2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2025 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
渋谷教育学園渋谷中学校・2025年度 第1回 理科
2025年度第1回の理科を、昆虫の擬態・行動実験と、空気の成分・状態変化の二題から解説します。全17項目で、実験が除けていない原因と、密度・沸点の数値を使う手順を確かめます。
第1問|昆虫の擬態と行動実験
この大問で学ぶこと
結果を説明できる別の原因を探す
解くときの着眼点:実験結果と合う説明が複数ないかを考え、一つの感覚だけを使ったと結論する前に条件を分けます。
問1(1)|ベニモンアゲハの特徴
例:毒を持っている。
- 毒などのために食べると不利益のある昆虫へ似ると、天敵に避けられやすくなります。ベニモンアゲハが島へ来た後に似た模様のII型が増えた事実から、そのような特徴を考えます。
- 似ているから必ず同じ毒を持つ、という推論ではありません。似せる側と、似せられる側の利害を分けます。
問1(2)|II型ばかりにはならない理由
例:毒のないII型が増えすぎると、捕食者がその模様でも食べられると学習し、身を守る効果が弱まるから。
- 警告の模様には、捕食者が危険な経験と結び付けることで避けるという働きがあります。似せるだけの個体が多くなると、その結び付きが弱まる可能性があります。
- 有利な形が必ず全個体へ広がるとは限りません。その形の割合によって利点が変わるという説明です。
問2|完全変態する昆虫
ウ・エ・オ
- ショウジョウバエ、モンシロチョウ、カイコガは、卵・幼虫・さなぎ・成虫の段階を経ます。
- トノサマバッタとオニヤンマはさなぎの段階を経ません。成虫と幼虫の姿が違うだけでなく、さなぎになるかを基準にします。
問3(1)|二容器をつなぐ管
イ(ハチが通れない細さ)
- フェロモンによる伝達を調べるには、気体は移動できても、個体が容器間を行き来できない条件が必要です。
- ハチが通れれば直接の接触でも危険を伝えられるので、気体だけの効果と分けられません。
問3(2)|さらに必要な工夫
例:二つの容器の間についたてを置き、他方のハチの姿を見えなくする。
- 透明な容器のままでは、飛び出す個体を見ることで反応した可能性が残ります。視覚を遮り、管を通る気体による効果を確かめます。
- 管までふさぐと調べたいフェロモンも通れなくなるため、遮るものと残す経路を区別します。
| 経路 | 条件 |
|---|---|
| 個体の移動・接触 | 細い管で防ぐ |
| 姿を見る | ついたてで遮る |
| 気体の移動 | 管を通して残す |
問4|マツカサを動かした実験の別の説明
例:マツカサのにおいを目印にした可能性がある。
- 本物の巣からマツカサを偽の巣へ移すと、見える配置だけでなく、においの位置も同時に移ります。戻った先が偽の巣だったとしても、それだけでは視覚だけを使ったと断定できません。
- 見え方だけ、においだけを変えた条件を用意すれば、原因を分けて考えられます。結論を否定するのではなく、まだ除けていない可能性を挙げます。
第2問|空気の成分・アルゴンの発見と状態変化
この大問で学ぶこと
密度の差を、混ざった気体と状態で説明する
問1|重さと沸点
ア=重い、イ=窒素、ウ=酸素
- アルゴンの密度は水素の約19倍なので、同じ体積なら水素より重い気体です。
- 液体空気を温めると、沸点の低い窒素(−196℃)が先に気体になります。アルゴン(−186℃)を分けるとき、酸素(−183℃)はまだ液体側に残ります。
問2|アルゴンに気付きにくかった理由
無色・無臭で、通常の条件では他の物質と反応しにくいため。
- 見た目やにおいで見分けにくいうえ、化学反応で生じる目立った変化も少ない気体でした。空気から既知の成分を除けば窒素だけになるという思い込みも発見を難しくしました。
- 量が少ない以外の理由を求められているので、物質の性質を中心に答えます。どんな極端な条件でも絶対に反応しない、と一般化する必要はありません。
問3|原子の組合せを保存する
