2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
桜蔭中学校・2024年度 入試 国語
2024年度の桜蔭中学校・国語を、二つの文章の全9問に沿って解説します。第一の文章は言葉の分からなさと詩を書く意味、第二は増山実氏の百年の藍から、再出発と居場所をめぐる場面を扱います。記述は進塾独自の解答例です。原文を転載せず、対比・記憶・心情の変化を根拠にまとめる方法を説明します。
第1問|言葉の分からなさと詩を書く喜び
この大問で学ぶこと
通じやすさと、自分固有の言葉が伝わることを区別する
問一|文脈に合う漢字
A=精査、B=定時、C=建前(建て前)、D=神経
- Aは細かく確かめる意味の精査、Bは決まった時刻の定時です。表面上の立場や形式を指す建前、反射神経という熟語の神経を文脈に合わせます。
- 音だけで候補を出さず、その語が文の中で担う意味を確かめます。特に定時と提示、建前と単なる建物の話を区別します。
問二|言葉にすれば消されてしまうもの
解答例:一人ひとりの感情は、それぞれが生きてきた経験に根差し、同じ名前でも細かな意味や感じ方が異なる。しかし共通の語に置き換えると、その違いが均され、誰にも同じ感情があるかのようになってしまうということ。
- 説明するのは言葉で感情を表せないという単純な不便ではなく、表すことで失われる個別の違いです。同じ好きという語を使っても、その中身が同じとは限りません。
- 個人の経験→感情の違い→共通の言葉にまとめることで違いが見えなくなる、という順序でつなぎます。言葉を使うことが常に悪いとする結論にはしません。
問三|インターネットで言葉を書く意味
解答例:対面の会話のように、その場の雰囲気や相手の反応へ合わせることを求められず、すぐ理解される表現に整えなくてもよかった。自分の中にある思いを、重さや手触りを持つ書き言葉として、そのまま置いておけた。
- 学校での会話は、何を言うかより、その場を保つことが優先されていました。筆者が日記や詩を書く場を見つけたことを、そこからの変化として読みます。
- 本文が語る当時の筆者の経験を説明します。インターネットならどこでも雰囲気や反応を気にしなくてよい、という現在の一般論には広げません。
| 場面 | 優先されること | 筆者の感じ方 |
|---|---|---|
| 学校での会話 | 場の雰囲気や通じやすさ | 自分固有の思いを言いにくい |
| 日記や詩を書く時 | 自分の感覚を残すこと | すぐ理解されなくても言葉を置ける |
| 読者が詩に出会う時 | 個別の言葉の感触 | 理解し切れない違いから人が届く |
問四|詩を書く喜び
解答例:読者が言葉の選び方に自分とは違う感触を覚え、好意でも戸惑いでも、その違いを無視できずに受け止める時、分かりやすい言葉へ直さずとも筆者固有の存在が届く。さらにその感触が、読者自身の中の、忘れかけた本当の思いを呼び起こすかもしれないこと。
- 理解や共感が完全に一致することだけを喜びとしていません。容易には分からない表現にも、その人だから生まれた言葉として強く残る力がある、と捉えています。
- 答案は二段に分けます。まず筆者の個別性が読者へ届くこと、次にその出会いが読者自身の内面を見直すきっかけになることです。反応が好意的である場合だけに限定しないようにします。
第2問|人生の再出発と居場所
この大問で学ぶこと
過去の記憶・出会い・新しい仕事の意味をつなぐ
問一|文脈に合う漢字
A=道楽、B=年配(年輩)、C=素養
- 好きなことを楽しむ意味の道楽、年齢が上の人を表す年配、学びや経験で身に付けた教養・基礎を指す素養です。
- 仕事なのか趣味なのかという会話や、客の年齢、学び直そうとする場面へ戻って意味を選びます。
問二|体の一部を使う慣用表現
ア=足、イ=顔
- 足を洗うは、続けていた仕事や行いから離れることです。二つの顔は、書店とギャラリーという異なる面を持つことを表します。
- どちらも体そのものの説明ではありません。慣用句としての意味を、仕事の区切りと、新たな店の構想へ結び付けます。
問三|書店の社長へ声をかけた理由
解答例:家業での役割を終え、別の生き方を始めようと挨拶回りで神戸へ来た。その途中で入った書店の船の本の豊富さから、幼い頃に母に言われた、船で自由にどこへでも行けばよいという言葉を思い出し、これだけの本を集めた社長に関心を持ったから。
- 設問は神戸へ来たきっかけも求めています。社長が気になった理由だけでなく、家業を離れる節目と、挨拶回りの途中だったことを入れます。
- 書店に入った→船の本を見る→母との記憶がよみがえる→集めた人物に興味を持つ、という心の動きを追います。偶然の出会いが、再出発の気持ちと結び付いています。
問四|この時のりょうの気持ち
解答例:美術の知識を増やすだけでは足りず、有名か無名かにとらわれずに作品を見て、作家が何に真剣に向き合ったのかを感じ取り、まだ知られていない才能を見いだす目と、自分自身の生き方を育てなければならないと感じている。
- 社長は、絵を見る力が人の生き方をも問うと話しています。りょうは、雑誌や展覧会で知識を得ればよいと考えていた段階から、作品と向き合う自分のあり方へ意識を進めます。
- 勉強をやめる決意ではありません。知識を積むことに加え、名前や評判では見えない価値をつかむことの大切さに気付いた、という変化を説明します。
問五|居場所という言葉が胸に残る理由
解答例:幼い頃に故郷を離れ、家業での役割も終えた祖母が、社長の座を離れた人と出会って作った場は、二人の新しい生きる場所になった。同時に、知られていない作家や作品が人と出会う場所でもある。離れた時代や人生が縁で結び付き、居場所を作っていく不思議さと深さに心を動かされたから。
- 居場所は建物や住所という意味にとどまりません。祖母と社長が働く意味を得る場所であり、作品が埋もれず、誰かに見てもらえる場所でもあります。
- 語り手は祖母の幼い頃の移動や再出発を聞いたうえで、その言葉を受け止めています。祖母たちと作品の両方を含め、人の人生と縁をつなぐ場としてまとめます。
| 対象 | 新しく生まれた意味 |
|---|---|
| 家業を離れたりょう | 別の仕事と人生を始める場所 |
| 会社を離れた杣田さん | 書店とギャラリーを続ける場所 |
| 無名の作家と作品 | 人に見いだされる機会を得る場所 |
| 話を聞く孫 | 祖母の過去と今の仕事がつながる理解 |
解き直しの進め方
第一の文章は、分かりやすく伝えることと、個人の感覚が届くことを区別します。第二は、神戸へ来た理由、船の本が呼び起こした記憶、出会いから変わった仕事観を順に整理しましょう。問いの条件を確かめ、具体的な場面と、そこから広がる意味の両方を答案へ入れて解き直します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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