2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
慶應義塾中等部・2024年度 一次試験 国語
合唱への取り組みを描く物語、都市の変化と文学の論説、雪月花の随想に加え、文法と漢字を解説します。場面をまたぐ心情の対応、喪失と創造の対比、語形の違いを読み分けます。
第1問|合唱とチームづくり
この大問で学ぶこと
他の得意分野の経験を応用する
問一|そもそもの言い換え
4(だいいち)
- 話の出発点へ戻り、最初からパートリーダーではなかったと主張する文です。
- いわゆる・しばしばなどの意味ではなく、前提を問い直す「だいいち」に置き換えます。
問二|ぬかすと同じ使い方
5
- 本文では、相手の発言へ不満を込めて「言う」を表しています。同じ使い方は、何を言っているのかと非難する5です。
- 誤字をぬかす、腰をぬかすなど、同じ音でも意味の異なる用例と分けます。
問三|空欄Cの語
2(さすがに)
- いつもレポートを助けてもらっている語り手ですが、友人へ無理な依頼をされたと感じています。
- 普通は頼っていても、この場合は、という限度を示すため「さすがに」が合います。
問四|つばを吐くような返事の理由
3
- 男子の歌声がそろわず、友人に頼られても対策を思い付けない自分へ腹を立てています。
- ヒロを助けたい思いと、すぐには解決できないいら立ちを合わせて読みます。男子へ責任を押し付けるだけの心理ではありません。
問五|健太と似た充実感の表現
はじめ三字:俺自身/終わり三字:しい。
- 後半で男子が映像を見て練習へ前向きになり、語り手自身も充実して楽しいと述べます。これが後輩の上達を助ける場面の気持ちと対応します。
- 自分の行動が周りへ届く手応えを探します。書き抜き全体を確認した後、指定された初めと終わりの三字だけを書きます。
問六|健太が思い付いたこと
答案例:男子全員で音楽の映像を見て合唱への意欲を高める
- 後輩がDVDから技術を吸収する様子と、ヒロの合唱への悩みが結び付きます。技術を教え込む前に、男子全体のやる気を起こす方法です。
- 二十字以上二十五字以内で「こと。」へつなげます。自分一人の練習や映像を貸すだけでは、全員へ働き掛ける狙いが不足します。
問七|どうでもよく感じられる理由
4
- 自分が考えて動いたことで成果が見えてくる充実感が、社会科の課題や外部の情報を受け取ること以上に強くなっています。
- レポートを軽視せよという教訓ではなく、その場面の語り手の手応えを描いた表現です。
第2問|都市の変化と文学
この大問で学ぶこと
喪失と新しい文化の誕生の両面を読む
問一|対義語
4(失望)
- 将来の出来事を望む期待に対し、望みが失われる意味の失望が対義語です。
- 語感の反対だけでなく、期待の対象が実現しそうかという意味の軸で比べます。
問二|空欄の語
A9/B4/C2/D7/E5
- 名所は名高い場所、江戸の呼び名は花のお江戸です。科学技術や自然の猛威という二種類の主語が都市の変化を引き起こします。
- 表現技法が生むのは新しい文学、生活へ入るのは新しい機械文明です。直前の原因と後の結果をつなげます。
問三|過去が失われた後に入ったもの
2
- 江戸の伝統が失われて生じた空間へ、以前は入らなかった西洋の文化が入り込んだという意味です。
- 災害の損失だけを述べた部分でも、外国文化がすべてを置き換えたという単純な説明でもありません。
問四|空間や人間の生活に関わらないもの
2(擬人法)
- 擬人法は表現の技法です。銀座、モボ・モガ、映画スターなどの場所や人の生活に関わる例とは分類が違います。
- 内容を代表する語か、文章の表現手段かという違いで選びます。
問五|満員が日常になる背景
3
- 科学技術の発展で汽車やバスなどの移動手段が変わり、多くの人が同じ空間を日常的に使うようになりました。
- 単に人が昔から多かったという説明では、以前との変化が示せません。交通の変化という本文の因果関係を押さえます。
問六|擬人法と同じ表現
2
- 閉会式を蛍の光が「閉ざす」という表現は、曲に人間のような働きを与えています。
- ダンスを打ち上げ花火にたとえる5は比喩ですが、擬人法ではありません。比喩の種類まで区別します。
問七|焼け野原と同じ意味の表現
5(過去の空白地帯)
- 震災で失われ、それまでの文化の積み重ねが途切れた空間という意味が対応します。
- 都市名や被災地の一部分を選ぶのではなく、過去が失われた状態の言い換えを探します。
問八|本文内容との一致
ア2/イ1/ウ1/エ2
- アは感染症で日本独自の文化が花開いたと一般化しており、本文の説明ではありません。イの災害後に新しい風が生まれたという逆説、ウの技術と表現の変化は一致します。
- エは過去と現在を隔てず日本独自の文化を残してほしいという願望に読み替えています。本文が述べるのは、喪失と創造の反復という現実です。
第3問|雪月花と日本の美意識
この大問で学ぶこと
引用の出典と季節・表現技法を整理する
問一|川端康成の作品の書き出し
5(雪国)
- 国境のトンネルと雪の国という場面から、川端康成の雪国を特定します。
- 他の選択肢の作品も、それぞれの作者と冒頭の特徴を対にして整理します。
問二|ノーベル文学賞の日本人
4(大江健三郎)
- 川端康成に続いてノーベル文学賞を受賞した日本人作家は大江健三郎です。
- 詩人・歌人としての知名度ではなく、受賞歴と文学分野を確認します。
問三|講演の題名の語
2(美しい)
- 川端康成のノーベル文学賞受賞講演の題名は「美しい日本の私」です。引用の冒頭で講演の位置付けを確かめます。
- 本文に登場する日本の美意識という主題にも対応します。似た意味の形容詞を推測して入れず、題名として確認します。
問四|にべもないの意味
1(愛想のない)
- 筆者は相手へ素っ気なく返事した自分の態度を振り返っています。対人関係での応じ方を表す語です。
