2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
女子学院中学校・2024年度 入試 国語
2024年度の女子学院中学校・国語を、全3大問から21項目に整理して解説します。篠田桃紅氏の水田の写真をめぐる随筆、大竹伸朗氏の絵と遠近感をめぐる文章、漢字六問を扱います。記述は進塾独自の解答例です。比喩の対応と、複数の時点の経験をつなぐ読み方を説明します。
第1問|水田の写真と疎開先の記憶
この大問で学ぶこと
空からの見え方と、地上の暮らしの実感を行き来する
問一|否定を使った推量の読み替え
ウ
- ではなかったかと思うは、ここでは否定を重ねて村里だった可能性を打ち消す表現ではなく、もとは狭い谷あいの村里だったのだろうと推量する言い方です。
- 文末まで読み、筆者が肯定したい内容を普通の文へ戻します。
問二|一を含む四字熟語
1=一日千秋、2=一心不乱、3=心機一転
- 待ち遠しく感じる一日千秋、集中する一心不乱、気持ちを新たにする心機一転です。
- 解答欄には一がすでに印刷されています。熟語全体を確かめた後、空欄の部分だけを指定どおり書きます。
問三|手作りのステンドグラスの比喩
解答例:ふぞろいで入り組んだ田の一枚一枚が、それぞれ少しずつ異なる色の水をたたえ、つなぎ合わせた色ガラスのように見える様子。
- 対応させるのは、田の区画とガラスの小片、畦とつなぎ目、水の色とガラスの色です。
- 田が人工の材料でできているという意味ではありません。形の不ぞろいさと、色の違いを両方含めます。
問四|田守りの舎と感じた家
ウ
- 赤い屋根の家と水田が一つの親密な絵になり、家がその田を見守るように調和している様子です。
- 家が目立って田の美しさを引き立てる、家と田が対立する、といった一方的な関係ではありません。
問五|お伽話の世界と地上の現実
Ⅰ=イ、Ⅱ=イ
- 地上では田植え前の相談など、現実の忙しいやり取りが行われているはずです。しかし空から見ると人の動きや緊張が見えず、穏やかで幻想的な世界のように感じます。
- Ⅱは、人々が心を弾ませ楽しげに苗を植えるだろうと筆者が想像する箇所です。空から見えた事実と、そこから広がった想像を区別して読みます。
問六|人の心が明るくひらくとは
解答例:田植えの準備で忙しくしていても、苗が育ち実る季節を思い描き、働くことが楽しみや張り合いになっている心情。
- 冬の長い土地では、田植えは季節が大きく動き出す時期です。目先の作業量だけでなく、その先の成長への期待を読み取ります。
- 明るいという言葉を、ただ愉快だと置き換えず、何を楽しみにしているのかまで具体化します。
問七|よそ目の視点
ア
- 疎開してきた筆者は、田植えの作業そのものを担わない側から、土地の人々の働く様子を見ています。
- 初めて田植えを見たとは書かれていません。また、疎開先で全く受け入れられなかったという事情を補わないようにします。
問八|いちぶしじゅうの意味
エ
- 初めから終わりまでの、全ての詳しい事情という意味です。筆者は米が育ち、収穫されるまでの過程を近くで知ることができました。
- 一部の事情や、初めと終わりだけという意味にしないようにします。
問九|及ぶべくもないの意味
エ
- 後に食べた米の味も、疎開先で食べたその時の味とは比べようがないほど、当時の味が勝るということです。
- 味が全く別の種類というだけではなく、忘れられないおいしさへの高い評価を表します。
問十|あのへんの場所
疎開していた、雪が多く冬の長い東北の山裾の村。
- 写真に写っている青森の場所そのものと、筆者が記憶している疎開先を混同しません。
- 曲がりくねった畦道や、山裾の小さな村という本文の説明を集め、どこを指すか具体化します。
問十一|写真の田の米もおいしいと思った理由
解答例:ふぞろいな田が継ぎ足される写真の景色が、疎開先の田に似ており、そこで育つ過程を見て食べた米の、今も忘れられないおいしさがよみがえったから。
- 写真だけで味を科学的に判断したのではありません。似た景色が、自分の経験と味の記憶を呼び起こしています。
- 写真の特徴→疎開先との共通点→おいしさの記憶、という順に説明します。
第2問|形・雰囲気と自分の絵
この大問で学ぶこと
記憶と失敗が、表現の発見へつながる順序を読む
