2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2026 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
桜蔭中学校・2026年度 入試 国語
2026年度の桜蔭中学校・国語を、二つの文章の全12問に沿って解説します。対話文は藤原辰史氏の捨てる行為をめぐる議論、物語文は木村綾子氏の月の子を扱います。記述は進塾独自の解答例です。原文の転載ではなく、根拠の探し方と答案へまとめる手順を説明します。
第1問|捨てる行為と、傷を生かす価値観
この大問で学ぶこと
対話の具体例を、物と人を分けない考え方へつなぐ
問一|文脈に合う漢字
A=模様、B=重油、C=無敵
- 器の表面のもようは模様、燃焼や資源の説明に出るじゅうゆは重油です。Cは、何も傷つけられないような理想の状態を表すむてきで、無敵と書きます。
- 読みが同じ熟語を並べるのではなく、その語が何の状態を表しているかを前後から確かめます。
問二|金継ぎに表れる価値観
解答例:傷を欠点として排除せず、修復によって生まれる独自の美しさや、傷を含む物の履歴を楽しむ考え方。
- 対比するのは、傷のない新品だけをよしとする考えと、傷から新しい魅力を生む考えです。金で器をつなぐ作業の説明だけでは、価値観の説明になりません。
- 傷を隠して新品へ戻すのではなく、傷を生かして元にはなかった魅力を作る点まで述べます。本文の出版の例でも、傷んだ本を別の価値のある本へ変えようとしています。
問三|語句の空欄
すきま
- 役に立たないとされた物でも、別の使い道を見つけられます。ゴミとクズを同じものとして閉じてしまわず、その間にある余地を表す語を考えます。
- 指定は三字以内です。本文の分類・再利用の話につながるすきまを入れ、前後を続けて読んで意味を確認します。
問四|分類に取り組む人たちの思い
解答例:ゴミを分ける作業は、不要物を捨てるだけの面倒な家事ではなく、資源を生かし環境を守る仕事であり、慣れれば面白く取り組めると感じている。
- 初めは分類を面倒だと感じていても、その後は細かな材質や用途を見分けることに楽しさが生まれています。時間による気持ちの変化をたどります。
- 作業が楽しいという感情だけでなく、ゴミを新たな資源として生かす、価値のある仕事と捉え直したことを説明します。
問五|物と生物の境界を考える
解答例:完全さや有用さで価値を決め、不要とされたものを捨てる発想は、人までも排除することにつながる。傷や弱さを含めて受け入れる姿勢は、その発想を乗り越える道になるということ。
- 直前では、物の欠点を理由に捨てる仕組みと、人を能力などで選別する仕組みが重ねられています。物と人が同じ材質だ、という説明ではありません。
- 何を問題とするのか、そこからどう抜け出すのかを二段に分けます。不完全な状態にも価値を見いだすという前半の金継ぎの話を、ここへ結び付けます。
問六|野球のたとえが伝える主張
解答例:自然破壊への対応には余裕がなく、華やかな目標だけで大量生産・大量廃棄の仕組みは変えられない。日々の廃棄が環境に与える影響を自分の問題として捉え、捨て方を見直し、再利用する地道な行動から変えていく必要があるということ。
- 九回裏の厳しい状況は、環境破壊の切迫性を表します。一発の大逆転に頼る態度と、目の前の生活を変える態度を対比させます。
- ここでは対話の中の藤原氏の主張を説明します。SDGsそのものに価値がないと一般論で断定するのではなく、標語だけで終わらず、日々の捨てる行為と経済の仕組みを問い直すという文脈を押さえます。
| たとえの要素 | 対応する内容 |
|---|---|
| 終盤の厳しい点差 | 環境破壊への対応が切迫している |
| 一発の大逆転に期待する | 華やかな標語だけで一気に解決しようとする |
| 目の前の行動から取り組む | 日々の廃棄を見直し、物を生かし直す |
第2問|いじめの記憶と物語を読む自分
この大問で学ぶこと
