2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2026 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
渋谷教育学園渋谷中学校・2026年度 第1回 社会
仕事・労働の歴史、外国人労働者の権利、食文化という三つの切り口で、知識を資料に結び付ける問題です。各小問について、正誤の分かれ目と記述の組み立てを説明します。原問題を手元に置いて読み進めてください。
第1問|仕事・労働から読む日本史
この大問で学ぶこと
知識と史料をつなぎ、政策の目的を因果関係で説明する
解くときの着眼点:誤りの選択肢は、正しい言葉が含まれていても、年代や理由のつながりが違えば除外します。
問1|生産に使う道具と時代
ウ
- Xは表面を磨いた磨製石器で縄文時代、Yは打製石器で旧石器時代、Zは青銅鏡で弥生時代に対応します。
- 石の道具だから全て旧石器時代とせず、加工方法と材質を分けて観察します。
問2|租・庸・調の史跡
イ
- 誤りを選ぶ問題です。和同開珎の鋳造を記念した年号は和銅であり、平安京への遷都を表すものではありません。平安京遷都は794年です。
- Xの地券は地租、調布の地名は布を納める調と対応します。資料の説明のうち、歴史上のできごととの結び付けを検査します。
問3(1)|道長の日記と政治
エ(X正・Y誤・Z誤)
- 日記では貴族たちが調査と会議をしているため、道長一人だけで政治を決めたとは読めません。Xは正しいと判断します。
- Yは寺院と人物を取り違えています。御堂関白記の名は道長が建立した法成寺に関係し、平等院鳳凰堂は息子の藤原頼通による建立です。Zも、遣唐使はこの日記の時代より前に停止されているため誤りです。
問3(2)|十二支の時刻
1時30分〜2時00分
- 午の一刻は11時から11時30分です。一つの十二支が二時間、四つの刻に分かれることを資料から読み取ります。
- 午から順に二時間ずつ戻すと、子は23時〜1時、丑は1時〜3時です。丑の二刻は、その二つ目の30分間になります。
| 時刻の区分 | 現代の時間 |
|---|---|
| 午 | 11時〜13時 |
| 子 | 23時〜翌1時 |
| 丑 | 1時〜3時 |
| 丑の二刻 | 1時30分〜2時 |
問3(3)|女房の文学と摂関政治
Ⅰ 藤原/Ⅱ 男子を産むこと
- 国司を望む貴族は、任免権を持つ有力者との関係を強めようとします。その娘が女房として仕える相手は藤原氏の娘です。
- 藤原氏が天皇の外戚として権力を保つためには、娘が天皇との間に男子を産むことが重要でした。文学的な教養が、宮廷での奉仕や娘への働き掛けに結び付く流れを押さえます。
問4|御恩と奉公
ウ
- 誤っているのは、元寇の後に御恩として与える土地が十分増えたとする説明です。侵入を防いでも、新しい領土を得たわけではありません。
- 戦功に見合う恩賞が乏しかったことが御家人の不満につながります。御恩は本領安堵・新恩給与、奉公は軍役や警備など、向きを分けて整理しましょう。
問5(1)|商品作物を禁じる理由
Ⅰ例:現金収入を得られる/Ⅱ例:稲を栽培しない分、年貢が減る
- 販売用の作物は、売ることで現金を得られる点が農民にとって有利です。貨幣の普及を説明する資料②と結び付けます。
- 一方、当時の支配側は米による年貢を重視していました。米以外の栽培が広がることで年貢収入が減るという、立場の違いを理由にします。Ⅰ10字以内・Ⅱ15字以内の指定を守ります。
問5(2)|18世紀前半の政策
イ
- 荻生徂徠が意見書を提出した時期は徳川吉宗の政治です。倹約や定免法による年貢率の固定が対応します。
- 参勤交代の制度化は徳川家光、異国船打払令は19世紀です。人物・年代・政策の三点をそろえて選びます。
