2026年11月5日
SUSUMU JUKU / 2024 EXAM REVIEW
答えの先に、解ける理由を。
法政大学中学校・2024年度 第1回 国語
神沢利子『流れのほとり』を用いた物語文と、島田雅彦『言葉とは何か』を用いた論説文の2大問、全21項目を解説します。本文や原問題の転載を避けながら、人物の対比、論理のつながり、記述と抜き出しの違いを整理します。
第1問|物語文|身近な父とつかみ切れない兄
この大問で学ぶこと
語り手の印象を、行動と対比から読む
問一 「小さいにいさん」の人物
イ(至)
- 語り手の麻子には、大学へ通う拓と、中学生の至という二人の兄がいます。小さい方の兄として指されるのは至です。
- 呼び方だけで年齢を推測せず、冒頭の家族関係と、その後の人物の言動を対応させます。
間違えやすい点:兄二人の名前・学年・机のある部屋を簡単に整理する。
問二 机に書かれた名前の意味
ウ
- 空欄は、拓が以前使っていた机を至が受け継いだ場面です。至は自分の物として確かめるように名前を書いています。
- 新しく買った机でも、叔父の所有になった机でもありません。所有者と使い手の変化をたどると、ウの対比が適切です。
間違えやすい点:「以前は誰の物で、今は誰が使うか」を前後から確認する。
問三 至が謝った理由
エ
- 兄の不在中にその部屋を使うことについて、至は拓が寂しさを感じていることに気づき、傷つけたと思って謝っています。
- 机の買い替えを知らずに譲り受けたことや、勉強の邪魔をしたことだけが理由ではありません。拓の感情を心配する至の言葉を根拠にします。
間違えやすい点:謝罪の直前の行動だけでなく、相手がどう受け取ったかを見る。
問四 至の弱気な様子を表す語
ウ(いくじなし)
- 祖母が帰ったかもしれないと訴える至を、拓が弱気だとからかい、顔や首を強くつかむ場面です。ここではいくじなしが文脈に対応します。
- のんき・神経質などの性格を一般的に当てはめるのでなく、その場で拓が何をからかっているのかを読み取ります。
間違えやすい点:発言する人物の、その時の相手への評価を考える。
問五 麻子がみどりに感心した理由
イ・ウ
- 麻子は、みどりが父の帰宅について落ち着いて受け止める様子と、至に乱暴をした拓をにらみ返して悪い兄だと訴える様子に感心しています。
- 父の出奔にはみどりの発言も関わるのに動揺しない点、兄に対してもひるまずに立ち向かう点が根拠です。至が心配する様子や、部屋の使い方の説明を、みどり自身の行動へ取り違えないようにします。
間違えやすい点:二つ選ぶ指定に合わせ、別々の場面にある根拠を探す。
問六 父親との対比で兄を説明する
解答例:父親は怒り方まで分かる身近な人だが、兄は優しさもありながら考えや感情をつかめず、未知で怖さのある人だから。
- 父は乱暴に怒ることがあっても、麻子にはその人柄や反応を理解できる身近な存在です。一方、兄は優しく見えた後で冷たく振る舞うなど、つかみ切れない部分があります。
- 設問の60字以内に合わせ、父についての理解しやすさと、兄についての未知・不安を対比させます。訂正紙ではこの設問の傍線番号を⑥から⑦へ直しています。
| 人物 | 麻子から見た距離 | 記述で押さえること |
|---|---|---|
| 父 | 身近で反応が分かる | 親しい相手の怒りへの怖さ |
| 兄 | 身近に見えて、考えがつかみ切れない | 未知の部分や感情の変化への怖さ |
間違えやすい点:「兄は怖い」だけで終えず、父を対比として入れる。
問七 麻子が感じた兄の状態の正誤
ア○/イ×/ウ○/エ×
- 兄が近くにいながら遠い存在になる感じや、子どもの生活圏から離れていく寂しさ・孤独という読みは、麻子の受け止め方に沿っています。
- 兄がいなくなることを単純な解放感として喜んでいる、あるいは今までより良い環境へ行くので恐れているだけだという読みは適切ではありません。
