2026年11月1日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
桜蔭中学校・2024年度 入試 社会
2024年度の桜蔭中学校・社会を、全3大問から28項目に整理して解説します。水と生活、先住民族と南米、税の歴史を横断して扱い、記述は進塾独自の解答例を示します。統計や時事の説明は、原問題で指定された年を基準にしています。
第1問|水の利用・河川と環境
この大問で学ぶこと
水の流れを、生活・農業・災害対策へつなげる
本文の空欄|水道とダムの働き
1=井戸、2=玉川、3=利根、4=浄水、5=洪水、6=電気(電力)、7=消雪(融雪)
- 海に近い江戸では井戸水に塩分が混じるため、川や池の水を石樋・木樋で運びました。玉川上水は多摩川から水を引く仕組みです。現在の東京の水源は利根川水系も重要で、浄水場で飲み水にします。
- ダムは水の確保、川の流量の維持、洪水の軽減、水力発電などの役割を持ちます。比較的水温が安定する地下水は、北陸では道路の消雪にも使われます。
① i|武蔵野台地の畑の境界にある作物
茶
- 地図記号と、静岡・鹿児島が上位にある栽培面積表を合わせて判断します。武蔵野台地西部の狭山茶も、この地域とのつながりを示す手掛かりです。
- 細長い畑の境界に植える作物という配置も確認し、表の順位だけで決めないようにします。
① ii|茶の木の飲料以外の役割
解答例:風を弱め、畑の土が飛ばされるのを防ぐ。
- 台地の乾いた畑では、強い風で土が飛ばされることがあります。境界の木が風を弱め、土の流出を抑えます。
- 設問は20字以内です。防風と土の流出防止を、原因と結果の形で簡潔にまとめます。
② A|カドミウム汚染と県庁所在地
オ。神通川。
- 上流の鉱山排水に含まれたカドミウムと、下流のイタイイタイ病を結び付けます。下流には富山市があり、北陸新幹線の駅がある条件とも合います。
- 河川名・公害病・原因物質・都市を一組で整理します。水俣病の水銀と混同しないようにします。
② B|多雨の山地・果樹と城下町
ク。紀の川。
- 紀の川は多雨の大台ヶ原付近から流れ、上流は吉野の林業、下流の河岸段丘は果樹栽培と結び付きます。
- 河口にある和歌山市は、徳川御三家の紀州徳川家の城下町です。多雨・スギ・果樹・御三家という複数の手掛かりをそろえ、紀伊半島の河川を選びます。
② C|蛇行・屯田兵と稲作
ア。石狩川。
- 大きな蛇行、明治時代の屯田兵、土地改良によって広がった稲作という条件から北海道の石狩川を選びます。
- 川の流路を直す工事と排水の改善が、低湿地を農地へ変えることにつながりました。北海道というだけで十勝川を選ばず、蛇行と平野の特徴も確かめます。
② D|輪中と水屋
キ。木曽川。
- 木曽三川の下流には、低い土地を堤防で囲む輪中が見られます。浸水時に備え、高い場所に水屋を設けました。
- 本文の四県は長野・岐阜・愛知・三重と結び付きます。川の位置に加え、人々が水害にどう備えたかを説明できるようにします。
③|家庭で最も多く使う水
ア。風呂。
- 問題の2022年度の表ではYが43%で最大です。これは風呂に使う水です。炊事、トイレ、洗濯と比べ、一度にためたり流したりする量の多さを考えます。
- この割合は問題に示された調査年の値です。現在のすべての家庭に一律で当てはまる割合とは扱いません。
④|2023年の自然災害の国
1=シリア、2=インド、3=カナダ
- トルコ南部の地震で被害を受けた南隣の国はシリアです。モンスーンの豪雨と人口の手掛かりはインド、アメリカにも煙が流れた森林火災はカナダです。
- 出来事だけを覚えず、トルコとシリアの国境、南アジア、北アメリカの位置を地図で確かめます。
⑤|2023年の国連事務総長の表現
