2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2026 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
渋谷教育学園渋谷中学校・2026年度 第1回 国語
小説では入院中の娘を見守る父の気付き、論説では人間集団を捉える二つの原理を読みます。本文を手元に置き、選択肢のずれを見つける手順と、字数指定に合わせた記述の組み立てを確認しましょう。記述例は進塾独自の例で、学校公表の採点基準を示すものではありません。
第1問|前川ほまれ「臨床のスピカ」
この大問で学ぶこと
父親の視点と娘の成長を、行動の変化から読む
解くときの着眼点:父がどう感じたかと、娘が実際にどう行動したかを分けて記録すると、心理の変化を過大に読み込まずに済みます。
問一|漢字
①宣告/②混在/③清潔
- ①は医師などが状態をはっきり告げる文脈の「宣告」。②は違うものが交じってある「混在」。③は汚れがなくきれいな「清潔」です。
- 熟語の意味と前後の文を合わせて確認します。清潔の「潔」は細かな部分を省略しないように書きましょう。
問二|充電器を探し続けた理由
記述例:娘が早く家へ帰りたいと願っているのに、今はかなえてやれないことが父としてつらく、答えを避けるしかなかったから。
- 娘は外泊しても病院へ戻ると不満を示し、父は娘の望みを実現できない苦しさを抱えています。充電器がないと分かっているのに探すのは、物探しそのものが目的ではありません。
- 娘の希望→父がかなえられない現実→つらさから返事をごまかす、という流れを51字以上60字以内でまとめます。充電器を忘れたことへの罪悪感だけを理由にしないことが大切です。
| 表面の行動 | 娘の希望と現実 | 説明すべき心理 |
|---|---|---|
| ないと分かる充電器を探す | 帰宅したいが、今はかなえられない | 返事を避けるほどつらい |
問三|父の気持ちの説明
エ
- 父は娘の前で楽しい未来を示そうとしますが、反応を得られず行き詰まっています。その後、担当医や看護師とは異なる位置にいるハンドラーへ、抑えていた思いを話し始めます。
- 選択肢は前半と後半を別々に確認します。親としての悩みと打ち明ける相手の役割が合うエを選びます。娘が父を気遣う、父が生きる希望を失う、など本文にない強い説明は採りません。
問四|犬を撫でた父の表情
エ
- ハンドラーから犬は静かに寄り添う存在だと聞き、娘が犬と触れ合って笑った場面を思い起こします。実際に触れると柔らかさと温かさが伝わり、父自身の緊張もほどけます。
- 動物が人の言葉を理解する能力に驚いたからではなく、言葉に頼らない交流で心が動いたことが中心です。父の感覚と表情の変化をつなぎます。
問五|励ましを不快に感じなかった理由
ウ
- 父は、それまで娘に頑張るよう求めることを負担に感じていました。しかしハンドラーの励ましからは、娘自身が前へ進むことを急がず支える姿勢が感じられました。
- 医療スタッフが努力を否定した、他人が治療を決定するなど、本文にない意味を足さず、同じ言葉でも相手や状況によって受け取り方が変わる点を説明します。
問六|娘が自分から歩く意味
オ
- 初めは治療に向けた準備を嫌がっていましたが、犬と病棟を歩くことが楽しい経験になり、娘自身が次の一歩を選びます。
- 治療への不安が完全になくなった、犬を信頼したからどんな治療も受ける、という断定ではありません。不安がある中でも、他人とつながりながら前へ進む変化を捉えます。
問七|最後に父が息をのんだ理由
ア
- 壁のメッセージの文字が以前より整っていることから、病院にいる間にも娘が成長していたと気付きます。父が退院後にだけ目を向けていたこととの対比が重要です。
- 入院中の毎日も娘にとって大切な時間だと、実感を伴って受け止めた驚きです。治療への決意を直接読み取った、守る対象でなくなった、とする説明とは違います。
| 初めの父 | 終わりの気付き |
|---|---|
| 退院後の楽しみで娘を励まそうとする | 入院中にも娘が成長していると気付く |
| 娘を守り治療を支えようとする | 娘自身が踏み出す歩みを見守る |
問八|作品の解釈として誤りを選ぶ
ア
- 父が犬を返事のできる相手のように扱う場面があるからといって、検査や治療の前に危険を冒して挑む勇気を得たとは読めません。
- 父は冒険という言い方を、未知の場所を見に行く探検へと捉え直しています。イ〜オにある娘への配慮、父の負い目、犬と父の類似、親離れを感じさせる変化は、本文の具体的な描写と対応します。