間違えやすい点:語り手の悲しさを、兄本人の感情と取り違えない。
問八 A・B・Cに入る会話
Aイ/Bア/Cウ
- 兄が帰る日についての会話です。まず日程を確認する問い、それに対する自分の判断、部屋についての短い言葉という流れを読みます。
- 話し手が切り替わる箇所を確認し、選択肢を実際に入れて会話の応答が自然につながるかを確かめます。
間違えやすい点:答えを入れた後、誰の発言かを一つずつ確認して読み返す。
問九 拓の見方が変わる過程
A:大学/B:知らないこと/C:いいあんちゃん?/D:素直
- 麻子は、兄の部屋を自分の好みに近い場所と感じていましたが、大学や本など、自分の理解の及ばない世界もあると気づきます。
- その上で、帰るときの兄の親しげな様子を、以前ほど単純には受け止められなくなります。空欄の指定字数と、最後の感情の変化を確認しましょう。
間違えやすい点:Cは疑問符も含めて、設問の字数指定どおりに答える。
問十 漢字の書き取り
a:暮れ/b:不意/c:未明/d:独唱
- aは日が終わる暮れ、bは思いがけない不意、cは夜がまだ明け切らない未明、dは一人で歌う独唱です。
- 同音の字を当てるだけでなく、本文の時刻や行動の意味に合う熟語として確かめます。
間違えやすい点:「歌う」ことから、独奏ではなく独唱を選ぶ。
第2問|論説文|言葉と文字、お金の働き
この大問で学ぶこと
筆者の比喩と論のつながりを整理する
問一 バベルの塔の建設が止まった理由
ウ
- 筆者は、言葉が通じなくなると共同の作業ができなくなるという例として、バベルの塔の物語を取り上げています。
- 建築作業が進まなかった理由を、本文にない単なる学習不足や費用不足へ置き換えないようにします。神話を実証された歴史として読むのではなく、本文中の例の役割を答えます。
間違えやすい点:筆者が例を通じて説明したい論点を考える。
問二 人と言葉そのものの価値
イ
- 本文は、世界には多くの言葉があり、他者との違いや交流に価値があると論じています。単一の共通語だけが価値を生むという説明ではありません。
- 言葉で他人を動かすという別の段落の話や、同じ言葉を話す人の習慣の違いだけの説明へずらさず、傍線の前後を根拠にします。
間違えやすい点:離れた段落の話を、もっともらしいという理由だけで選ばない。
問三 文の正しい並び順
イ→ア→ウ
- 実際に意味の通る挨拶の例から、言葉の使い方についての説明へつながるように選びます。各段階で、前の文にある話題を受ける文かどうかが判断点です。
- 選んだ文を入れて、具体例と結論の関係、感謝などの言葉が表す意味に矛盾がないかを確認します。一つの空欄だけを独立した雑学問題として扱わないようにします。
間違えやすい点:指定された三つの位置を順に答え、同じ記号の重複を勝手に避けない。
問四 文字と文明の関係を80字以内で説明する
解答例:文字を使って言葉を記録し共通にすることで、外から入る知識や考えを蓄え、広い範囲で共有できるようになったから。
- 本文では、話すだけの言葉を文字で記録することが、知識・学問などを広く共有する基盤となると論じています。
- 文字があったという事実だけを言い換えるのでなく、記録・共通化・知識の蓄積という働きと文明との関係を説明します。
間違えやすい点:「文字があるから文明がある」と同語反復で終わらせない。
問五 言葉・文字と歴史の説明
エ
- 筆者は文字による記録に注目し、その記録を通じて国家や歴史をたどれるようになると論じています。エがこの文章の説明に対応します。
- これは本文の論の読み取りです。文字の記録がない人々には経験も文化も過去もない、という一般論へ広げてはいけません。文字の記録として残る歴史という文脈を確認します。
間違えやすい点:本文中の主張を読むことと、その主張を無条件に一般化することを区別する。