沸騰化(沸騰)
- 異常な暑さの深刻さを訴え、地球温暖化から地球沸騰化の時代へという表現が用いられました。水が実際に地球全体で沸騰したという科学的な定義ではなく、危機を強調した表現です。
- 設問の空欄の前後を読み、地球と時代の間へ入る語句を答えます。
第2問|先住民族・南米と環境問題
この大問で学ぶこと
地域の位置と、文化・国際機関の違いを読む
本文の空欄|文化と熱帯林
1=先住民族、2=アマゾン、3=アイヌ
- その地域に先に暮らし、独自の文化や生活を受け継いできた人々が先住民族です。ブラジル北部の広大な熱帯林と結び付く大河はアマゾン川です。
- 日本ではアイヌの人々に関する本文へつながります。先住民族を、技術がない人々と決め付けず、環境の中で培われた知識や文化として読み取ります。
本文A・B|海洋と奴隷貿易
A=エ(大西洋)、B=オ(アフリカ)
- コロンビアは太平洋側と、カリブ海を通じて大西洋側に面します。ヨーロッパ系の人々が渡ってきた大洋は大西洋です。
- 植民地へ奴隷として連れてこられた人々の出身地域はアフリカです。ヨーロッパ・アフリカ・南北アメリカの位置関係を図にします。
①|コロンビアの位置
イ
- 南アメリカ大陸の北西部で、パナマに接し、太平洋とカリブ海側の両方に面する場所がコロンビアです。
- 南米というだけでブラジルやアルゼンチンを選ばず、大陸の北側という本文の条件を使います。
②|ブラジルの歴史と言語
エ。a正・b誤・c誤。
- ブラジルには日本から多くの人々が移住し、日系人が暮らしています。一方、植民地支配を行ったのはポルトガルで、公用語はポルトガル語です。
- cの2022年の在留外国人の説明も、ブラジル人が中国人に次ぐ2番目という部分が誤りです。南米の多くの国でスペイン語が使われることと区別します。
③|SDGsと環境への取組
カ。a誤・b正・c誤。
- SDGsは2015年の国連総会で採択されました。安全保障理事会で採択されたとするaは誤りです。貧困や気候変動に取り組むというbは適切です。
- UNEP(国連環境計画)は国連の機関で、NGOではありません。cの環境問題への取組という趣旨が正しくても、組織の分類が誤っていれば文全体は誤りです。
第3問|税の歴史と国民の役割
この大問で学ぶこと
負担する人・決める人・使い道の変化をつかむ
本文の空欄|古代から現代の税
1=地方公共団体(地方自治体)、2=主権、3=地租、4=板垣退助、5=所得税、6=小村寿太郎、7=大和政権、8=江田船山、9=貴族、10=雑徭
- 国と地方公共団体へ納める税を、国民の代表が議会で決める近代の原則と結び付けます。1873年の地租改正、自由民権運動の板垣退助、1887年の所得税、関税自主権を回復した小村寿太郎を時代順に置きます。
- 古代は大和政権と江田船山古墳の鉄刀、律令制下の貴族と雑徭です。税の名称と、誰が負担する仕組みだったかを一組で覚えます。
本文A〜D|議会・関税・官庁と史書
A=サ(議会)、B=ウ(輸入)、C=ス(財務省)、D=キ(魏志倭人伝)
- 国民の代表が税の使い道を議論するのは議会です。関税は輸入品にかかる税として読み、国税庁は財務省の外局と結び付けます。
- 卑弥呼の邪馬台国が記されているのは魏志倭人伝です。後漢書東夷伝などと、描かれた時代を区別します。
①|国民の義務と権利
ウ。a正・b誤・c正。
- 保護する子どもに普通教育を受けさせることは義務です。選挙で投票することは権利で、憲法上の義務とされてはいません。
- 勤労は権利であり義務でもあります。教育・勤労・納税という三つの義務を、投票の権利と区別します。
②|戦争中の増税が戦後も続いた理由
解答例:日露戦争の戦費をまかなうため増税したが、講和条約で賠償金が得られず、戦後も増税が続いた。
