2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2025 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
渋谷教育学園幕張中学校・2025年度 一次 社会
2025年度一次の社会35問を、政治・歴史・地理に分けて解説します。時事や統計は問題の基準年に合わせ、選択肢の誤りをどう直すか、記述の根拠をどこに置くかを確認します。
第1問|学校から考える政治・社会
この大問で学ぶこと
制度の主体と、利用する人の立場を区別する
問1|2023年に発足した機関
こども家庭庁
- 保育所などのこども政策を担う機関として、2023年4月に内閣府の外局として発足しました。
- 解答欄の末尾には「庁」が印刷されているので、欄内には「こども家庭」と書きます。機関名全体と実際に記入する文字を区別します。
問2|行政区と特別区
1(X正・Y正)
- 千葉市美浜区のような指定都市の行政区では、区長は住民の選挙では選ばれず、区議会もありません。市の内部の行政区分です。
- 東京23区の特別区では、区長と区議会議員を選挙で選びます。同じ「区」の字だけで同じ制度と判断しません。
| 区の種類 | 区長 | 区議会 |
|---|---|---|
| 指定都市の行政区 | 選挙で選ばれない | 置かれない |
| 東京23区の特別区 | 選挙で選ぶ | 選挙で選ぶ議員により構成 |
問3|球場の命名権などへ資金を出す利点
例:野球ファンや来場者に会社名を広く知ってもらえるから。
- 球場名が試合中継・報道・案内で繰り返し使われると、命名権を持つ企業の名前にも接する機会が増えます。
- 資金を支払う企業側の利点なので、球場の運営費が増えるという所有者側の利点だけでは答えになりません。
問4|校舎上部を斜めにする配慮
例:周囲の建物の日照を妨げにくくする。風通しを確保する。
- 建物が密集する地域では、高い校舎が周囲へ日陰を作ったり、風の通り道をふさいだりします。上部を引く形は、その影響を減らす配慮と考えられます。
- 二点を別々に書く指定なので、日光と空気の流れという異なる観点を一つずつ挙げます。法令上の適合を写真だけで断定する問題ではありません。
問5|国連とユネスコ
4(X正・Y誤・Z誤)
- 国連は1945年発足で本部はニューヨークです。一方、常任・非常任理事国と拒否権の説明は国連総会ではなく安全保障理事会です。
- 日本にも自然遺産があるので、世界遺産の説明のうち「日本には自然遺産がない」が誤りです。主語の機関名と、否定部分を確かめます。
問6|1991年の出来事か
4(X誤・Y誤)
- 民主党などによる鳩山由紀夫内閣は2009年、ロッキード事件の発覚と田中角栄元首相の逮捕は1976年です。
- よく知っている出来事であっても、設問の1991年に一致するかを別に判定します。政権交代という共通点だけでは年は決まりません。
問7|教育を受ける権利と義務教育
4(X誤・Y誤)
- 教育を受ける権利と、保護する子に普通教育を受けさせる保護者の義務を区別します。子ども自身へ通学の義務を置くXは誤りです。
- 公立の義務教育学校では授業料を徴収しませんが、私立も含めた全ての小・中学校で授業料がないわけではありません。授業料と教材などの費用も分けます。
問8|イギリスと2024年の総選挙
3(X誤・Y正)
- 連合王国を構成する地域と、オリンピックへの参加単位は同じではありません。パリ大会に四地域が四チームとして出たというXは誤りです。
- 2024年の下院総選挙では労働党が過半数を取り、政権交代しました。2025年度入試で扱われた2024年の出来事として押さえます。
問9|就学前の施設が分かれる不便
例:保護者が仕事をやめると保育所を利用し続けにくい。共働きでは幼稚園の保育時間への対応が難しい。
- 本文では、教育を行う幼稚園と、保育を必要とする子を受け入れる保育所の違いが示されています。利用条件と時間の違いを保護者の生活に結び付けます。
- 制度を一般化して必ず退所すると断定するのではなく、本文から考えられる利用上の不便として説明します。
問10|法律の成立と公布
4(X誤・Y誤)
- 参議院が否決した法律案を衆議院で再可決する場合は、出席議員の三分の二以上の多数が必要です。単なる過半数ではありません。
- 法律を公布するのは、内閣の助言と承認による天皇の国事行為です。両議院の議長が公布するわけではありません。
問11|機関ごとの分担が連携を妨げる状態
縦割り行政
- 業務の範囲を分けることには重複を減らす利点がありますが、機関をまたぐ課題で連携しにくい場合があります。
- 問題は行政サービスの非効率につながるこの状態の呼び名を求めています。「分権」と取り違えず、機関相互の連携という文脈で答えます。
問12|内閣府
1(X正・Y正)
- 設問で扱う内閣府には、重要政策の企画立案・総合調整を担う特命担当大臣が置かれています。