問六 言葉の目的を問う10字の抜き出し
言葉は何のためにある
- お金の使い道を問う前に、筆者は言葉を使って何ができるのかを問い直しています。本文中の問いの表現を探します。
- 抜き出しなので、自分の言葉で言い換えず、指定の10字をそのまま写します。句読点まで数えるという冒頭の指示にも注意します。
間違えやすい点:「言葉の役割」などの要約を答えにせず、原文の字数を確かめる。
問七 自分の将来への否定的な気持ち
イ(自己嫌悪)
- お金と言葉の力関係を見て、筆者は若い読者が、自分の望まない将来の姿を見つけてしまうかもしれないと述べています。
- 自分自身を嫌に感じる気持ちとして自己嫌悪を選びます。ここは自分を守る説明である自己弁護や、自分の長所を誇る自画自賛ではありません。
間違えやすい点:語句の意味だけでなく、筆者が自分をどう扱っている段落かを見る。
問八 お金と言葉の共通点
A:交換/B:価値/C:話す/D:関係
- 紙幣も言葉の記号も、それ自体の物質としての価値だけでなく、やり取りの中で意味や価値を持ちます。お金を何かと交換すること、言葉を話すことを対応させます。
- 二つは人との関係の中で自分を変え得るというまとめへつながります。指定が本文から二字ずつの抜き出しである点にも合わせます。
間違えやすい点:A・Cの行為と、B・Dの抽象語を取り違えない。
問九 結びの「言葉の言葉」の意味
ウ
- 本文の最後は、筆者が言葉を使う仕事を続ける自分をどう位置づけるかという流れです。言葉を売り、生活している者という説明が文脈に合います。
- 言葉の種類だけ、独占、特定分野での専門性だけを答えると、結びの自己言及を読み落とします。
間違えやすい点:結論の空欄は、直前までの話だけでなく筆者の立場も確認する。
問十 接続語の選択
Ⅰイ/Ⅱエ/Ⅲウ/Ⅳア
- Ⅰは当然の補足として「もちろん」、Ⅱは理由を示す「なぜなら」、Ⅲは前との対比を示す「しかし」、Ⅳは言い換えてまとめる「つまり」です。
- 接続語だけを暗記して当てはめず、前後の文が補足・理由・逆接・要約のどの関係にあるかを先に判断します。
間違えやすい点:実際に語句を入れ、後続の文末までつながるか確認する。
問十一 漢字の読み
a:どこ/b:つらなり/c:るいじ/d:つど
- 何処はどこ、連なりはつらなり、類似はるいじ、都度はつどと読みます。
- 本文の語として、場所・つながり・似ていること・そのたびという意味も確認します。送り仮名のあるbは、求められた語全体をひらがなで書きます。
間違えやすい点:読みを問う設問では、漢字で意味を言い換えずひらがなで答える。
解き直しの進め方
物語では語り手と他の人物の気持ちを分け、論説文では具体例と筆者の主張を対応させましょう。記述は字数と対比の条件、抜き出しは原文と字数、選択問題は本文の根拠を一つずつ確認して解き直します。
| 段階 | 取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1|原因を分ける | 間違えた問題を、知識・条件や根拠の読み違い・説明の不足に分ける | どこで手が止まったかを言葉にする |
| 2|解説を閉じる | 自分で根拠・図表・式・答案を組み立て直す | 答えだけでなく、その根拠や判断の理由を説明できるか |
| 3|時間を空ける | 日を改め、類題と合わせて再挑戦する | 条件が変わっても使える考え方になったか |
志望校の過去問を、次の学習計画へ
点数だけでは、次に何を直すべきかは決まりません。進塾では、解き方・答案の根拠・つまずいた箇所を確かめ、授業と家庭で取り組む内容を整理します。集団コース・個別指導のご相談を承ります。
赤羽で学習塾をお探しなら
- 会社名
- 進塾
- 住所
- 〒115-0055 東京都北区赤羽西1‐39‐1伊藤ビル3階
- 電話番号
- 03-5924-7747
