2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2026 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
渋谷教育学園幕張中学校・2026年度 一次 国語
評論と小説を23項目で解説。評論では比喩が思考を方向付ける仕組み、小説では同じ出来事を姉と妹が異なって受け取っていたことを、選択肢の違いと記述の要素から整理します。
第1問|評論|人生をゲームとして見ること
この大問で学ぶこと
比喩が見せる面と、隠す面を対比する
問一a|ケイク
警句
- 人生と芸術の関係を短く鋭く言い表す言葉なので、警句です。
- 同じ読みの漢字を思い出すだけでなく、周囲の文が「注意や教訓を含む簡潔な言葉」を求めていることを確認します。
問一b|削ぎ落とす
そ
- 読みはそぎおとすです。解答欄には「ぎ」が印刷されているので、削に対応する「そ」だけを書きます。
- 言葉の全体の読みと、今回書く範囲を分けます。
問一c|ショウサ
証左
- ある考えが現れていることの証拠・裏付けを意味する証左です。
- 本文では、ゲームとして人生を理解する人々のふるまいが、その捉え方を示す証拠として述べられています。
問二1|見立てに当たらない例
イ
- 枯山水を川や島に見立てること、梅を雪にたとえること、扇子を箸として扱うことは、あるものを別のものとして捉える例です。
- 冬に椿を生けて季節感を演出することは、椿を何か別のものへ見立てているわけではありません。自然を大切にするという価値の良し悪しではなく、表現の仕組みで選びます。
問二2|メタファーの例
ウ
- 仲が悪くなることを、食品を保存する霜に重ねた表現です。人間関係の状態を、別の分野のイメージで捉えています。
- バーゲンセールのようだ、というイは「ようだ」を使った直喩です。設問のメタファーは、注で隠喩と指定されているため、比喩なら何でもよいわけではありません。
問三|人生がゲームを模倣する例
イ
- 生まれた家庭環境をガチャになぞらえる語を知ることで、自分の親との関係を運の良し悪しとして捉えるようになる例です。
- ゲームの言葉が、現実を見る枠組みを作るという向きになっています。ゲーム内に現実の進学・就職を再現する例では、模倣の向きが逆です。
問四|ミッションクリアが最優先になる理由
エ
- ゲームとして攻略すべきだと見ると、人生の問題を数値に置き換え、明確な成果を出すことへ目的が絞られます。
- 失敗を必ず人生の終わりと考えるというイは強すぎます。問われているのは、単純化と結果への集中が結び付く理由です。
問五|比喩が際立たせ、隠すもの
解答例:人生の目標を数値で測り、効率よく達成すべきだという面を強調する一方、数値化しにくい困難や幸福、失敗から得る学びなど、明確な攻略では捉え切れない価値を見えにくくする。
- まず、何を際立たせるかとして、数値化した目標を効率よく達成するという攻略の見方を述べます。次に、何を隠すかとして、数値化されない困難や定義しにくい幸福、失敗が持つ学びなどを対置します。
- 問いが指定する中略1より前の範囲にある内容でまとめます。後半の制度の再設計だけを持ち込み、比喩の長所・短所の説明を置き換えないようにします。
| 際立つ面 | 隠れやすい面 |
|---|---|
| 数値化できる目標 | 数値化しにくい困難や幸福 |
| 効率よい達成・成長 | 失敗から得る学び |
問六|ゲームは遊びではないという逆説
イ
- ゲームは本来楽しむための遊びなのに、人生をゲームになぞらえる人が攻略へ過度に傾き、ゲームを遊びでないかのように語る点をおかしいとしています。
- 筆者がゲームを低俗だと否定したり、人生は必ず真剣に攻略すべきだと主張したりしているのではありません。言葉の本来の意味と実際の発言のずれを読み取ります。
問七|ルールの突破だけを考える理由
ウ
- 人生を既存ルールのある攻略対象と見ると、制度や経済、道徳の枠組みを自分たちで変える余地を見失い、そこへ適応することに考えが限定されます。
- ルールの再設計が本当に不可能だというエ・オではありません。そう思い込ませてしまう比喩の効果を説明します。
問八|本文全体の内容
ア・オ
- アは、受け身の攻略だけでなく、多くの人が納得できるルールへ主体的に作り直すという結論に対応します。オも、競争だけでなく多様な価値と協力を取り込み、皆が楽しめる設計を目指す内容です。
- ウは、多くの人が不平等を生む仕組みを見抜いているとする点が本文と逆です。エは、成功物語が見えなくなるという話へ変えています。筆者はゲームの比喩を全否定せず、設計する側へ見方を広げています。
第2問|小説|姉妹の記憶を受け取り直す
この大問で学ぶこと
当時の出来事・姉の説明・妹の気付きを分ける
