2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2025 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
渋谷教育学園渋谷中学校・2025年度 第1回 国語
小説は小遣いをめぐる主人公の葛藤、論説は複数の属性が交差する位置から公正を考える文章です。各問で何を根拠にし、選択肢のどこを検査するかを整理します。記述例は進塾独自の例で、学校公表の採点基準ではありません。
第1問|高瀬準子「お小遣いの成果」
この大問で学ぶこと
同じ鼓動の違いと、お金をめぐる葛藤を読む
解くときの着眼点:語り手が自分で説明する気持ちと、動作から後になって気付く気持ちを分けて追います。
問一|漢字
①夢中/②砂糖/③看板/④改(めて)
- 夢中は物事へ深く心を奪われること、砂糖はジュースの甘さの文脈、看板は店の表示、改めてはもう一度という意味です。
- 熟語と送り仮名を一緒に確認します。「砂糖」と「看板」は部首や細部を丁寧に書きましょう。
問二|雑誌を買う理由の整理
エ
- 主人公は本来、小説を買いたかったものの、友人との話題や関係を考え、雑誌を選ぶ自分を納得させようとしています。
- 友人が好きな俳優やドラマの話をできることが必要だと考える心情です。誰に利益があるかという計算だけ、友人に強要されたから、初めから雑誌だけを欲しかったから、とする説明ではありません。
問三|田所さんの描かれ方
ウ
- ぶっきらぼうで無愛想に見えても、孫を助けた主人公に礼をし、帰り道を気遣う優しさがあります。
- 金銭で人を操る人物という断定や、いつも不機嫌な人物という説明は行き過ぎです。主人公の受け止め方と実際の言動の両方から判断します。
問四|二つの高鳴る鼓動
記述例:Xでは読み終えた小説の面白さに心を躍らせるが、Yではその本を買うお金を田所さんから受け取ったことへの後ろめたさを感じている。
- Xは読了後も物語の世界から戻れない場面で、楽しさや興奮を表します。Yは七百円で小説を買えたと気付いた後、借りたようなお金の重さが意識される場面です。
- 61字以上70字以内で対比を作ります。X・Yという記号を答案へ入れてよいという指定も確認し、両方を単にうれしい気持ちとしないようにします。
| 場面 | 直接のきっかけ | 中心の感情 |
|---|---|---|
| X 読み終えたあと | 小説の面白さが心に残る | 興奮・高揚 |
| Y 本を隠したあと | 受け取ったお金で買えたと気付く | 後ろめたさ |
問五|七百円を答えた直後の大声
イ
- 金額を答えたことで、都合よく金を受け取ろうとする意図を見抜かれたのではないかと不安になります。同時に、その金額で欲しかった本が買えると気付き、期待も生まれます。
- 感謝の声を子どもらしく整えて、計算や後ろめたさを悟られまいとする複雑さが中心です。最初から礼の対価として正当な金を要求した、単に失礼を取り繕った、という説明にはしません。
問六|友人の進学を聞いた変化
オ
- 同じ中学校へ進むと思っていた主人公は、私立へ進学する友人と離れる現実に驚きます。以前のような関係ではなくなっていく不安が、後から強く意識されます。
- 以前はもっとも親しかった友人をなぜか急に誘い、まだ遊べると約束されたときの安堵へつなぎます。裏切られた、優秀さを初めて知った、後悔だけを感じたという説明ではありません。
問七|作品の解釈として誤りを二つ
イ・ウ
- イは、友人が単なる関心のない相手だと主人公が考えたと断定する点が不適切です。主人公は友情を維持したいと思いながら、話題を合わせる葛藤を抱えています。
- ウは、語り手が主人公一人称であることから、他の人物の心情が一切描かれていないとする点が誤りです。心情は会話・表情・動作を通して推し量れるように描かれています。誤りを二つ選ぶ指定を忘れないようにします。
第2問|朱喜哲「公正を乗りこなす」
この大問で学ぶこと
複数の属性が交わる位置から、公正を考える
解くときの着眼点:優位・不利を人そのものの固定的な順位にせず、どの軸・どの制度・どの場面かを具体化します。
問一|漢字
①届(く)/②序列/③血統/④留意