窒素N₂を一つ、水H₂Oを二つ。
- もとのNH₄NO₂にはNが2個、Hが4個、Oが2個あります。窒素分子N₂へNを2個使うと、H4個とO2個が残ります。
- 残りはH₂Oを二つ作るとちょうど使い切れます。式ではNH₄NO₂→N₂+2H₂Oです。問題の枠には、N同士が結び付く一組と、O一個にH二個が結び付く二組を描きます。
問4|酸素と二酸化炭素を除く
酸素=オ、二酸化炭素=イ
- 未使用のカイロの鉄粉は酸素と反応するので、酸素を取り除く方法になります。石灰水は二酸化炭素と反応して白くにごります。
- シリカゲルは主に水蒸気を取るものです。アルゴンを加えても酸素や二酸化炭素がなくなるわけではありません。
問5|密度の差
0.0061g/L
- 化学窒素の密度1.2511g/Lに対し、空気窒素は0.488%大きいので、差は1.2511×0.00488です。
- 計算すると0.006105368g/L。小数第四位まででは0.0061g/Lです。0.488をそのまま掛けず、百分率を直します。
問6(1)|空気窒素が重い原因の候補
ア
- 化学窒素の値を正しいと置くなら、空気窒素へそれより密度の大きい気体が残った可能性を考えます。候補の酸素1.428g/Lは、窒素1.2511g/Lより大きい値です。
- 除き切れなかった水蒸気は0.804g/Lで軽いので、混ざると密度を下げる方向です。どちらの測定値を正しいと仮定したかも確かめます。
問6(2)|化学窒素が軽い原因の候補
カ
- こちらは空気窒素の値を正しいと置き、化学窒素へ軽い気体が混ざった可能性を考えます。生成過程では水もできるので、水蒸気が除き切れなかったというカが候補です。
- 水素は密度こそ小さいものの、前問の反応の生成物ではありません。密度だけでなく、どの気体が実験過程で入り得るかも照合します。
問7|窒素酸化物が溶けた水溶液
酸性
- 本文では、窒素と酸素を反応させてできた窒素酸化物を、アルカリ性の水溶液へ吸収させています。酸性を示す物質との反応として理解します。
- 全ての窒素の化合物が酸性になるという意味ではありません。この設問の窒素酸化物と水の組合せで答えます。
問8|航空機のタイヤへ窒素を入れる理由
例:高温や摩擦による発火・燃焼を起こしにくくするため。
- 着陸などでタイヤの温度が高くなったとき、内部に酸素があれば燃焼を助ける要因になります。反応しにくい窒素を使うことは、その危険を抑える方向に働きます。
- 設問ではゴムの酸化劣化以外の説明を求めています。燃焼という別の危険に着目します。窒素を使えばあらゆる故障が起きないという意味ではありません。
問9(1)|−190℃で仕切り板が高い側
ア(窒素側)
- −190℃は窒素の沸点−196℃より高く、酸素の沸点−183℃より低い温度です。従って窒素は気体となり、酸素は液体のままです。
- 窒素は体積が大きく増すので、その側の板が高くなります。温度の数直線で大小を確認します。
問9(2)|二つの高さの比
243倍
- 窒素の液体体積は28÷0.809cm³で、気体では197倍です。酸素は液体のままなので体積は32÷1.141cm³です。底面積は同じ100cm²なので、高さの比は体積の比になります。
- (28÷0.809×197)÷(32÷1.141)=約243.1。指定どおり小数第一位を四捨五入し、243倍です。酸素まで気化したとして243倍をさらに掛けないようにします。
| 物質 | 沸点 | −190℃での状態 | 体積の扱い |
|---|---|---|---|
| 窒素 | −196℃ | 気体 | 液体体積の197倍 |
| 酸素 | −183℃ | 液体 | 液体体積のまま |
解き直しの進め方
生物実験は視覚・におい・直接接触を分け、気体の問題は密度の大小と実験中に生じる物質を合わせて判断します。液体空気の計算では、温度が各物質の沸点より高いか低いかを先に決めましょう。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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