2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
渋谷教育学園幕張中学校・2024年度 一次 国語
2024年度一次の国語を、計画と臨機応変を論じる文章と、志賀直哉「或る朝」の二題から解説します。説明文では条件付きの主張、小説では態度が変わるきっかけを、設問の指定範囲に即して確かめましょう。
第1問|信原幸弘の文章・計画とアジャイル
この大問で学ぶこと
計画の役割と、その場で対応する力を比べる
解くときの着眼点:計画が無駄になる場合の説明を、計画は常に不要という極論へ読み替えないことが大切です。
問一a|漢字
工程
- ソフトウェアを完成させるまでの作業の手順や段階なので、工程です。肯定・公定などの同音語と区別します。
- 物を作る過程という前後の意味から判断します。
問一b|読み
こうむ(る)
- 被るは、害や不利益を受ける場合にはこうむると読みます。ここでは被害を受ける文脈です。
- 解答欄で送り仮名の「る」が印刷されている場合、欄にはこうむと書きます。「かぶる」と混同しないようにします。
問一c|漢字
利
- 機転が利くの利です。その場に合うように頭がよく働くという意味になります。
- 薬が効くの効ではありません。熟語の意味と助詞まで含めて確かめます。
問二|行き詰まって動けなくなる
ア(立ち往生する)
- 何らかの事情で先へ進めなくなることを立ち往生するといいます。自分の力を見誤って、状況に対処できなくなる結末に合います。
- 立ち返る、矢面に立つ、水際立つとは、それぞれ意味が異なります。
問三|きわめて効率が悪い理由
オ
- あらゆる場合を想定するには膨大な計画が必要なのに、実際にはその大半が起きず、考えた内容の多くが使われません。
- 前もって作った計画が一部変わるという問題だけでなく、想定する量と実際に役立つ量の不釣合いを説明する選択肢を選びます。
問四|過剰な失敗への恐怖を克服する理由
例:失敗を未然に防ぐ役に立たないだけでなく、有益な行動を妨げ、危険や物事の実態を見誤らせるから。
- 本文は、危険に見合う恐怖には逃避などを促す適切な役割があると認めています。問題なのは危険に見合わない過剰な恐怖です。
- 答案には、防止に役立たないこと、有益な行動の妨げ、実態の見誤りという三つを結び付けます。失敗の可能性は常に無視してよい、という答えにはしません。
| 種類 | 本文での働き |
|---|---|
| 危険に見合う恐怖 | 回避行動を促し害を防ぐことがある |
| 危険に見合わない過剰な恐怖 | 利益ある行動を止め、実態を見誤らせる |
問五|Bの範囲で説明する臨機応変の能力
例:その場の状況に応じて、適切に行動し、適切に考えることのできる能力。
- Bでは、単に身体を動かすだけでなく、状況に合わせて考えることも含むと述べられています。行動と思考の両方を入れます。
- 訓練で伸びるというCの説明は、能力の育て方であって、この設問が指定するBの定義ではありません。指定範囲を守ってまとめます。
問六|機転の意味
イ
- 経験を踏まえ、その場にふさわしい行動を取るという意味です。レストランで漢字を書いて注文を通した例は、言葉が通じない場面に合わせた工夫です。
- 計画全体を見渡すこと、原因を探して修理すること、相手の立場に立つことだけに意味を限定しません。
問七|バランスを取るときの注意
ウ
- 本文の結論は、自分の臨機応変の能力を適切に見積もり、能力に合う計画を作り、残りをその場で対応することです。
- 能力が高いと思えば計画が一切不要なのではありません。また能力は生まれつきだけでもないので、訓練や経験で鍛えた力を正しく自覚します。
| 確認 | 実行 |
|---|---|
| 自分の対応する力を見積もる | 力に合う計画を用意する |
| 予想外の状況が現れる | 現場の条件に応じて考え、動く |
第2問|志賀直哉「或る朝」
この大問で学ぶこと
意地を張る態度と、愛情に触れる変化を読む
解くときの着眼点:誰が何を期待したか、信太郎がその期待をどう受け止めたかを、発言と動作から確認します。
問一a|漢字
経(った)
- 時間がたつ場合は経つと書きます。祖母が声をかけてからの時間が過ぎる文脈です。
- 建つ・立つとは意味が異なります。送り仮名は問題の解答欄に合わせます。
問一b|読み
かいちゅう
- 懐中時計の懐中はかいちゅうです。ここでは身に着けて持ち歩く時計を表します。
