女子学院中学校 2024年度 入試 理科入試解説|大問別の考え方と解き直し

2026年11月1日

SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW

答えの先に、解ける理由を。

女子学院中学校・2024年度 入試 理科

2024年度の女子学院中学校・理科を、全4大問から33項目に整理して解説します。月、植物、気体と中和、密度と熱気球を扱います。計算は単位や条件の境目を明示し、図示問題は元の問題図で確かめる位置を言葉で説明します。

このページは問題冊子と一緒に読む解説です。問題文・原図の転載はせず、進塾独自の解説を掲載しています。

第1問|月のクレーターと見え方

この大問で学ぶこと

重なり・面積・光の向きから観察を読み取る

解き直しの到達点使った条件と結論のつながりを、解説を閉じて説明できること。

1(1)|月のクレーターの成因

ア

  1. 岩石や氷などからなる天体が月へ衝突し、表面にくぼみを作ります。
  2. 写真で丸い形だからといって、湖が干上がった跡と考えるのではなく、天体衝突と結び付けます。

1(2)|重なったクレーターの古い順

エ→ウ→ア→イ

  1. 後からできたクレーターは、前のクレーターの輪郭を壊したり覆ったりします。エの輪郭はウに覆われ、ウの上にアがあり、さらにイが重なっています。
  2. くぼみの大きさでは年代を決められません。輪郭がどこで途切れ、どちらが上から重なっているかを順に読みます。

1(3)|最も古い大きなクレーター

イ

  1. 大きなクレーターができてからの時間が長いほど、その表面に小さなクレーターが多くできます。ただし、面積をそろえて比べます。
  2. ウ・エの半径はア・イの2倍で、面積は4倍です。小さなクレーターの数を4で割って同じ面積へ換算すると、イが最も多くなります。単なる総数の比較ではありません。

1(4)|地球でクレーターが少ない理由

①大気中で燃え尽きる天体が多い。②雨や風などの侵食・風化で形が失われる。

  1. できにくい理由は、地表へ届く前に大気中で小さな天体が燃え尽きることです。
  2. できた後に見えなくなる理由は、流水や風化などで地形が変わることです。衝突前と衝突後を分け、同じ理由を二度答えないようにします。

2(1)|夏至と秋分の満月

夏至=カ、秋分=サ

  1. 図の地軸の傾きから、北半球が太陽へ傾く左側の地球が夏至です。満月は地球を挟んで太陽と反対側なのでカです。
  2. 地球の公転の矢印に沿って次の位置へ進むと秋分で、満月は下側のサです。季節の判定と、月の満ち欠けの判定を別々に行います。

2(2)|輪郭がくっきりするクレーター

A=ウ。Bの例:光が横から当たり、凹凸に長い影ができる。

  1. 半月の明暗の境目付近では、太陽の光が地面へ斜めに差し、くぼみの縁や底に影ができます。これが凹凸を見やすくします。
  2. 満月は明るくても、正面からの光で影が目立ちにくくなります。表面全体の明るさと、地形の見やすさは同じではありません。

2(3)|見かけの大きさから距離を求める

385000km

  1. 同じ見かけの大きさなら、直径と距離の比が同じです。穴の直径5mm=0.5cmに対し、目からの距離55cmなので、距離は直径の110倍です。
  2. 月の直径は問題指定の3500kmを使い、3500×110=385000kmです。実際の月の直径を別に調べて置き換えず、問題の値で計算します。

第2問|植物の発芽・育成と根の環境

この大問で学ぶこと

必要な条件を、成長段階と土の中まで広げて考える

解き直しの到達点使った条件と結論のつながりを、解説を閉じて説明できること。

1(1)|発芽に必要な三つの条件

イ・ウ・エ。水・空気・適切な温度。

  1. 種子には発芽に使う養分が蓄えられています。一般的な発芽実験では、水、呼吸に必要な空気、発芽に適した温度をそろえます。
  2. 発芽後の成長に必要な条件と、発芽を始めるための条件を混同しません。

1(2)|発芽時期にばらつきがある利点

Aの例:育ちにくい環境になる。B=絶滅。

  1. 同じ時期に全てが発芽すると、その後に悪条件が来た場合、まとめて育たなくなる危険があります。
  2. 一部の種子が休眠して別の時期に発芽すれば、生き残る機会を分散できます。個々の種子が必ず生き残るという意味ではなく、全滅・絶滅の可能性を下げる働きです。

1(3)|トマトの切り方と種の位置

ア。横に切る。種は三つの部屋の内側へ二つずつ。

  1. へたから先端へ向かう縦の軸に対し、直角に切るAの断面です。図では中心から三方向に広がる部屋が見えます。
  2. 六つの種は、外皮や中心の芯の上ではなく、各部屋のゼリー状の部分の内側に描きます。問題の断面図で、三つの部屋へ二つずつ配置する位置を確かめます。

1(4)|鉢でのトマトの育て方

オ・キ・ク

  1. 育ってきたら肥料を補い、支柱で茎を支え、根が伸びる余裕のある鉢へ植え替える方法です。
  2. 種を必要以上に深くまく、極端に水を多くやる、直射日光を避け続けるといった方法は適切ではありません。根・茎・葉が成長するための条件を考えます。