- また、問題当時の中央官庁で名称に「府」が付くものは内閣府です。大阪府・京都府のような地方公共団体を混ぜないことが要点です。
第2問|歴史の説明を資料で問い直す
この大問で学ぶこと
年代・ルール・外交上の立場を分けて読む
解くときの着眼点:本文の問い直しに合わせ、通説を無条件に否定せず、どの資料がどこまで示しているかを考えます。
問1|日宋貿易を進めた人物
平清盛
- 遣唐使の派遣中止から約280年後は12世紀後半に当たります。博多より都に近い大輪田泊を整えて日宋貿易を進めた平清盛です。
- 遣唐使の廃止を日中交流の完全な断絶と捉えず、民間の商人や僧侶による交流をつなげて考えます。
問2|10〜11世紀の僧侶の渡航方法
例:民間の貿易船に便乗した。
- 国家が遣唐使のような使節船を出さなくなっても、商人の貿易船は往来していました。特別に渡航を許された僧侶は、こうした民間船を利用できました。
- 海外渡航の原則禁止、僧侶への例外、9世紀の国家使節という三情報から、後の時代に残る輸送手段を考えます。
問3|宋銭と貨幣の利用
3(X誤・Y正)
- 日本には和同開珎などの貨幣を鋳造した経験があるため、「貨幣を作る技術がなかった」は誤りです。
- 宋銭の流入は貨幣の利用を広げ、鎌倉時代には年貢を銭で納める例が増えました。貨幣の技術の有無と、その時代の供給量を分けます。
問4|墾田永年私財法と身分
1(X正・Y正)
- 743年の墾田永年私財法は聖武天皇の時代です。また、本文では一位の官人と一般人で許される土地の面積が異なります。
- 従って無制限に誰もが同じだけ私有できたのではありません。制度名に加え、本文の具体的な上限を根拠にします。
問5|1069年に私有地が減った理由
例:天皇の意向で厳正に調査したから。
- 1055年にも禁止はありましたが、効果は乏しかったとあります。1069年には私有地の制限に前向きな天皇のもとで調査され、34か所から21か所へ減っています。
- 新しいルールができたことだけでなく、実際に厳しく調べ、違反した土地を没収する運用に注目します。20字以内の指定に合わせてまとめます。
問6|松平定信の政策
4
- 田沼意次の後の松平定信は寛政の改革を進め、農村への帰還を促して農業生産の立て直しを図りました。
- 上知令は水野忠邦、上げ米の制は徳川吉宗、参勤交代の制度化は徳川家光と対応します。改革を全部同じ人物へ結び付けないようにします。
問7|米による税収が伸びにくい背景
例:豊作で米の増産が難しい
- 本文では技術・肥料・流通が進み、飢饉や一部地域を除けば供給が安定しています。この条件では、さらに米を増やして税収を伸ばす効果が限られます。
- 空欄の後ろに「ので」が続くため、原因を表す形でつなぎます。単に税率を上げられないという直前の説明を繰り返すだけにしません。
問8|銀貨と長崎貿易
3(X誤・Y正)
- 銀に貨幣単位を付ける仕組みが初めて金貨へ用いられたというXは誤りです。本文は重さで量っていた銀貨を枚数の単位で扱う工夫を述べています。
- 新井白石は金銀の国外流出を抑えるため、長崎貿易の船数や額に制限を設けました。単位の制度と貿易の制度を別々に判定します。
問9|和親条約の段階で認めなかったこと
1(通商をまだ認めなかった)
- 日米和親条約では船の寄港や補給などを認めましたが、この段階で本格的な通商を認めたわけではありません。
- 後の日米修好通商条約との違いを使います。寄港の承認を、直ちに自由な貿易の開始と同じにしないことが大切です。
問10|外国人との接触を限定した方法
例:外国人居留地を設け、出島と同様に外国人の行動範囲を制限した。
- 居留地へ居住を限り、移動できる範囲を制約することで、外国人と日本人が日常的に接する機会を抑えました。
- 指定語句の「出島」を必ず用い、類似する管理の仕組みとして説明します。二つが全く同一の制度だったとまでは言いません。
問11|ロシア側の外交上の説明を考える
例:樺太には日本人も多く住み、領土を譲ったとはいえない。
- 設問は日露戦争当時のロシア側の外交代表になったつもりで、国内向けの説明を考える問題です。以前から日本人もいた土地だと強調すれば、一方的な領土喪失ではないという説明になります。
- これは交渉当事者が取り得る主張の例です。条約の結果として南樺太が日本へ割譲された事実を否定する客観的説明ではありません。「領土」を使い、30字以内に収めます。
問12|八幡製鉄所と銑鉄の統計
2(X正・Y正・Z誤)
- 近くの燃料供給源は筑豊炭田です。1907〜1911年の八幡の生産は96、103、116、129、147と増え、全国生産に占める割合も50%を超えています。
- 1902年の日英同盟と1910年の韓国併合では、供給高全体に占める輸入の割合はそれぞれ42%・36%で、50%超ではありません。「八幡/全国」と「輸入/総計」の分母の違いを確認します。
| 比べたい割合 | 計算の分子 | 計算の分母 |
|---|---|---|
| 八幡の全国生産に占める割合 | 八幡の生産 | 全国生産 |
