2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
開成中学校・2024年度 2月1日入試 国語
2024年度の開成中学校・国語を、全2大問・全8問の10項目に分けて解説します。佐々木正人『時速250kmのシャトルが見える』による文章では身体と環境の関係を、千早茜「鵺の森」による文章では他者の評価と自己の在り方を読み取ります。記述は進塾独自の解答例を示し、字数指定のある答案は条件を確認しています。
第1問|身体と環境のアフォーダンス
この大問で学ぶこと
制約の中で環境の性質を見いだし、動きを生む関係を読む
問一①|何に性質があるのか
プールの水
- ここでの「与える」は、人が指示することではなく、周囲の環境の性質が行動を可能にするという意味です。
- リハビリの例で、その環境に当たるのはプールの水です。指定が5字なので、水やプールだけに縮めず、プールの水と答えます。
問一②|誰の身体への働きか
下脚のない全身
- 例は、事故などで両脚の膝から下を切断した人の水中でのリハビリです。水の性質と関係するのは、その人の身体全体です。
- 本文から7字で抜き出す指定なので、下脚のない全身を選びます。「人一般」へ広げず、文中の身体の条件を残します。
問一③|可能となった行動
水平に背と腰をくねらせる
- 最初は短い脚の上下動で進めなくても、水に入って過ごすうちに、大腿部の左右の動きから、背と腰を水平にくねらせる動きへ変わっています。
- 周囲の水の性質と身体の関係から生まれた、新しい動作が答えです。訓練を受ける、努力するなどの一般的な行為に置き換えません。
問二|筆者がアフォーダンスを実感した理由
解答例:失明した人の歩行訓練に同行し、視覚を使わず、空気の振動や微細な変化から周囲を知る感覚を実感できたから。
- 筆者は、視覚障害のある男性の訓練に同行し、建物の外で、空気全体が多様な音や振動、微細な変化に満ちていることを感じました。
- 男性はそれらを使って自分の位置や向きを知り、生活しています。目が見えないという欠如だけでなく、別の感覚が環境の性質を利用することに気付いた経験です。
- 男性が歩けたという結果だけでなく、筆者自身もその感覚を経験したことを含めます。解答例は60字以内に収めています。
問三|歩行経験とスポーツの共通点
解答例:困難や不自由の中でも環境のアフォーダンスを利用し、わずかな自由を見いだしている点。
- どちらも、困難や制約を取り除いてから動くのではなく、その条件の中で利用できる環境の性質を見いだしています。
- 歩行では音や振動、スポーツでは用具・身体・空間などの性質を手掛かりに、行動の可能性を広げます。本文のアフォーダンスという語を使って共通点をまとめます。
- 単に努力や勇気があるという精神論ではありません。制約の中のわずかな自由と、環境の性質を利用する行動の両方を答えます。解答例は50字以内です。
第2問|「鵺の森」と他者の評価
この大問で学ぶこと
自分を守る視線から、孤高の存在を受け入れる変化を追う
問一|「僕」が感じた安心
解答例:自分と同じ転校生で、しかも自分より目立って不器用に見える翔也がいれば、いじめの標的が自分に向かずに済むこと。
- 「僕」も転校が多く、周囲へ溶け込むため顔色や関係を慎重に読んでいます。同じ転校生の翔也は、周囲の視線に合わせるのが上手ではありません。
- ここでの安心は、友達ができた喜びではなく、翔也の方へ標的が向かえば自分は守られるという自己保身です。二人の共通点と、教室での立場の差を根拠にします。
問二|プールで騒ぐ声を見る「僕」の気持ち
解答例:楽しげにはしゃぐクラスメイトへ溶け込めない自分を感じ、外から眺めるよそ者として、冷めた気持ちで見ている。
- 「僕」は周囲に合わせようとしても、この町で生まれた子どもたちと同じにはなれないと感じています。その直後の高い声への疑問には、距離を置く視線が表れています。
- ただうるさいという苛立ちだけでなく、外部の人間として集団を見ている孤立感を含めます。問いの前後にある、溶け込みたいのに溶け込めないという背景が根拠です。
問三|翔也の模型が飛び立ちそうだと感じた「僕」
解答例:見事な模型で皆から称賛される翔也がまぶしく、その才能や注目される姿をねたましく感じている。
- 精巧な鳥の模型にクラスメイトが集まり、翔也はそれまでと違って明るく誇らしげです。「僕」は模型の素晴らしさを認める一方、翔也が皆の中心となる姿を見ています。
- 単に作品に感動しただけでなく、これまで自分より下に見ていた相手が称賛されることへの嫉妬が重なっています。まぶしさとねたましさの二つをまとめます。
問四|鵺を見る前と後の気持ちの変化
解答例:自分を理解する仲間が欲しかったが、孤高で堂々とした鵺を見て、他人の評価に左右されず一人でも生きようと決めた。
- 見る前の翔也は、自分と同じ人や理解してくれる仲間を求めています。しかし、他人と違えばどこでも排除されるかもしれないという恐れがあります。
- 鵺は、完全に異質でありながら美しく、ただ一人で堂々と存在します。そこから翔也は、周りに違うと言われても、自分の居場所や存在を否定する必要はないと考えます。
- 変化の前と後を両方書き、転機である鵺の孤高の姿をつなぎます。仲間を作る努力をやめた、という表面だけでなく、他者の評価から自由になる決意を捉えます。
| 時点 | 他者との関係の捉え方 | 目指す生き方 |
|---|---|---|
| 鵺を見る前 | 理解されず、一人になることを恐れる | 自分を分かってくれる仲間を探す |
| 鵺を見た後 | 違いを指摘されても存在は揺らがない | 他者の評価に従わず、堂々と生きる |
問五|文脈に合う漢字
①一挙一動、②呼吸、③退治、④神聖、⑤異質
- 他者に見られる一つひとつの振る舞いは一挙一動、息をすることは呼吸、恐れる存在を倒す行為は退治です。
- 儀式の清らかで侵し難い感じには神聖、昼間の光とは性質が違うことには異質を使います。熟語の意味を、それぞれの場面の描写に戻して確かめます。
解き直しの進め方
説明文では具体例を「環境・身体・可能になる行動」の三つへ分けましょう。物語では同じ人物への感情が一つとは限りません。称賛と嫉妬、仲間への願いと自立など、重なる感情や変化を前後の場面から拾い、答案の中へ関係を残します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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