- 60字以内で、増税を始めた原因と、それが続いた理由の両方を答えます。1904年に始まる日露戦争の戦費が、まず原因です。
- 講和で賠償金を得られなかったため、戦後も財政負担が残りました。戦争に勝ったので税が減ったはず、と結果だけで考えないようにします。
③|消費税の特徴
イ。a正・b正・c誤。
- 消費税は社会保障費をまかなうことに関わり、消費を通じて幅広い人が負担します。
- 収入が高いほど負担感が強いというcは逆です。同じ支出額に同じ税がかかる場合、収入が低い人ほど収入に占める負担の割合は大きくなります。
④|5000年前の暮らし
イ。a正・b正・c誤。
- 約5000年前は縄文時代で、狩猟・漁労・植物採集が行われ、土偶などには祈りとの関わりが考えられます。
- 全国で稲作を行っていたとするcは誤りです。縄文の暮らしと、のちに広がる水田稲作を時代で分けます。
⑤|邪馬台国の近畿説と関係する遺跡
エ。纒向遺跡。
- 奈良県の纒向遺跡は邪馬台国の近畿説と結び付けて論じられます。吉野ヶ里遺跡は佐賀県、唐古・鍵遺跡は奈良県、登呂遺跡は静岡県です。
- 設問は近畿にあったという説を裏付けると考えられる遺跡を尋ねています。邪馬台国の所在地が確定したと説明するものではありません。
⑥|聖徳太子の改革
オ。a誤・b正・c正。
- 豪族の私有地・私有民を増やして力を強める方向ではなく、天皇を中心とした秩序を整える改革です。
- 天皇の命令に従うことを説く十七条の憲法や、能力・功績などに応じて位を授ける冠位十二階を結び付けます。
⑦|律令国家の成立
エ。a正・b誤・c誤。
- 中国の制度を参考に律令が整えられ、新しい税制度が定められました。改革に関わった中臣鎌足自身が、中国から帰った留学生だったわけではありません。
- 大仏の造立を進めたのは聖武天皇で、協力を求めた僧は行基です。持統天皇・鑑真とするcは、人と時代を取り違えています。
⑧|頼朝と鎌倉幕府成立まで
カ。a誤・b正・c誤。
- 頼朝が伊豆へ流されたのは平治の乱の後です。石橋山の戦いでは頼朝が平氏方に敗れました。
- 壇ノ浦で平氏を滅ぼした中心人物は源義経で、源義仲ではありません。源氏の人物同士でも、関わった戦いは区別します。
⑨|中世の農業と経済
オ。a誤・b正・c正。
- 広がった二毛作は、同じ耕地で稲と麦など異なる作物を年に二度作ることです。稲を年二回作る二期作と混同しません。
- 生産力の向上により村の結び付きが強まり、特産物や手工業、交通・輸送も発達したというb・cは適切です。
⑩|信長と秀吉の戦い
ク。a・b・cすべて誤り。
- 桶狭間で信長が破ったのは駿河の今川氏で、北条氏ではありません。長篠では信長・家康の連合軍が武田氏を破りましたが、騎馬隊を効果的に用いたという説明は適切ではありません。
- 秀吉は朝鮮へ二度出兵しましたが、清ではなく当時の明をめぐる戦争です。人物だけでなく相手の国・勢力も確かめます。
⑪|江戸時代の身分と村
イ。a正・b正・c誤。
- 身分によって職業や居住地に制約があり、村では名主などを中心に年貢を負担しました。
- 大名へ金を貸す豪商が現れたことは適切ですが、町人も百姓と同じように重い税を課されたというcの前半が誤りです。文の後半だけで正解としないようにします。
解き直しの進め方
地理では河川の位置と流域の生活を結び付けます。正誤問題は一文を人物・年代・場所・制度に分解し、誤りを直して言い直しましょう。税の歴史は、誰が負担し、誰が決め、何に使うかを時代別の表にすると整理できます。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
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