| 輸入の供給高に占める割合 | 輸入 | 全国生産+輸入 |
第3問|地域の特色と資料の読み取り
この大問で学ぶこと
名前の知識に地形・統計・比較を重ねる
問1|国宝の件数から都府県を判定
4(ア東京都・イ栃木県・ウ京都府)
- 京都は寺社などの国宝建造物が多く、ウに対応します。東京は博物館などに美術工芸品が多く集まる一方、表の建造物の数は少なく、アです。
- 残るイは栃木県です。建造物と美術工芸品という二種類の数の特徴を組み合わせ、件数の基準日も確認します。
問2|2021年に熊本県が生産量一位の作物
1(い草)
- 熊本は畳表などの原料になるい草の生産地です。設問の2021年の統計で判定します。
- ぶどう・てんさい・みかんという他の選択肢と主産地を対応させて復習します。収穫量と作付面積の順位を混同しないようにします。
問3|地方中枢都市の説明として不適切なもの
4
- 国の出先機関や企業支店の集積、周辺からの通勤通学、九州各地への交通の集まりは、福岡の地方中枢性を説明します。
- アジアへの国際航空路は国外とのつながりであり、九州地方の中心という機能を直接説明する三項とは観点が異なります。事実の正誤だけでなく、説明するテーマに合うかを問う問題です。
問4|21世紀に新幹線が開業した区間
2(金沢―富山)
- 北陸新幹線の長野―金沢間は2015年に開業しており、金沢―富山はこれに含まれます。
- 仙台―盛岡は1982年の開業で20世紀です。他の選択肢では、新幹線がその区間を結んでいるかも確かめます。
問5|工業生産額から三県を判定
4(ア群馬・イ鳥取・ウ熊本)
- 輸送機械が突出するアは自動車工業が盛んな群馬です。電子部品などが大きいウは熊本、残るイが鳥取です。
- 合計額だけでなく、三部門のうち何が大きいかを使います。表は2019年なので、その後の工場立地を数値へ持ち込まないようにします。
問6|漢字の字義が直接の由来でない地名
3(奈良市)
- この設問では、現在の漢字が音に対して後から当てられた例として奈良を選びます。「良い」という字義から地名が生まれたと考える問題ではありません。
- 地名の由来には複数の説がある場合もあります。漢字だけを見て語源を確定しないという本文の着眼点を押さえます。
問7|愛媛県内三地点の雨温図
2(ア宇和島・イ松山・ウ久万)
- 年平均気温12.8度で低いウは山地の久万です。残る二地点では、瀬戸内側で降水量が少ないイが松山、南西側で雨が多いアが宇和島です。
- まず標高に関わる気温、次に海や山地との位置に関わる降水量という順に、異なる手掛かりを使います。
問8|三つの橋のルートがある利点
例:三ルートが同時に通行止めになる時間が短く、ほぼ確実に本州と四国を行き来できる。
- グラフでは各ルートの通行止め時間を合計した値に比べ、三ルートが同時に止まる時間はかなり短くなっています。
- 一つが使えないときも他を通れるという代替性を読み取ります。渋滞の分散などの一般論ではなく、このグラフの二種類の棒が示す利点を答えます。
| 資料から読むこと | 考えられる利点 | 言い過ぎを避ける |
|---|---|---|
| 全ルート同時の通行止めは短い | 別ルートへ回れる可能性 | 絶対に止まらないとは言わない |
| 各ルートの停止時間はある | 複数経路による補完 | 各ルートとも停止ゼロとは言わない |
問9|今治の造船業と地形・気候
例:リアス海岸の深い入り江があり、瀬戸内の気候とあわせて風や波が穏やかだから。
- 地形では深い入り江を使える点、気候では比較的穏やかな風や波の条件に注目します。大型船を扱う港や造船所に適した条件を結び付けます。
- 「海に面するから」だけでは多くの沿岸地域に当てはまります。問題の写真で分かる入り江と、瀬戸内側の特徴の二点を入れます。
問10|県の輪郭を使ったキャラクター
山形県
- 輪郭の凹凸と縦に長い県の形に加え、帽子のさくらんぼが山形を判断する手掛かりです。
- 漢字の指定なので山形と書きます。キャラクターの名前を覚えていなくても、県の形と特産物を組み合わせて考えられます。
問11|河川と県境がずれた理由
例:もとは川沿いに県境を決めたが、河川改修で流路が変わり、県境が以前の位置に残ったから。
- 川の流れは改修などで変えられても、行政上の境界が自動で一緒に移るとは限りません。現在の川と、曲がり方が異なる県境を比べます。
- 単に浸食が起きたとするより、旧流路を境界にした後で流路を変更したという時間順序を説明します。
解き直しの進め方
正誤問題は誤った箇所を一語ずつ直し、記述問題は「根拠となる資料→理由→結論」の順に説明し直しましょう。樺太の設問のように当事者の立場を求める問題と、条約の客観的な結果を述べる問題を分ける練習も有効です。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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