- 能力がない、気迫がない、忖度がないという別の性質と区別します。
問五|枕草子の冒頭
4
- 春の明け方から始まる段の4が枕草子です。四季の自然を、時間帯や景物とともに印象深く描いています。
- 和歌や物語、方丈記、平家物語の冒頭と文体・内容を比べます。
問六|引用された漢詩の表現
4(対句)
- 季節の景物や時を対にして並べる構造があります。同じような形の語句が対応する表現が対句です。
- 同じ語を繰り返す反復、語順を入れ替える倒置、名詞で止める体言止めとは異なります。
問七(1)|雪月花の季節
5(雪:冬/月:秋/花:春)
- 伝統的な景物として、雪は冬、月は秋、花は春と結び付けます。
- 月が他の季節に見えないという意味ではありません。文学上の代表的な季節の対応を問う問題です。
問七(2)|夏の景物
2(ほととぎす)
- 夏を代表する鳥として、ほととぎすが加わります。
- つばめ、白鳥、うぐいすなどの季節の結び付きと区別します。
問七(3)|本文の雪月花の意味
5
- 自然や身近な生活の中に見いだす日本人の美意識を表す言葉として述べられています。
- 一つの詩の題名や、別れの悲しさだけに限定せず、本文全体の説明の広がりを捉えます。
第4問|語の形と文法
この大問で学ぶこと
状態と動作、変化の結果を区別する
問一|ているを付けた働き
A2/B4/C1/D3
- 木が倒れているは動作後の結果、スマホがあるはもともと存在の状態で、発見なら「あった」とします。合唱曲を歌っているは動作の進行です。
- 母に似ているは状態を表します。すべてを「今している動作」と一括しないようにします。
問二|状態の説明の空欄
ア3/イ4/ウ1
- 「ている」を付けると、変化の結果の状態が今続いていることを表します。Eの作用は完了し、それ以前の状態が続かないという実感につながります。
- Fは変化が起きた瞬間に焦点があり、「た」を付けると時の制約が生じます。形の違いで焦点がどこに置かれるかを考えます。
第5問|漢字の書き取り
この大問で学ぶこと
文脈と慣用的な組み合わせから選ぶ
ア|漢字
評判
- 作品への世間の評価という意味です。「評論」とは別の語です。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
イ|漢字
終生
- 生涯にわたってという意味です。「一生」とつなげて覚えます。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
ウ|漢字
連綿
- 途切れず長く続く意味です。「綿」の字を糸へんまで確認します。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
エ|漢字
副次
- 主なものに伴って起こることです。「複」ではなく副を使います。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
オ|漢字
小刻
- 寒さで細かく震える「小刻み」です。送り仮名は問題の指定に合わせます。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
カ|漢字
札
- 取りつくろう「かるた」ではなく、問題の「かるたの取り札」の札を書きます。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
キ|漢字
交付
- 免許証などを渡すことです。「公布」と使う対象を区別します。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
ク|漢字
伝票
- 売買などの内容を記す用紙です。「票」を標にしないようにします。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
ケ|漢字
転居
- 住む場所を移すことです。隣の人の引っ越しという文脈へ戻します。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
コ|漢字
期
- 二人の考えが偶然に一致する「期せずして」です。送り仮名を確認します。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
サ|漢字
腹心
- 信頼して秘密も打ち明けられる人です。身体の部位の意味に限りません。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
シ|漢字
一丸
- 全員が一つになって取り組むことです。「一丸となる」の形で確認します。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
ス|漢字
早晩
- 遅かれ早かれ、いずれという意味です。朝晩とは意味が違います。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
セ|漢字
孝行
- 親へよく尽くすことです。「考」と「孝」の形を区別します。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
ソ|漢字
耕
- 畑を耕すことです。すでにある送り仮名「す」を重ねないようにします。
- 語全体を読み直し、同音語や送り仮名の誤りがないか確認します。
解き直しの進め方
物語は同じ気持ちが現れる二場面を照合し、論説は原因と結果を整理しましょう。文学的な景物は日常の事実と文学上の約束を分け、文法は例文へ戻して意味の違いを説明します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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