第2問|磯野真穂「自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門」
この大問で学ぶこと
集団を固定的な国民性で説明せず、二つの原理の働きを読む
解くときの着眼点:二つの原理がどの社会にもあるという結論を踏まえ、筆者が批判する固定的な比較と、筆者自身の説明を取り違えないようにします。
問一|送り仮名のある漢字
①預(け)/②勤(め)/③招(いて)
- 子どもを人に任せるのは「預ける」、会社に職を持つのは「勤める」、外部の者を迎えるのは「招く」です。
- 同じ読みでも文脈で字が変わります。設問が漢字部分を求めることと、問題に示された送り仮名の位置を確認して書きます。
問二|タイ人・ラオ人の集団形成
オ
- ふさわしくないものを選びます。妻方の家族の近くに住む傾向や、末娘が両親の世話と財産継承を担う説明は本文にありますが、養育を主に妻方の男兄弟が担うという説明は一致しません。
- 本文は、妻方居住と母系出自集団を同じものとして扱わず、養育や財産のルールの違いを説明しています。一部が似ていることだけで集団全体を同一視しないようにします。
問三|本文の「家」の考え方
ウ
- 同じ空間で暮らす者どうしの生活関係を重視する、日本独自の集団原理として説明されています。血縁だけでメンバーが決まる仕組みではありません。
- 日本人だけが共に生活する、血縁以外の相続のためだけに発明された、といった狭すぎる説明は不適切です。結婚以外に養子などを迎える例にも注目します。
問四1|資格と場の両方を共有する集団
イ
- 同じ学校・学年という資格と、同じ教室という場の両方を持つ小学生たちです。
- 武将の一族、差別を受けた人々、医療従事者、競技場へ集まった観客の各例で、資格と場が本当に両方そろうかを照合します。同じ場所へ一度集まることだけで両方共有したとはいえません。
問四2|「家」を説明する記述
記述例:血縁という同じ資格を持っていることよりも、共に暮らし生活を営むという場の共有を優先する人々によって成り立つ集団。
- 問いは日本の集団原理としての家の定義です。血のつながりという資格と、共に生活するという場を対比させ、どちらを優先するかを書きます。
- 51字以上60字以内で、血縁を全く認めない集団と説明しないことが重要です。住居という建物の説明だけで終えず、集団の成員を決める原理としてまとめます。
| 原理 | 境界の決め方 | 本文中の例 |
|---|---|---|
| 資格 | 共通の属性による | 血縁・職業・学歴など |
| 場 | 共に活動する場所による | 家・学校・会社など |
問五|ウチとソトを分ける理由
ア
- 場だけを共有する集団は、同じ資格を持つという外から分かる共通性だけでは結び付きを保てません。そのため、相手の内面にまで関わって結束を強めることがあります。
- 内側の仲間意識を確かめる働きが、外の人を区別する傾向にもつながります。場による集団だからこそ共通の考えが最初から完成している、という説明ではありません。
問六|中根の議論が現在も有効な理由
記述例:どの社会にも資格と場の原理は共に存在し、どんな状況でどちらが優勢になり、どう変化していくかを考えることが、人間の集団を理解する文化人類学の思考だから。
- 結論では、インド人は資格、日本人は場という固定的な区分を否定しています。二つの原理がどの社会にも存在することと、その働き方を状況や変化から考えることが要点です。
- 71字以上90字以内で、共通の原理→優勢になる条件と変化→思考法としての有効性をつなぎます。昔の日本の特徴が今も全て変わらないから、とする答案にはしません。
問七|本文全体の内容
エ
- 働き方や価値観は変化していても、現在の日本で場を共有する集団原理の特徴が一定程度見られる、という説明が本文と一致します。
- 血縁外の者の扱いを劣ると決め付けるア、資格を持たない人もいるとするイ、社員の能力向上のために方策を通したとするウ、国民性として二国を固定的に対比するオは、本文の意味をずらしています。
解き直しの進め方
小説は父と娘の変化を別々に整理し、論説は資格・場の定義と筆者の結論を表にします。記述は必要要素を短く並べてから一文へつなぎ、字数条件を最後に確認しましょう。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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