問一a|清々しさ
すがすが
- 読みはすがすがしさです。解答欄に「しさ」があるため、清々に対応するすがすがを書きます。
- 朝の空気や、姉と気を遣い過ぎずにいられる感覚のある場面です。
問一b|イギョウ
異形
- いつもと異なる、怪しい・見慣れない形を表す異形です。
- 幼い妹にとって、部屋へ入ってきた蝉は日常の秩序を壊す怖い存在です。偉業のような功績を表す字にはしません。
問一c|知己
ちき
- 自分を理解してくれる知人、親しい相手という意味で、ちきと読みます。
- 老人と姉が長年の知り合いのように自然に会話する様子を表しています。
問二|良寛が敬愛した俳人
ウ:松尾芭蕉
- 荒海や佐渡、天の川を詠んだ句から、松尾芭蕉を選びます。
- 旅行中の出来事という条件だけでなく、示された句と作者を対応させます。小説の舞台に関わる教養を、設問の手掛かりで確かめる問題です。
問三ii|笑いさざめき
エ
- 子どもたちがラジオ体操の帰りに、大勢でにぎやかに笑う様子です。
- 小さな声で穏やかに微笑むことでも、大きく笑い転げ続けることでもありません。人数と声の広がりが文脈の手掛かりです。
問三iii|破顔し
イ
- それまでの表情がほころび、笑顔になることです。老人と姉が目を合わせて笑う場面に対応します。
- 顔を赤くする、目を見開くなど、特定の別の動作へ置き換えないようにします。
問四|言いかけて口をつぐんだ理由
イ
- 姉が土地に詳しい理由について、別の相手と来る準備だったのかもしれないなど、姉の個人的な事情へ考えが及びます。
- 相手の事情を気遣って質問を控えたと読みます。すでに誰かの代わりだと断定して失望した、あるいは姉を怒らせまいと保身した、という内容までは本文にありません。
問五|幼い妹が姉にしがみつく理由
オ
- 妹は姉を無条件に心を許せる相手とは思っていませんでした。それでも、部屋へ侵入した蝉が日常を脅かすほど怖く、身近な年長者である姉を頼ります。
- この時点で姉の優しさをすべて理解したとか、今までの態度を反省した、という結論を先取りしません。恐怖と、頼れる存在としての姉を結び付けます。
問六|大きなものに見詰められる感覚
ウ
- 姉は、私が大人になっても二人きりなら子どもの頃と変わらず姉妹なのだと話します。その言葉で、私個人の現在だけを超える姉妹の結び付きが示されます。
- 姉の物知りぶりや人格の優劣ではなく、自分だけの見方より大きな全体を見渡す視点を与えられたためです。
問七|姉はどう変わったか
解答例:恐怖に震える妹が繰り返し自分を姉と呼んでしがみつき、同じ血を持つ姉妹だと実感したため、憎らしく思っていた妹を姉として守ろうとするようになった。
- 変化前は、妹を憎らしく感じ、うまく気持ちを扱えず意地悪になることもありました。きっかけは、妹が恐怖の中で姉と呼び続けて胸へしがみついた夜です。
- そこで同じ血を持つ姉妹だと感覚的に分かり、姉として庇い守ろうという態度へ変わりました。変化の前・きっかけ・変化の後を一つの答案につなげます。
| 段階 | 姉 | 妹 |
|---|---|---|
| 幼い頃 | 憎らしさを抑え切れない | 姉を警戒する |
| 蝉が入った夜 | 姉として守ろうと変わる | 恐怖から姉にすがる |
| 現在の旅行 | 当時の実感を言葉にする | 自分の受け止め方を見直す |
問八|硝子の鎧は自分の心にあったのか
解答例:姉が庇ってくれても、その温かさを受け取れなかったのは、姉への警戒やわだかまりから自分の心を閉ざしていたせいだった
- 姉が自分を庇う温かさを、妹は硝子の手袋越しのように感じていました。しかしそれは、姉の手が冷たかったという事実ではなく、自分の警戒で温かさを遮っていたのかもしれません。
- 「のではないかということ」につながるよう、自分が心を閉ざしていたせいだった、と述べます。姉の思いやりと、それを受け取れなかった自分の側の問題を、対比して説明します。
問九|最後の呼びかけに適当でない説明
ア
- 姉を思慮深い特別な人として仰ぎ、圧倒されて尊敬があふれたというアは、場面の中心から外れます。
- 最後の呼びかけには、姉との結び付きや、守られてきたことへの感謝、わだかまりの緩みが表れています。姉が竹とんぼを見送る無心の笑顔も、上下の優劣より親しさを支えています。
解き直しの進め方
選択肢は合っている前半だけで決めず、理由や断定の強さまで確かめます。,評論の記述は、指定された範囲と、対比する二つの内容を先に決めます。,小説の心情は、当時の気持ちと、現在の回想による気付きを分けて整理します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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