現実と本の中の出来事を往復し、語り手の自己理解を読む
問一|漢字と送り仮名
A=独特、B=刷(刷られた)、C=興奮
- 他と違う特徴を表す独特、本を印刷する意味の刷、気持ちが高まる意味の興奮です。
- Bは本の表紙がどう作られたかを述べる文脈です。解答欄には送り仮名のらがすでにあるため、空欄と印刷済みの部分を重ねて書かないようにします。
問二|天邪鬼の意味
2。ひねくれた。
- 素直に周囲へ従わず、反対したり、ねじれた態度を取ったりする性質を表します。単に人と話すのが苦手という意味ではありません。
- 語り手が、自分でも思うように制御できない部分を列挙している場面へ戻り、意地の悪さ・臆病さなどと区別して選びます。
問三|空欄に入る二字の言葉
罪悪
- 自分の行動が相手を傷つけたのではないかという、後ろめたさを表す罪悪感につながります。解答欄には感があるので、答える部分は罪悪です。
- 親切に見える行動の裏側に、自分を守りたい気持ちや、自分の不快さから逃れたい気持ちがあったという読みへつなげます。
問四|本を読まなくなった理由
解答例:孤立していた間は、望みをかなえて世界を変える主人公にひかれていた。しかし友達の輪へ戻ると、その現実を保ちたくなり、主人公が再び仲間から離れていく展開を、自分の不安と重ねて読み進めたくなくなったから。
- 読む前半では、現実の自分にない力を主人公へ求めています。ところが現実で仲間に戻れた後は、主人公の孤立が、自分にも起こり得る恐れとして迫ります。
- 本文の二つの下線部を、現実の境遇の変化と物語の進行の両方でつなぎます。本に飽きた、難しくなったという理由を加えないようにします。
| 段階 | 現実の語り手 | 物語との関係 |
|---|---|---|
| 孤立している時 | 現実を変える力を欲する | 願いをかなえる主人公へひかれる |
| 仲間に戻った後 | 今の関係を失いたくない | 主人公の孤立を読むのが怖くなる |
問五|イトケの言葉をどう受け止めたか
解答例:自分の行動は本当にイトケを思ったものではなく、自分の不快さを消すためだったうえ、仲間へ戻ると再び孤立しないようイトケを傷つける側へ回った。その身勝手さや弱さを見透かされ、鋭く責められたように感じた。
- 給食の場面では、助けているように見える行為と、語り手自身が後に認める動機を分けます。相手を救うことより、自分の気分を整えることが先になっていました。
- 設問は語り手がどう受け止めたかを尋ねています。イトケの心の中を断定するのではなく、その言葉に自分の弱点を突かれたと感じたことを説明します。
問六|物語の結末と、残り続ける視線
解答例:物語の主人公は自分の弱さを受け入れ、変わる道を選ぶ。一方、語り手は孤独になる恐怖から他者を傷つけ、自分の弱さに向き合って変わることができないままでいる。その後ろめたさが消えず、今もイトケの視線を感じ続けているということ。
- 主人公の変化と、語り手が変われずにいることを対比します。現実の記憶を失っていく物語の仕組みや、読み終えることの意味も、解答の手掛かりです。
- イトケが現在も実際に見張っている、という場面として読みません。語り手の中に残る罪悪感と、まだ解決できていない自己理解が、視線として感じられていると捉えます。
解き直しの進め方
記述では、対話文の具体例と主張、物語文の現実と本の中の展開を対応させます。解き直しでは根拠を二か所以上探し、対比や変化を一文の中へ入れられるか確かめましょう。問いが人物の真意を尋ねるのか、語り手の受け止め方を尋ねるのかも見直します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
志望校の過去問を、次の学習計画へ
点数だけでは、次に何を直すべきかは決まりません。進塾では、解き方・答案の根拠・つまずいた箇所を確かめ、授業と家庭で取り組む内容を整理します。集団コース・個別指導のご相談を承ります。
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