問6|大阪紡績と生産の変化
ウ(X誤・Y正)
- 大阪紡績の創立は1883年で、日清戦争の開戦1894年より前です。戦争で男子が取られたことを創立時の女性労働者の多さの理由にはできません。
- Yは資料②の手作業・家庭生産との対比として正しいと判断します。ただし一般的な産業史では、機械化以前にも人を集めた手工業生産があったことは区別しておきましょう。
問7|戦時中のぜいたく禁止
記述例:戦争中の物資不足の中、ぜいたくを控えさせ、物資を軍事に回すため。
- 写真の空欄は「ぜいたく」です。消費を抑えることと、軍需へ資源を優先配分することをつなぎます。
- 「戦争中だったから」だけで終えず、物資の不足→私的消費の抑制→軍事への集中という目的まで、50字以内で説明します。
問8|戦後の労働を年代順に
ウ
- 古い順は、オ(労働基準法)→イ(高度経済成長と通勤混雑)→ウ(バブルと崩壊後)→エ(構造改革・非正規雇用)→ア(働き方改革)です。
- 三番目を答えるのでウを選びます。各選択肢を「戦後直後・高度成長・バブル・2000年代・近年」の時代区分に置くと整理できます。
第2問|外国人労働者と権利
この大問で学ぶこと
統計から課題をつかみ、法制度の仕組みと区別する
解くときの着眼点:資料の対象年・集計対象・割合の分母を先に確認します。現行法の一般論と、出題時点の時事問題を分けて読みましょう。
問1|技能実習制度の見直し
イ(Ⅰ正・Ⅱ誤)
- Ⅰは長時間労働などの問題を改善するという、設問の背景と一致します。Ⅱの「高い専門性を持つ技術者や研究者を対象」は、技能実習の説明として適切ではありません。
- 制度の名称だけから内容を推測せず、実際の目的と課題を対応させます。この記事は2026年度の出題を解説しています。育成就労制度の運用開始は2027年4月1日で、入試時点ですでに全面移行していたという意味ではありません。
問2|法律ができる手順
ウ(Ⅰ誤・Ⅱ正)
- 法律案は議員・内閣から提出できますが、通常は委員会の審査を経て本会議へ進みます。「初めに本会議で審議」とするⅠは適切ではありません。
- 衆議院で可決した法律案を参議院が否決した場合、衆議院で出席議員の三分の二以上により再可決すれば法律となります。予算や条約と同じ手続きにしないことが大切です。
問3|事故を減らす伝達の工夫
記述例:多言語の表示や絵で、危険な行為を知らせる。
- 資料の表は事故の種類別の割合であり、それだけで外国人の事故件数や個人の危険度が必ず高いとは言えません。ここでは図にある機械の危険の伝え方を考えます。
- 日本語だけでは伝わらない可能性に対し、理解できる言語とイラストで注意を伝える方法を書きます。「注意する」だけより、誰にどう伝えるかを具体化します。30字以内の指定も確認します。
| 分かること | この表だけでは分からないこと |
|---|---|
| 各集団で事故の種類が占める割合 | 労働者一人当たりの事故の発生確率 |
| 外国人で「はさまれ・巻き込まれ」が24.0% | 全事故の件数の多少 |
問4|日本に住む外国人の権利
イ・ウ・エ
- 公立の小中学校で無償の教育を受けること、裁判を受けること、最低賃金の適用が対応します。外国人の就学は、日本人の保護者の就学義務と同じ意味ではありません。
- 国政選挙への立候補には日本国籍が必要です。また、国籍によって低い消費税率になる制度はありません。権利を全て同じ条件で扱うのではなく、選択肢ごとに判定します。
問5|労働組合が行う交渉
団体交渉
- 労働者が労働組合を通じ、使用者と労働条件などについて交渉することです。賃金や勤務条件の改善を個人だけで求める場合と区別します。
- 憲法上の労働三権は団結権・団体交渉権・団体行動権です。空欄は四字指定なので「団体交渉」と答え、「権」は加えません。