- 届くは手が及ぶこと、序列は上下の順、血統は血縁による系統、留意は注意を向けて心に留めることです。
- 本文の社会的な文脈に合う意味から字を確定します。漢字だけの欄と送り仮名のある欄を区別しましょう。
問二|少数派を表す言葉が必要になった背景
エ
- 多数派が制度的に優遇されることを見えるようにすると、対極の少数派を表す言葉や属性を名付ける必要が生まれます。
- 人数が多ければいつでも優位という説明ではありません。本文は制度や慣習による力の偏りを扱っているため、数的多数だけで読む選択肢は外します。
問三|大人であるための条件
ア
- 多様な人々が等しい権利を持つと理解し、自分も社会の公正な運用へ責任を持つ存在だと学ぶことです。
- 自分が常に普通であると確認することでも、現状の制度をそのまま守ることでもありません。自分の世界観から出るという前後の説明を結び付けます。
問四|交差点としての自分
記述例:私たちは一つの属性だけで成り立つのではなく、多様な属性を同時に持ち、それらを表す複数の軸が交差する位置に存在すること。
- 比喩の交差点を、属性の軸が交わるところと言い換えます。ある軸で優位でも、別の軸では不利になることがあるという説明が背景にあります。
- 51字以上60字以内で、複数の属性とその交差という二点を入れます。全員の属性が同じ、どの差別も同じ程度につらい、といった内容には広げません。
| 見ること | 確認すること |
|---|---|
| 複数の属性 | 一人が同時に持つ立場を分ける |
| 制度と場面 | どの条件で優位・不利になるかを考える |
| 新しい軸 | これまで見過ごされた問題を言葉にする |
問五|両方の極に力があるとは限らない理由
オ
- どの属性が優位になるかは、その国や社会の制度・慣習、置かれた場面によって変わります。ただし、ある社会の中で制度的に固定された不平等も存在します。
- この二つを両立させるオが適切です。全ての優劣が自由に逆転する、誰もがいつも制度的に優遇される、とする読み方では、本文が扱う不公正を見失います。
問六|複数形のアイデンティティ
エ
- 一人は複数の属性を同時に持ち、その時々の場所や状況で力の大きさが変わる多面的な存在です。
- マジョリティである面を自覚しないまま、マイノリティである面だけを自身の全てとしないことが大切です。個人の努力で全て変えられるという自己責任論にも置き換えません。
問七|公正な社会を安全に進むために
記述例:社会にある優劣を伴う属性の軸と、その軸が生まれた由来に敏感になり、見過ごされた少数派の属性を発見して、新たな軸を設定する必要がある。
- 道路の比喩では、まず現在の道の構造とできた理由を知ることが必要です。社会の優劣や分配を支える仕組みに気付き、今まで見えなかった属性の軸を描くことへ言い換えます。
- 61字以上70字以内で、既存の軸への注意と、新しい軸の発見・設定をまとめます。単に他人と仲良くする、自分を一つの属性で固定する、という答案では不十分です。
問八|本文と合わない考え
ウ
- 自分が女性であるために少数派の立場になる面があるから、他の人と大変さはどれも同じとする説明が誤りです。属性は複数あり、状況や制度によって不利益の形が異なります。
- ア・イは時や場による優位の変化や、進学にも家庭の条件が影響する点に合います。エは複数の属性の重なり、オは見過ごされていた介護の軸を言葉によって認識する点で本文と対応します。
解き直しの進め方
小説では同じ動作や身体感覚の前後の理由を比べ、論説では比喩を具体的な社会の仕組みに直します。複数選択の問いは、それぞれの選択肢について本文と合わない箇所を説明できるようにしましょう。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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点数だけでは、次に何を直すべきかは決まりません。進塾では、解き方・答案の根拠・つまずいた箇所を確かめ、授業と家庭で取り組む内容を整理します。集団コース・個別指導のご相談を承ります。
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