|魚との対比で説明する人間の特徴
解答例:心があるため他者とのつながりを求める一方、自分に都合の悪いときには意思によって関わりを閉ざせること。
- 魚はまぶたを閉じられず、見ないことを選べません。人間はまぶたを閉じ、他者を見ないことを選べるという比喩です。
- ここでの自由は、相手の話を聞いたり心を通わせたりできるだけでなく、それを拒むこともできるという両面を持ちます。
- 単に人にはまぶたがある、で止めず、心を求めながら閉ざせるという人間関係の意味へ置き換えます。
問四|なぜ伝えることは「とんでもない」のか
解答例:自分の伝えたいことを相手に押し付け、本人が意識しないまま相手の心へ入り込み、傷つけてしまうことがあるから。
- 筆者は、相手の領域へ情報を一方的に入れることと、相手とやり取りしながら伝えることを区別しています。それでも伝えたものが相手に痛みを与えることがあります。
- 比喩の腕を突っ込む、熱い腕で破るという表現は、文字通りの身体への行為ではなく、心への強い侵入と傷つきを表します。
- 伝わらないから困る、だけでは理由が逆です。伝わったときにも、相手の心へ望まれない影響を与え得るという怖さを説明します。
解き直しの進め方
抽象的な言葉を見つけたら、直前の具体例へ戻って意味を確かめましょう。「二重」の一つ目と二つ目、「心を求める」と「閉ざせる」など、対になった要素を並べると答案が安定します。設問が理由か内容説明かを確認し、本文の対比を残したまま自分の言葉で説明し直します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
志望校の過去問を、次の学習計画へ
点数だけでは、次に何を直すべきかは決まりません。進塾では、解き方・答案の根拠・つまずいた箇所を確かめ、授業と家庭で取り組む内容を整理します。集団コース・個別指導のご相談を承ります。
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