- 壁時計や置時計とは違う持ち方と結び付けて意味を確かめます。
問一c|漢字
不意
- 予想していなかった時に急に、という意味の不意です。ここでは急に大きな声を出す場面です。
- 不同・不遜などではなく、「思いがけなく」という文脈に合わせます。
問二i|角のある声
ウ(怒った)
- 祖母の呼びかけがとげとげしくなっている様子を表します。信太郎はそれに腹を立てています。
- 声の音量が大きいことだけでなく、相手へのいらだちの調子を読みます。
問二ii|ぶっきらぼう
ア(悪い)
- 言い方や態度が無愛想で、そっけない様子です。眠い信太郎がわざと起きそうに見せつつ、返事をする調子に合います。
- 選択肢の「悪い」は態度・応対の感じがよくないという意味で選びます。人格が全面的に悪いという評価ではありません。
問二iii|おっつけ
オ(じきに)
- まもなく、ほどなく、という意味です。福吉町から人が来る時刻が近いので起きるよう促しています。
- 「おそらく」は可能性を表す語で、ここでの時間が近いという意味とは異なります。
問二iv|やくざな筆
カ(粗末な)
- ここでは上等ではない、粗末な筆という意味です。祖母が取り出した細い筆の描写に使われています。
- 現代語の犯罪組織の意味を持ち込まず、物の質を表す文脈で考えます。
問三|あまのじゃくと言われる点
例:祖母が何度も起こしに来るのに、意地を張って起きようとしない点。
- 信太郎は眠くなくなり起きてもよいと感じているのに、起こされるとかえって起きないと言い張ります。
- 単なる寝不足では説明し切れません。自分の気持ちと反対の態度を取り、相手の思いどおりにしたくない点を書きます。
問四|黙っていた理由
オ
- 寝る前に早く起こしてほしいと言ったのは信太郎自身です。そのことを祖母に指摘され、正論なので反論できず黙っています。
- 寝直そうとしているだけでも、相手に愛想を尽かしたと断定できる場面でもありません。祖母の直前の発言との関係が根拠です。
問五|故意に冷やかな顔で見ていた気持ち
例:自分が起きて手伝うと祖母が期待しているのが分かり、思いどおりにはさせまいとしている。
- 祖母は寝床をたたむのに苦労しており、信太郎が起きて手を貸すだろうと考えています。信太郎もその期待を読み取っています。
- 見えていないので気付かなかったのではなく、分かっていながら応じない態度です。意地を張る心情と動作を結び付けます。
問六|旅行をやめようと思うまでの変化
例:祖母が素直に自分の言うことを聞き、粗末な筆を大切にする姿から自分への愛情を感じ、意地を張る気がなくなっている。
- 祖母は渡された細い筆を、言われたとおり元の場所へ戻します。その筆は以前信太郎が買ってきた物で、祖母がしまって大切にしていたと分かります。
- 強く言い返していた相手の素直さや愛情が見え、信太郎は返答をやめ、笑みのうちに涙ぐみます。変化の原因を先に書き、反抗心がほどけた状態へつなぎます。指定された範囲より後の弟妹のやり取りを根拠にしません。
| 段階 | 出来事・受け止め | 気持ち |
|---|---|---|
| 起床をめぐる言い争い | 祖母の期待を感じて逆らう | 意地・反発 |
| 筆を戻す姿を見る | 自分の買った筆が大事にされている | 愛情への気付き |
| 返答をやめる | 笑みと涙が生じる | 意地がほどける |
問七|説明として適当でないもの
エ
- 作品は朝の身近な出来事を通し、信太郎の細かな感情の動きと家族との交流を描いています。普遍的に「起こされる朝の憂鬱さ」を主題とする説明は適当ではありません。
- 起床時の不機嫌だけなら、筆や涙、弟妹とふざける終盤の変化を十分に説明できません。冒頭と結末を合わせて考えます。
問八|文学史の対応
1=イ、2=カ、3=エ、4=ア
- 1は滝沢馬琴「南総里見八犬伝」、2は正岡子規の写生、3は志賀直哉「和解」、4は三島由紀夫「金閣寺」です。
- 江戸の長編物語、近代の俳句、実体験に根差す小説、戦後小説という時代とジャンルを整理してから選びます。
解き直しの進め方
第1問では計画と即時対応を対立させるだけでなく、その使い分けを説明します。第2問では信太郎の反発から愛情への気付きまでを、筆を扱う祖母の動作と結び付けて書き直してください。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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