1(5)|キャベツの葉の外側と内側

ウ

  1. 外側の葉は大きく、内側へ向かって小さくなります。同時に、葉の幅の割合や丸みも変化していることを比べます。
  2. 単に全ての葉を同じ形のまま縮小した図を選ぶのではなく、外側の葉から内側の葉への形の変化を見る問題です。

2(1)|高い建物が並木へ与える影響

解答例:風通しが変わり、受粉や葉からの蒸散がしにくくなる。

  1. 建物は周囲の風の流れを変えます。風による花粉の運搬や、葉の周りの空気の入れ替わりに影響する可能性があります。
  2. 設問は考えられる影響を一つ答えるものです。風の変化と、それにより起こる植物への影響を、原因と結果でつなぎます。

2(2)|土を踏み固めない理由

A=すきま、B=空気、C=呼吸

  1. 土のすきまがあれば、水だけでなく空気も保たれます。根も呼吸し、空気中の酸素を必要とします。
  2. 葉が光合成するから根には空気が不要、という考えは誤りです。根が呼吸できる環境を保つことに、立ち入りを制限する意味があります。

2(3)|上流側Aの樹木が枯れた理由

解答例:建物で地下水がせき止められ、粘土層の上に水がたまり、根が酸素不足になって腐ったため。

  1. 水はAからBへ流れていました。地下の建物が水の道をふさぐと、上流のA側では地下水位が上がりやすくなります。
  2. 下側の粘土層は水を通しにくいため、たまった水が抜けにくくなります。根には水だけでなく酸素も必要なので、水が多ければ必ずよいわけではありません。

第3問|気体の性質と中和

この大問で学ぶこと

物質の反応と、量・濃さによるグラフの違いを読む

解き直しの到達点使った条件と結論のつながりを、解説を閉じて説明できること。

1(1)|三つの性質に合う気体

①A(酸素)、②B・D(塩化水素・アンモニア)、③D(アンモニア)

  1. 空気中での燃焼では酸素が使われるため、燃やす物によらずその量が変わります。塩化水素とアンモニアにはにおいがあります。
  2. 赤色リトマス紙を青くするアルカリ性の水溶液になるのは、アンモニアです。気体の性質と、水に溶けた時の性質を分けて対応させます。

1(2)|二酸化炭素を見分ける

解答例:石灰水を加えて振ると、白く濁る。

  1. 方法と結果の両方を答えます。石灰水を使うだけ、白く濁るだけでは、何をどう調べたかが不十分です。
  2. 二酸化炭素が石灰水と反応して、白い固体を生じることを利用します。

1(3)|水酸化ナトリウム水溶液へ多く入る理由と似た現象

ウ

  1. 二酸化炭素は水酸化ナトリウムと反応するため、水だけの場合より取り込まれます。鉄が水には溶けず、塩酸と反応して溶ける現象が対応します。
  2. 同じ物質でも温度で溶ける量が変わることや、物質の種類による溶解度の差とは区別します。

2(1)|塩酸へ入れる指示薬

イ。BTB液。

  1. BTB液は酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色です。塩酸へアンモニア水を加え、酸性側から青色へ変わるところを調べます。
  2. ヨウ素液はでんぷんを調べるもの、水酸化ナトリウム水溶液は指示薬ではありません。

2(2)|ピペットの扱い

ウ

  1. 必要な量を吸い上げた後、ゴム球を押す力を調節して液を保持し、移した先で押して出す手順です。
  2. 吸い上げる前にゴム球を押しておき、先を液へ入れてから緩めます。液がゴム球側へ流れない向きで扱うことも大切です。

2(3)|塩酸の体積を変えた時

ア。原点を通る直線。

  1. 濃さが同じ塩酸は、体積に比例して中和に必要なアンモニア水が増えます。塩酸が二倍なら、アンモニア水も二倍です。
  2. 濃さが一定という条件を使います。必要量が一定になるグラフや、右下がりのグラフではありません。

2(4)|アンモニア水の濃さを変えた時

エ。反比例の曲線。

  1. 塩酸の量を固定すると、必要なアンモニアの量も一定です。アンモニア水が二倍の濃さなら、必要な体積は半分で足ります。
  2. 濃さ×体積が一定なので、直線で減るのではなく反比例です。横軸が体積か濃さかを確認します。

2(5)①|残った固体の重さ

ア=0g、イ=1.50g

  1. アンモニア水を加えないAは、加熱後に固体が残りません。アンモニア水が不足する範囲では、加えた量に比例して塩化アンモニウムができます。
  2. 10cm³で0.75gなので、20cm³ではその二倍の1.50gです。30cm³・40cm³で1.80gにそろうのは、塩酸が使い切られたためです。