問6|東京都の外国人雇用の産業構成
エ
- 東京は、比較対象の三県より情報通信業、宿泊・飲食サービス業、教育・学習支援業などの割合が高い行を選びます。エは情報通信12.4%、宿泊・飲食20.1%で、製造業5.8%です。
- この表は都県ごとの外国人労働者の産業構成比です。東京都の外国人労働者の人数の総数を示す表ではありません。割合と人数を混同しないようにします。
問7|移民をめぐる対立
ウ(Ⅰ誤・Ⅱ正)
- EUの国々でも移民政策が選挙の争点になるため、「争点になることはない」というⅠは誤りです。Ⅱは出題時点の米国の政策・反対運動の説明として正しいと判断します。
- 「全て」「ない」など強い断定を確かめましょう。ここでの判定は2026年度問題の時事的な背景に基づくもので、その後の政策が変わらないとする説明ではありません。
第3問|食文化から読む地理と歴史
この大問で学ぶこと
料理の材料・産地・都市の防災を関連付ける
解くときの着眼点:地名の暗記で止めず、気候・作物・製法・歴史上の用途をつなげて説明します。
問1(1)|麺の原料と名称
原料A/そうめん
- 小麦粉に水と塩を加え、油を塗って細く延ばす作り方は手延べそうめんです。三輪・播州・小豆島などの地名も手掛かりになります。
- Aは小麦、Bはそばと判定します。製法の説明を先に使い、産地の順位だけで決めないことが大切です。
問1(2)|二つの作物の主要産地
北海道
- AとBの両方で一位に共通して入るのは北海道です。北海道は広い農地を生かした畑作が盛んです。
- 生産順位は問題が指定する2024年の統計を読みます。将来も常に同じ順位になるという意味ではありません。
問1(3)|岩手県の郷土料理
イ
- 表の(お)は岩手県です。平民宰相として知られる原敬が好んだとされるわんこそばの説明であるイを選びます。
- アは愛知のきしめん、ウは長野の信州そば、エは福岡のうどんの説明です。同じそばでも、歴史人物や地名の手掛かりで区別します。
問2|江戸の空き地の目的
記述例:火事が広がることを防ぐため。
- 1657年の明暦の大火後、延焼を抑えるための火除地が整備されました。地図の空地を、店を出しやすい場所という用途だけで見ないことが大切です。
- 目的は「火事を絶対に起こさない」ことではなく、火が燃え広がるのを防ぐことです。15字以内で目的を端的に書きます。
問3(1)|江戸の揚げ油の原料
ア
- アは菜の花で、種子から菜種油を取ります。イのオリーブ、ウのブタ、エのココナツとは、植物・動物と当時の利用を区別します。
- 写真を見て植物名を判定し、それが油の原料になることをつなぎます。
問3(2)|東京湾でとれた魚介
イ
- イのタカアシガニは深い海にすむカニで、この問題で扱う江戸の東京湾の天ぷらの材料としては適切でありません。
- エビ、貝、アナゴなど、江戸前の魚介との違いを整理します。図の縮尺が同じでないという注意から、絵の大きさだけで判定しないようにします。
問4|早く収穫する栽培の工夫
A ビニールハウス/B 熱/C 促成
- むしろや障子紙で覆うと、作物の周囲の温度を保ちやすくなります。生ごみの分解で発生する熱も利用していました。
- 暖かい環境を作って通常より早く育てるため、促成栽培です。涼しい条件などで出荷を遅らせる抑制栽培と対にして覚えます。
解き直しの進め方
選択肢の誤りは正しい文に直し、記述は資料の事実→理由→政策の目的の順に再構成します。統計の割合と人数、入試時点と現時点の制度の違いを分けることも復習の中心です。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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