2026年11月4日
SUSUMU JUKU / 2026 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
広尾学園中学校・2026年度 第1回 社会
エネルギー統計、時代の異なる史料、情報社会の制度、資料を踏まえた論述を解説します。統計は出題時の年、選挙制度は原則と例外を区別して整理します。
第1問|エネルギーと資源
この大問で学ぶこと
統計の年と、地図の位置を確かめる
問1 2つの語句
A:エネルギー革命、B:レアメタル
- 日本で消費の中心が石炭から石油へ変化したことをエネルギー革命と呼びます。
- ニッケル・クロム・コバルトなどの希少金属がレアメタルです。使用済み製品からの回収は、いわゆる都市鉱山の活用につながります。
問2 太陽光発電の図と説明
ウ:E・F
- Dは青森・北海道など風の利用に適した地域が上位なので風力。Eが太陽光です。洋上への設置や周辺への騒音の影響はGの風力に対応します。
- Fの発電量順位は資料当時の説明です。現在の全国順位として暗記するのでなく、出題資料の年に従って選びます。
問3 風力発電量1位の県の就業者
ウ
- 地図Dの1位は本州北端の青森県です。第1次産業の割合が4候補で最も高い12.0%の列を選びます。
- 青森は農業・漁業が盛んな地域です。風力の設備容量と年間の発電電力量、また統計年の異なる順位を混ぜないことが大切です。
問4 パリ協定と京都議定書
ウ
- Lは全ての国が目標を提出するパリ協定、Mは2℃。Nは先進国に数値目標を設けた京都議定書、Oは5です。
- パリ協定は2℃を十分下回る水準に保ち、1.5℃に抑える努力も追求します。京都議定書の最初の約束期間は先進国全体で1990年比少なくとも5%削減です。
問5 東京湾の3港
カ:P横浜港、Q千葉港、R川崎港
- Pは自動車輸出が大きく、総額も大きい横浜。Qは原油輸入の比重が高く、石油製品や鉄鋼を輸出する千葉。Rは自動車輸出と液化天然ガス輸入が特徴の川崎です。
- 一品目だけで決めず、輸出入の組合せと総額を併せて判別します。表は2020年の数値です。
問6 粗鋼生産の推移
イ:X中国、Y日本
- 2000年代から突出して増えるXが中国。約1億トン前後で推移するYが日本です。
- 鉄鉱石の採掘量と、製鉄所で生産する粗鋼の量は別の統計です。
第2問|史料から読む政治と文化
この大問で学ぶこと
文章中の手掛かりを時代に結び付ける
問1 地名・学問・緯度
Ⅰ堺、Ⅱ朱子学、Ⅲ50
- 会合衆による自治都市は堺。幕府が正学としたのは朱子学。ポーツマス条約で日本が得たのは、樺太の北緯50度以南です。
問2 律令制度の誤り
ウ
- 租は地方の特産物ではなく、口分田の収穫から納める稲です。地方の特産物を納めるのは調です。
- 税の名称と負担内容を入れ替えた選択肢を見抜きます。
問3 将軍と政策
ウ:X徳川綱吉、Y徳川家慶
- 貨幣の質を下げて量を増やす改鋳は綱吉の時代。アヘン戦争後の薪水給与令は家慶の時代です。
- 実際の政策担当者と、そのときの将軍名を区別します。Yの改革を進めた老中は水野忠邦です。
問4 養老七年の法と天皇
三世一身法、イ:元正天皇
- 723年の三世一身法は、開墾地の期限付き私有を認めた法律です。その後、743年に墾田永年私財法が出されます。
- 723年の元正天皇と、743年の聖武天皇を混同しないようにします。
問5 鎌倉文化と時代順
正しい記号エ、順序オ→イ→エ→ウ→ア
- Eは御成敗式目に関する史料で鎌倉時代。平家物語と琵琶法師のエを選びます。
- 風土記は奈良、阿弥陀堂は平安後期、平家物語は鎌倉、連歌の隆盛は室町、井原西鶴の浮世草子は江戸の元禄期です。
問6 湯島聖堂でまつる人物
孔子
- 儒学の祖である孔子をまつります。「漢字2字」という指定に合わせ、学問名の儒学や朱子学ではなく人物名で答えます。
問7 日露戦争前の国際関係
Aアメリカ、Bロシア、Cドイツ、Dイギリス
- 満州・朝鮮半島をめぐって日本と対立したBはロシア。1902年に日本と同盟を結んだDはイギリスです。
- 三国同盟のドイツ・オーストリア・イタリアからCはドイツ。満州進出に反対したAはアメリカと分かります。
問8 史料の年代順
ウ:D→E→B→C→F