問一|形とは別にある感じ
ア
- 絵が何をどう映し出し、見る人の心へどのように響くかという感覚です。輪郭や比率が正確かどうかだけでは決まりません。
- 他人より上手だという優越感や、他人へ反発する気持ちとは異なります。
問二|一目置くの意味
エ
- 相手の優れたところを認め、敬意を払うことです。マンガの上手な友達に対する、周囲の見方を表します。
- 最高の人と決めて褒めることだけや、相手へ遠慮して距離を取ることとは区別します。
問三|二つの絵の形と雰囲気
友達の絵:形は正確でも、機械的で温かみがない。自分の絵:形が少し歪んでも、元のマンガに近い生きた温かさがある。
- 友達の技術を単に否定する問題ではありません。形の正確さと、作品から受ける印象が必ず一致するわけではないという発見です。
- 両方の絵について、形と雰囲気の二つの観点をそろえて比較します。
| 絵 | 形 | 受ける印象 |
|---|---|---|
| 友達の模写 | 比率が正確 | 機械的な線のように感じる |
| 自分の模写 | 少し歪みがある | 生きた温かさが伝わる |
問四|それらに含まれない出来事
ア
- それらは、マンガの絵柄が実用品へ移り、無地の品を使う少年の姿と衝突した一連の経験を指します。
- 少年が新聞配達をしていること自体は、その視覚的な驚きに含まれません。指示語の直前の名詞だけでなく、前の段落全体で何が問題になったかを確かめます。
問五|上履き入れの絵を描いた人
ウ
- 筆者が、自分と呼ぶ少年時代の自分を振り返っている場面です。女の子は上履き入れの持ち主で、描いた人ではありません。
- 誰の持ち物かと、誰が描いたかを分けます。自分がどの人物を指すかを、語りの主体から確かめます。
問六|同年代の水彩画に受けた衝撃
解答例:遠景の街並みが遠近法で奥行きを持っていた点。
- 三十字以内で、驚いた絵の特徴を説明します。近くの木の間から、遠くの街の景色が見え、奥行きが作られていました。
- 自分の作品が落選した悔しさではなく、それまで自分の絵になかった立体的な空間の表現へ焦点を合わせます。
問七|近くて遠い距離とは
エ
- 賞を取った絵は目の前に実物としてありながら、自分には同じ奥行きを描き出せません。その表現上の隔たりを遠いと感じています。
- 作者と同じ地域で育ったか、物理的に離れているかという距離ではありません。
問八|降参を表す旗
白
- 白旗を掲げるは、負けを認め、降参することです。金の縁取りなどだけを見ていた自分の絵の未熟さを感じた場面に対応します。
- 漢字一字なので、白旗ではなく白と答えます。
問九|腑に落ちたこと
イ
- 過去の絵を前に自分の絵は劣ると思っても、そこまでの経験は無駄ではありませんでした。失敗や記憶が重なることで、後の自分なりの遠近感が生まれたと理解します。
- 同じ絵を正確に再現できたという結論ではありません。古い経験が、別の方法で自分の表現を支えていたと気付く読みです。
| 経験 | 後へ残ったこと |
|---|---|
| 小学生の時に見た水彩画 | 近くて遠い奥行きの記憶 |
| 落選した静物画 | 自分の表現を振り返る材料 |
| 雑誌の写真から絵を描く | 薄い色を重ねる方法 |
| 失敗作へ再び色を重ねる | 自分なりの距離感への気付き |
第3問|文脈に合う漢字
この大問で学ぶこと
熟語と送り仮名の範囲を確かめる
1〜6|漢字六問
1=並行、2=合図、3=家庭、4=俵、5=操縦、6=潮時
- 並行して走る、合図を送る、家庭と仕事を両立する、米俵を担ぐ、飛行機を操縦する、潮時を待つという文脈です。
- 潮時は、行動に適した時機という意味です。家庭と物事の途中を表す過程など、同じ読みの語を意味で分け、すでにある送り仮名も確かめます。
解き直しの進め方
写真や絵から読み取る内容を、形の特徴・受ける印象・呼び起こされた記憶に分けましょう。比較する記述では両方へ同じ観点を当て、指示語は段落の話題をたどります。字数条件を守り、なぜそう感じたかを複数の根拠から説明し直して解き直します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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