2(5)②|塩酸10cm³で固体を最大にする

8cm³

  1. 塩酸30cm³で固体は最大1.80g。アンモニア水10cm³当たり0.75gできるので、過不足なく反応するアンモニア水は1.80÷0.75×10=24cm³です。
  2. 塩酸を30cm³から10cm³へ1/3にするので、アンモニア水も24÷3=8cm³。固体が同じ重さになる30cm³以上の値をそのまま使わないようにします。

第4問|密度・水温と熱気球

この大問で学ぶこと

同じ体積の重さを比べ、温度で変わる側を確かめる

解き直しの到達点使った条件と結論のつながりを、解説を閉じて説明できること。

1(1)|液体に浮く球

a・d

  1. 液体の密度は700÷500=1.4g/cm³。球aは10÷20=0.5、bは60÷40=1.5、cは73÷50=1.46、dは120÷100=1.2g/cm³です。
  2. 液体より密度が小さいa・dが浮きます。球全体の重さだけでは判断できません。
球と液体の密度をそろえて比較
対象1cm³当たりの重さ判定
液体1.4g基準
a0.5g浮く
b1.5g沈む
c1.46g沈む
d1.2g浮く

1(2)|全ての球を浮かせる粉末の量

50gより多く。

  1. 最も密度が大きいbの1.5g/cm³を超える液体にすれば、全ての球が浮きます。体積500cm³は変わらないので、液体全体の重さを1.5×500=750gより重くします。
  2. もとは700gなので、追加は50gより多く必要です。ちょうど50gではbと同じ密度であり、問題の浮くための条件である、液体の方が密度が大きい状態にはなりません。

2(1)①|物体Cの重さの範囲

9.92gより大きく、9.98g未満。

  1. Cは20℃の水では浮き、40℃では沈みます。体積10cm³だから、20℃の水10cm³の重さ9.98gより軽く、40℃の水10cm³の9.92gより重いと分かります。
  2. 等しい時は浮く・沈むのどちらとも異なる境目なので、不等号の向きと、端の値を含めないことを確かめます。

2(1)②|四つの物体の重い順

D→B→C→A

  1. 同材質のA・Bは、体積12cm³のBが10cm³のAより重く、同様にDはCより重いと分かります。A・Bの密度はC・Dより小さく、同じ12cm³ならDがBより重くなります。
  2. Bは80℃で沈むため12×0.972=11.664gより重く、Cは9.98g未満なのでBはCより重いと確定します。密度の順だけで重さを並べないようにします。

2(2)|10℃から0℃へ冷やす時

カ。初め沈み、途中で浮き、再び沈む。

  1. 横軸の温度に対し、グラフは水1gの体積です。物体1gの体積は水6℃と同じ一定値なので、その高さに水平線を考えます。
  2. 10℃では水の方が同じ重さで体積が大きく、密度が小さいため物体は沈みます。冷やして水の体積が水平線より小さくなる間は物体が浮き、さらに0℃へ近づき水の体積が再び大きくなると沈みます。

2(3)|表面だけ凍った湖の温度

①ウ(−10℃)、②イ(0℃)、③ア(4℃)

  1. 氷の表面は外気で冷やされ、−10℃となり得ます。氷と水が接する場所は凍る温度の0℃です。
  2. 水は4℃付近で最も密度が大きく、その水が下へ沈みます。表面に氷があるからといって、湖底まで0℃や−10℃になるわけではありません。

3(1)|上昇する時の気球内の空気

エ

  1. 下から熱された空気は密度が小さくなって上にたまり、下側の冷たい空気を押し出します。風船部分の体積がほぼ一定なら、中の空気全体の重さが減ります。
  2. 閉じた容器内を循環する対流の図と同じにせず、下側が開いて空気が入れ替わる気球の構造を考えます。

3(2)|上の穴を開けると早く下がる理由

イ

  1. 上の穴から熱い空気が抜け、下から冷たい空気が入ります。内部と外部の密度の差が小さくなり、気球を持ち上げる働きが弱まります。
  2. 単に風船がしぼむから、上から冷たい空気が落ちてくるから、という説明とは区別します。

3(3)|より多くの人を乗せられる季節

エ。冬。

  1. 冬の外気は温度が低く、同じ体積当たりの重さが大きくなります。内部の熱い空気との重さの差が大きいほど、気球全体を持ち上げる余裕が増えます。
  2. 比較するのは内部の空気だけではなく、押しのけた外気と、内部の空気の重さの差です。

解き直しの進め方

同じ数でも、個数・面積当たり・体積当たりでは意味が変わります。表の数値を比べる前に、何を同じにするかを確認しましょう。植物の根や気球の空気も含め、必要な条件と、変化した量を自分の言葉でつなげて解き直します。

段階取り組むこと確認すること
1|原因を分ける間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分けるどこで手が止まったかを言葉にする
2|解説を閉じる自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか
3|時間を空ける日を改め、類題と合わせて再挑戦する条件が変わっても使える考え方になったか

志望校の過去問を、次の学習計画へ

点数だけでは、次に何を直すべきかは決まりません。進塾では、解き方・答案の根拠・つまずいた箇所を確かめ、授業と家庭で取り組む内容を整理します。集団コース・個別指導のご相談を承ります。

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