- Dは743年の墾田永年私財法、Eは1232年の御成敗式目。Bは戦国期の堺、Cは1722年の上げ米の制、Fは1790年の寛政異学の禁です。
- 制度名を特定してから年代へ置き換えると、史料の長さに惑わされません。
第3問|情報社会と民主政治
この大問で学ぶこと
制度・権利・数値の分母を区別する
問1 情報通信を担当する行政機関
ア:総務省
- テレビや携帯電話などの情報通信行政は総務省です。デジタル庁があるからといって、情報に関する全ての仕事が移ったわけではありません。
問2 司法に国民の意思を反映する制度
最高裁判所裁判官国民審査
- 衆議院議員総選挙の際に、最高裁判所裁判官を罷免するか国民が審査します。裁判員制度と区別して、司法の最高機関に関する仕組みを答えます。
問3 非拘束名簿式
シ
- 参議院の比例代表で、候補者名か政党名を書いて投票します。党内の当選順は原則として個人名得票の多い順です。
- ただし特定枠の候補者は例外で、あらかじめ順位を付けて優先的に当選させる仕組みがあります。「名簿順位が一切存在しない」と一般化しないようにします。
問4 情報を読み解く能力
メディアリテラシー
- メディアが伝える情報の出所・目的・根拠を確かめ、批判的に読み解き、適切に発信する力です。指定のカタカナ9字で書きます。
問5 特許権や著作権をまとめる語
知的財産権
- 特許権などの産業財産権と著作権を含む名称です。単に「著作権」とすると、発明などの権利を含められません。
問6 新しい人権の説明の誤り
ウ
- 国や自治体が持つ情報を得る権利は、一般に知る権利として整理します。アクセス権は、マスメディアを通じて自分の意見を発表したり反論したりする権利の文脈で使われます。
- 選択肢はこの2つを取り違えています。情報公開と、メディアへの発信・反論の機会を分けましょう。
問7 財政の表の読み取り
イ
- 直接税の比率は2024年度(18+17)/(18+17+23)=35/58、2025年度43/66となり上がっています。
- 公債金への依存度は歳入合計が同じ93のまま35から27へ下がっています。国債費は借金の返済などの支出で、公債金とは別です。
問8 非正規雇用の割合
選択肢ではエ:約36%
- 役員を除く雇用者に占める非正規の割合は約3分の1強です。6%や16%、過半数に近い46%とは異なります。
- 設問の選択肢は36.1%ですが、2025年5月の公表実数(非正規2101万人、役員を除く雇用者5810万人)からは約36.2%です。選択肢ではエが該当し、厳密な小数値は資料の集計・時点と合わせて確認します。
第4問|歴史と現代の資料を説明する
この大問で学ぶこと
必要な能力と、社会への影響を論述する
Ⅰ 幕府の中心に貴族出身者がいた理由
政治・裁判・文書の専門知識が必要だったため
- 図では侍所が軍事、政所が政治、問注所が裁判を担当します。幕府は軍事だけを担う機関ではありません。
- 史料では、多くの武士が集まっていても院宣を読める人物を探しています。朝廷の文書や慣行、法の知識を持つ貴族出身者が、政治・裁判・朝廷との交渉に必要だったと説明できます。
Ⅱ-A 注目を収益に変える仕組みが起こす問題
刺激的な誤情報や誹謗中傷が、注目と収入を求めて広がりやすい
- 閲覧数が広告収入につながると、正確さより驚き・怒り・不安を誘う内容が優先される場合があります。
- 選挙では、候補者の政策を丁寧に比べる情報より、根拠のないうわさや切り抜きが拡散されるという具体例を挙げます。
Ⅱ-B 選挙への悪影響
有権者が誤った情報で判断し、公正な選択が損なわれるおそれ
- 候補者の実際の政策・実績と、拡散された印象が食い違うと、投票判断がゆがめられます。
- Aの拡散の仕組み→Bの判断への影響を因果関係でつなぎます。SNSを使うこと自体が必ず悪い、とは決め付けません。
解き直しの進め方
統計は地名・年・分母を、史料は制度名と年代を確かめます。記述は資料のどこを使ったかが伝わるように、根拠→理由→結果の順で組み立て直してください。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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