2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2025 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
桜蔭中学校・2025年度 入試 国語
2025年度の桜蔭中学校・国語を、二つの文章の全11問に沿って解説します。岡田美智男氏の弱いロボットと、植松三十里氏のイザベラ・バードと侍ボーイを扱います。記述は進塾独自の解答例です。原文を転載せず、対比・場面の変化・人物の立場を答案へまとめる手順を説明します。
第1問|弱いロボットと協働
この大問で学ぶこと
能力の足し算から、関係の中で生まれる力へ読みを進める
問一|四字熟語の空欄
本願。他力本願。
- 自分だけで仕事を完結できず、ほかの存在の助けを借りるという文脈です。四字熟語の他力本願を完成させます。
- 空欄は漢字二字なので、本願と答えます。人任せという否定的な意味だけで終わらず、本文では人の参加によって成果が生まれる点を評価していることも押さえます。
問二|二か所に共通する言葉
エ。ありったけ。
- ロボットが子どもの能力を引き出す場面と、道具を使う人の能力が働く場面です。持っている力のすべて、という意味が両方に通じます。
- 一か所だけに自然な語を選ばず、二か所へ同じ語を入れます。ぼんやり、などでは、本文の力を引き出す流れに合いません。
問三|普通のゴミ箱との違い
解答例:普通のゴミ箱は、捨てる人が一方的に利用する対象である。ロボットは頼りない動きや親しみやすさで人の気持ちを動かし、ゴミを持たない子どもにも、探したり拾ったりして助けたいと思わせる。
- 比較する軸は、入れ物の形や移動機能ではなく、人との関係がどう生まれるかです。普通のゴミ箱を利用するには、まず捨てる物を持っていることが前提になります。
- 一方、ロボットにはそれ以上の参加を誘う力があります。子どもがゴミを探し、分別まで始めた本文の場面を、関係の違いの根拠に使います。
問四|しなやかな強さとは何か
解答例:一人で何でもできるよう機能を増やす方法は、想定外の事態に弱いままになる。できない部分を周囲へ開くロボットは、人の自発的な助けを引き出し、関わる人と状況に応じて、単独では出せない成果を生む。
- 設問指定の対照は、機能を追加して弱点を埋め続ける方法と、弱点をきっかけに協働する方法です。後者を単に性能が低いから安価と説明してはいけません。
- できないことがある→人が工夫する→関係全体として仕事ができる、という因果を示します。ロボットだけが強くなるのではなく、関係の中に強さが生まれます。
| 見方 | 単独で完結する方法 | 関係の中で補う方法 |
|---|---|---|
| できないこと | 機能を追加して埋める | 人が参加するきっかけにする |
| 想定外の事態 | 追加した機能だけでは対応しにくい | その場の人が工夫を加えられる |
| 成果を生む単位 | ロボットだけ | 人とロボットの関係全体 |
問五|二つの例に共通する考え
解答例:ハサミは人の手で動かさなければ切れないが、手だけでは切れない物を切れるようにする。注文を間違える店では、スタッフの働く姿が客の手助けを引き出す。双方のできない部分が相手の力を受け入れる余地となり、補い合う関係を作る。
- ハサミの例は、手と道具の弱い部分と得意な部分を対応させます。店の例は、間違いをなくす訓練の話ではなく、客も参加する雰囲気への変化を追います。
- 弱さを一方が負担するだけの関係ではありません。関わる側の力も引き出されることが共通点です。本文の店の描写を説明するもので、認知症の人一般の能力を決め付ける説明にはしません。
問六|注文の多い料理店の作者
エ。宮沢賢治。
- 作品名と作者の対応を確認する文学知識の問題です。宮沢賢治は注文の多い料理店や銀河鉄道の夜などで知られます。
- 本文では、客が注文する店という通常の関係が裏返るような印象を伝えるため、作品名をもじっています。もとになった作品名と作者を一組で整理します。
第2問|旅先で見た貧しさと誇り
この大問で学ぶこと
助けた行為の意味と、記録を残す目的を場面ごとに考える
問一|漢字と送り仮名
A=挙句(挙げ句)、B=真似た、C=語気
- 何かを重ねた末の結果を述べるあげくは挙句、同じ言葉を繰り返すまねたは真似た、言葉にこもる調子のごきは語気です。
- 設問は送り仮名も含めて答える指定です。Bを真似だけで終えず、下線の範囲に合わせて真似たと書きます。
問二|慣用句を完成させる漢字
虫
- 腹の虫がおさまらないという慣用句です。怒りがおさまらず、納得できない気持ちを表します。
- 本当に腹の中の生き物を説明しているのではありません。鶴吉が、よかれと思ってしたことをイザベラにとがめられた直後の感情へつなぎます。
問三|鶴吉が腹を立てた理由
解答例:村人を追い払ったのも、食事について女中を責めたのも、イザベラが不快になったり空腹になったりしないよう気遣ったつもりだった。その本人から行動を制止され、好意を理解してもらえず、納得できなかったから。
- 設問指定のイザベラの立場では、にぎやかな見物も、粗末な食事も、鶴吉の考えるほど不快ではありません。鶴吉は自分の配慮が喜ばれると思い込んでいました。
- 二つの場面に共通する、相手のための行動という本人の意識と、実際には受け入れられなかった結果を結び付けます。単に怒りっぽい性格だったと片付けません。
問四|本を書くことを受け入れられない理由
解答例:鶴吉は日本の高い識字率や教育・医療の発達を誇り、西洋人に認めてほしいと思っている。ところが旅先には医療を受けられず苦しむ村人がいる。その貧しく無知な姿だけが西洋へ伝わり、国が見下されることに耐えられないから。
- イザベラは見た事実を伝えたいと考える一方、鶴吉は外国にどう見られるかを強く気にしています。記録を拒む理由を、この二人の視点の差から説明します。
- 日本が実際にすべて発達していた、またはすべて貧しかった、と一方に決め付ける問いではありません。誇りを持つ鶴吉が、見せたくない現実に出会った葛藤を描きます。
| 人物 | 気にかけること | 記録への態度 |
|---|---|---|
| 鶴吉 | 国の誇りと外国からの評価 | 貧しさを知られたくない |
| イザベラ | 実際の暮らしと出会った人々 | 長所も厳しい現実も伝えたい |
問五|イザベラが伝えたい真実
解答例:医者に頼れず苦しむ人々へ薬を渡すと、翌日、多くの村人が見送りに集まり、覚えた外国語で感謝を伝えてくれた。物質的には貧しくても、助けへの感謝を率直に表す温かな人の姿があり、発達した社会で忘れがちなものを伝えたいということ。
- 解答には、薬を渡したことと、翌朝の見送りを必ず対応させます。村人を貧しいと記録するだけでなく、その行為の中に見えた人の心を残そうとしています。
- 本文のイギリスとの対比は、イザベラがこの旅で何を感じたかという人物の見方です。国籍だけで全員の性格を決める説明にはせず、目の前の村人の行動を根拠にまとめます。
解き直しの進め方
説明文は、能力の高低と関係の中で発揮される力を分けて読みましょう。物語文は、相手のためだと思った行動がどう受け取られたか、同じ事実が人物ごとにどう見えるかを整理します。設問が要求する例や立場を答案に落とさず、複数の根拠をつないで説明し直します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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